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2003年度第6回JCC運営委員会議事録(2003/5/12)

14-May-2003





2003年度第6回運営委員会報告
味の素労組会議室で行われた標記委員会の報告を下記のとおりいたします。
(日 時)2003年5月12日(月) 15:00−16:20(第1部)
16:40−18:05(第2部)
(出席者)増渕、藤江、長島(フード連合)、菅井、郷野、中野(UIゼンセン同盟)
内田(全国農団労)、秋山、松宮(サービス連合)、見里(JCC事務局)計10名(敬称略)
(第2部)マ・ウェイ・ピン(IUFアジア太平洋)、内館(JCC事務局)


報告事項
1. IUF執行委員会関連会議報告
a) IUF執行委員会および三役会
2003年4月8日に三役会、9〜10日には執行委員会がジュネーブにて開催された。三役会にはJCC見里、執行委員会にはUIゼンセン同盟菅井副会長(JCC副議長)と中野国際局副部長(JCC特別運営委員)、JCC見里が出席した。今回の執行委員会は、イラク戦争やSARSの影響で、例年よりも出席者が少ない中での開催となった。
● 新規に17ヶ国19組織の加盟が承認されたが、内アジア太平洋地域は7ヶ国9組織。
● ベラルーシのルカシェンコ大統領に乗っ取られた農業労働組合の除名が決まった。同労組を追放されたアレキサンダー・ヤロシュクが、IUF副会長代理および執行委員を辞任する挨拶の中で、必ず民主的な労働運動を復活させ、IUFに戻ってくると宣言した。
● マ・ウェイ・ピンアジア太平洋地域書記より、同地域の組織化戦略に関するプレゼンテーションがあった。
● 世界の10大食品企業グループに関するプレゼンテーションが行われたが、この中に日系企業として味の素グループが入っており、今後IUFの多国籍企業活動のターゲットとして取り扱われることが予測される。
● 今回の執行委員会のポイントとして捉えていた、中華全国総工会との関係に関する討議は、時間がほとんどとれず、現状のIUFのノー・コンタクト政策を追認する程度に留まった。
● 以下の5点の決議を採択した:
a) 決議-1:イタリア観光労働者との連帯
b) 決議-2:HRCT部門の労働者との連帯
c) 決議-3:ブラジルにおけるGMO
d) 決議-4:グアテマラのペプシコ
e) 決議-5:アフリカにおける暴力

b) IUF女性委員会
2003年4月7日、ジュネーブにてIUF女性委員会が開催され、UIゼンセン同盟の中野さんとJCC見里が出席した。昨年の世界総会で正式に規約に定められてから、最初の女性委員会の会合となった。
● 活動報告の中で、ILOタバコ産業三者構成会議において、機会均等強化に関する決議が採択されたとの報告があった。
● PSI(国際公務労連)ノラ・ウィンツアー氏から「同一価値労働同一賃金キャンペーン」およびPSIの女性活動の紹介があった。
● ICFTUジュネーブ事務所のアンナ・ビヨンディ氏より、2月にメルボルンで開催された第8回ICFTU女性大会の報告を頂いた。
● IFBWW(国際建設・林産労連)フィオナ・モリー氏よりILO総会で議論される職業安全衛生基準見しに関する取り組みについて説明を受けた。
● 女性委員会として、以下の勧告を執行委員会に行うことを決めた:
a) 多国籍企業の女性労働者ネットワークの確立
b) 国・地域・国際レベルにおけるIUFの会議・活動への、IUFの女性参画政策反映のモニタリング強化
c) セクシャル・ハラスメントの防止
d) インドお茶農園労働者への支援
e) 他組織との協力・連帯強化

2. 連合多国籍企業委員会報告
 連合第5回多国籍企業委員会が4月8日開催され、増渕JCC議長および郷野JCC運営委員が、それぞれの産別代表として出席した。協議事項として、連合の政策要求の対外政策について論議した。その他、OECDの多国籍企業ガイドラインに基づいた提訴されている3件の紹介と、SARSの拡大を受けた連合としての出張規制などの紹介があった。

3. 第27回海外労働学校準備経過報告
 イラク戦争対応として企業が打ち出した海外出張自粛政策によって、6労組11名のキャンセルが出た(内1労組1名は別理由による)。これによって3産別から19労組、27名の一般参加とJCC事務局2名(見里、村上)の合計29名の団となった。今回は、村上さんがJCCコンサルタントとして現地との調整を行う初めてのケースであり、4月末までにほぼ最終的な手配が終了した。
9日には準備会を行い、団長をフード連合キリンビール労組の大倉横浜工場支部委員長に決定した。同準備会では、元IMFアジア事務所長の小島氏にご講演いただいた。

4. 争議支援・連帯活動報告
● ビルマの投資撤退キャンペーンの一環で、ブリティッシュ・アメリカン・タバコに対する葉書キャンペーンをビルマ事務所より協力要請があり対応した。(3月31日)
● コロンビアの農村労働組合SINTRAINAGROのリーダー暗殺が5月1日にあった事に関して、同国大統領と内務・法務長官へ組合役員保護を求める要請文を送った。(5月9日)

5. 今後の予定
● IUF-A/P地域活動基金監査:5月13日、JCC事務所
A/P会計監査のあり方は、来年度役員体制を決める際に見直すこととする。
● 海外労働学校:5月19〜29日、オランダ(リールサム、アムステルダム)、ジュネーブ
● 移民労働者のディセント・ワークと在日ビルマ人労働者に関するセミナー:7月1日
● 第7回JCC運営委員会/三役会:7月12日

● 2004年度のスケジュール(案)の確認を行った。9月21〜22日に予定されているA/Pコカコーラ会議はコカコーラ労協の定期総会と同一日に当たるため、日程再調整をA/P書記局にお願いすることとした。但し、現時点で出席を約束できるものではない。


6. その他
● 資料配布:IUF規約(2002年改訂:英語版)日本語版は、従来の日本語訳の不具合も訂正して、今期中に発行する。
● 資料配布:「アジアにおける日系企業の諸問題」(JILAF国際労働問題研究会報告より)
● 資料配布:国際協力NGOセンター機関紙「Partnership」

協議事項
1. IUF-A/P地域委員会および視察団編成に関して
前回運営委員会にて、7月に予定されている地域委員会に併せて視察団を編成する旨を提案して承認されたが、イラク戦争やSARSの影響でインドネシア・ミッションが延期となったことが影響して、地域委員会の開催場所がバンコクからジャカルタへ変更となったこと、欧州地域組織EFFATとの合同会議が中止されたこと、インドネシア・ミッションと抱き合わせて実施されることなどの変更を受けて、視察団の編成を行わないことを再提案し、運営委員会で承認された。
新規の日程予定は、7月15-16日地域委員会、17-19日インドネシア・ミッション、19日午後地域委員会(インドネシアに関する事項)となった。従って、JCC三役および運営委員を中心としたメンバーで、地域委員会およびインドネシア・ミッションへの対応をすることとしたい。

2. IUF-JCC旅費規程の一部変更に関して
 現在のJCC旅費規定ではJCC役・職員の海外出張に支度金が支給される事になっているが、支度金は今日的手当てでないことから企業をはじめ多くの組織で廃止していることや、特にJCCの役・職員は常に海外出張に備えていることを前提とした業務を担っていることから、これを原則廃止(但し、初めての出張時のみ支給)とする事が事務局より提案され、この事務局提案は承認された。
JCCの支度金支払い基準:
〜1998年8月末:(前回の出張から1年以内の場合)1回につき35,000円/(初回、および1年以上出張が無かった場合)70,000円
1998年9月〜現在:(前回の出張から1年以内の場合)1回につき10,000円/(初回、および1年以上出張が無かった場合)30,000円
今回の決定:原則として廃止、但し初回に限り30,000円

3. 在日ビルマ市民レストラン・ホテル労働組合支援に関して
2年前に結成された同労組に関しては、結成時にビルマの亡命ナショナルセンターFTUBマウン・マウン書記長から支援の要請があり、昨年4月にもFTUBラ・ウー会長からIUF加盟に向けた支援を要請されている。しかし、現時点までに具体的な支援ができずにいるが、昨年設立された在日ビルマ市民工場労働組合はJAMの支援のもと、東京地労委の労働組合資格証明を獲得し、具体的な労働問題の解決に取り組んでいる。一方、レストラン・ホテル労組は組合としての正式な認証はなく、インフォーマル団体にとどまっている。
JAMの取り組みを参考にした上で、今後の支援体制のあり方についてゼロ次論議を行い、レストラン・チェーンを広く組織しているUIゼンセン同盟が中心となって、支援体制を模索していくことが確認された。但し、UIゼンセン同盟が各企業と交わしている「唯一交渉団体の協約」を含め、支援活動や組織体制のあり方など多くの課題があり、時間をかけて検討しつつ進めていく必要があることも確認された。
<背景>:
ビルマの軍政による圧制を逃れてきた民主活動家を中心に、約1万人のビルマ人が日本に定着しているが、その約8割がレストラン産業に従事している。彼らの多くは、母国で高等教育を受けた中産階級以上の知識人であるが、言語的な問題や日本の滞在資格の問題などからその立場は弱い。こうした移民労働者・外国人労働者に対する搾取の構造は日本においても深刻であり、賃金の未払い(一部手当て含む)、不当解雇をはじめとした契約違反や人権侵害、労働災害隠しなど安全衛生上の問題と医療保障の問題など、多くの問題を抱えている。
在日ビルマ市民工場労働組合は、JAMの支援の下、これらの問題を具体的に解決する活動に取り組んでおり、工場労働者だけでなくレストラン従事者にもその加盟が広がっている。
在日ビルマ市民レストラン・ホテル労働組合の代表のNyunt Swe氏は、FTUB日本支部の代表でもあり、自らビルマ料理レストランを高田馬場で経営している。

4. JCCセミナー開催に関して
「移民労働者のディセント・ワークと在日ビルマ人労働者に関するセミナー」を7月1日(火)(未定)に開催することの提案が事務局からあり、JCC三役会からの実施勧告を受けて、書記局提案が承認された。移民労働者のディセント・ワークは今年のILO総会ではじめて論議されるテーマである。これを総論としてILO駐日事務所担当者から話を聞くと共に、日本にとっての各論であり、JCCにとって正に今求められている在日ビルマ人労働者の現状を知り、その支援の重要性を確認する機会としたい。

5. IUFアジア太平洋地域の組織化戦略について(第2部)
 4月9-10日に行われた執行委員会で、マ・ウェイ・ピン地域書記が発表したアジア太平洋地域の組織化戦略について、来日中の地域書記から説明を頂き、次回地域委員会に向けてJCCとして共有化した上で論議を行った。
<プレゼンテーションの要旨>
● 現在、比較的直ぐに組織化が可能なのは、オーストラリアの食肉労組、ニュージーランドの食肉労組、および韓国の数組織であるが、この組織化も容易ではなく、継続的な活動必要である。最高のシナリオで4万人プラス。
● IUFとしての当地域の組織か優先国をインド、インドネシア、タイ、パキスタン、フィリピンに設定し、これらの国にアウトリーチ・オフィスを設ける。
● HRCT、お茶、砂糖などが、潜在的組合員を抱えている部門であり、主にこうした業種をターゲットとする。特に南アジアではお茶が重要な作物であり、非常におおくの労働者を抱えている。
● 食品飲料産業に関しては、多国籍企業(コカコーラ、ネスレ、ユニリーバ)などをベースとしたまとまりを創っていく。
● 女性労働者の組織化に関しては、長期プロジェクトが必要である。
● 現在までの成果として、スタートして6年が経過するパキスタンアウトリーチプロジェクトでは、5月17-18日に今まで分裂して存在していた全国砂糖労働組合の結成大会が予定されている。また、5月第1週24ホテル労組が全国組織を結成する合意し、9月頃結成大会予定。このように、最初の成果が5〜6人して初めて見えてくる時間のかかる取り組みである。また、統一しても、強固な組織になるには更に数年かかる。
● インドネシアではHRCTは非常に大きな部門であり、1千万人を超える労働者を抱えている。IUF加盟のホテル労連(FSPM)は順調に成長を続けている。シャングリラ争議が終わっては、多くの組合がFSPMへの加盟に興味を持っている。
<質疑>
Q-1:優先対象に上がっていない国における組織化をどうしていくのか?特にカンボジアの組織化の取り組みは?
A-1:カンボジアでは、繊維産業が最も大きな部門であり、組合の活動も専攻している。観光産業も大きいが、組織化活動はまだこれからである。2年前にバンコクで開催したA/Pタバコ会議に参加したカンボジアBAT労働組合は活発に活動を展開しており、現在食品やホテル産業など、IUF関連産業の労働者の組織化に乗り出している。今後の展開に期待している。
Q-2 :JCCとして貢献できることは何か?
A-2:日系多国籍企業の関連会社の所在地と組合の有無を連絡し、当該国での組織化への情報として役立てることなど、多くの役割がある。是非とも、情報を伝えていただきたい。
Q-3:長期的に見て、ドナー組織の資金に頼ったプロジェクト方式による組織化に無理は無いのか?
A-3:確かにドナーに頼りきった活動にはリスクがある。出来れば自立した活動が各国で出来ればよいが、実態としては程遠く、まだ支援が必要である。ドナーが資金を打ち切った場合、一時的に地域活動基金でプロジェクト資金を支え、その間に次のドナーを探す。
Q-4:日本としてもアジア太平洋地域における組織化を積極的に支えたいが、各国にコアとなる人材がいると連絡も取りやすく助かる。こうしたコア人材の育成と、彼らのネットワークを構築するという考えは無いのか?
A-3:特定の個人を選出するのは難しいことであり、またリスクを伴う。教育した後で直ぐに当人が組合を止める危険性があるからである。従って、あくまでも各国のプロジェクト・オフィサーを中心に組織の底上げを図る。


以上