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2003年度第4回運営委員会議事録(2003/2/2)

03-Feb-2003








2003年度第4回運営委員会報告
味の素労組会議室で行われた標記委員会の報告を下記のとおりいたします。
(日 時)2003年2月3日(月)  15:15−16:55(第1部)
17:10−18:40(第2部)
(出席者)増渕、藤江、長島(フード連合)、大出、中野(UIゼンセン同盟)、岡田、内田
(全国農団労)、秋山、林田(サービス連合)、見里、内館(JCC事務局)
計11名 (敬称略)
(第2部ゲスト)ITFアジア太平洋地域部長 和田氏、UNI-APRO東京事務所長 伊藤氏

報告事項
 会議の冒頭、増渕議長よりJCC新職員の内館恵子の紹介があった。内館は3月末まで派遣職員として勤務し、合意が取れれば4月より本採用職員として勤務する予定である。

1. IUF-A/P HRCT部門会議報告
2002年12月16〜18日、バリにてアジア太平洋地域のホテル・レストラン・ケータリング・ツーリズム部門(HRCT)会議が開催され、サービス連合の秋山副会長(JCC副議長)とサービス連合帝国ホテル労働組合の後藤氏が出席した。7ヶ国のホテル労組加盟組織の代表が出席した他、インドネシアからはスラバヤ、バリなどからの未加盟組織も参加した。オープンスペースで会議が行われた。主な討議内容は、団体交渉や職場の変革、女性参画、組織化活動、などの経験や情報交換が主体であり、地域内の産業の状況を知る上でよい機会となった。
今回の開催地であるバリは、昨年の爆弾テロによって、ホテルの客室占有率が15%程度と落ち込んでおり、観光地としての地域経済は非常に厳しく、後2〜3ヶ月効した低迷が続くと危機的状況となる。

2. 多国籍企業委員会報告
 2003年1月10日、第4回連合多国籍企業委員会が開催された。報告事項は以下の7点:@委員の交代について、A第3回多国籍企業委員会報告、B第53回多国籍企業労働問題連絡会議、C日本・フィリピン2国間セミナー報告、DOECD-TUAC総会報告、EICFTU執行委員会報告、F最近の日系企業における労使紛争の状況について(IMF-JCよりフィリピンのミツミの労使紛争に関する報告)。
 協議事項は、「日系の労使紛争に関する連合としての対応手続き整理について」が論議された。従来多国籍企業委員会で確認してきた組合の努力によって解決するケースに加え、解決が難しいときに現地の組合の意向を確認した上で、OECD多国籍企業ガイドラインにより設置されたナショナル・コンタクト・ポイントへ提訴する場合も含めた手続きを整理した。

3. 各組織報告
フード連合:全たばこ労組との交流で韓国タバコ・人参労働組合よりカン委員長をはじめとした4名が1月20日より1週間の日程で来日した。IUFの再加盟について論議し、IUFが滞納会費の免除と会費の分割納入を認めることを条件に、2月の同労組大会にIUFへの再加盟を提案するとの前向きな回答を得た。ロン・オズワルド書記長、マ・ウェイ・ピン地域書記と相談し、両氏とも同労組の条件を受け入れて再加盟を認めることをIUF三役会および執行委員会に推薦することに合意した。

4. 今後の予定
l TWTG委員会:2月6日、ジュネーブ(フード連合:全たばこ労組藤川氏、JCC見里)
l ICFTU-APRO女性委員会:2月16日、メルボルン(UIゼンセン同盟:中野氏)
l ICFTU女性大会:2月18日、メルボルン(UIゼンセン同盟:中野氏)
l ILO三者構成会議(タバコ産業の今後の雇用):2月24〜28日、ジュネーブ(フード連合:増渕副会長、同全たばこ労組中村書記次長)
l グローバル・コカコーラ会議:3月3〜4日、ニューヨーク(フード連合:近畿コカコーラ・ボトリング労組岡本委員長、日浦氏、UIゼンセン同盟:二宮組織局長、同東京コカコーラ・ボトリング労組渡邉委員長、同仙台コカコーラ・ボトリング滝田委員長、JCC見里)
l 国際女性デー:3月8日
l IUF-A/P女性委員会・女性セミナー:3月11〜14日、ジャカルタ(UIゼンセン同盟:中野氏)
l JCC第6回三役会・第5回運営委員会:3月31日

5. その他
l 加盟組織一覧表の更新(別紙)
l 在日GUF(国際産別)担当者・連絡再起リストの更新(別紙)
l ICFTU機関紙Trade Union Worldの翻訳文「労働者のための『枠組協約』」、「奴隷の子供たちにとっては、チョコレートは苦いだけ」配布
l サンミゲール本社労組、サンミゲール・フーズ労組、コカコーラの1工場、ネスレの1工場を組織しているフィリピン運輸一般労働組合(PTGWO)より、JCCにIUF加盟の支援をして欲しいとの要請があり、ロン・オズワルド書記長、マ・ウェイ・ピン地域書記に働きかけを行った。今春の三役会および執行委員会の審議にかけられる予定。一方で、フィリピンのファーストフード・チェーンのジョィビー労組ともIUF加盟の話をしているが、NUWHRAINとの関係などからマ・ウェイ・ピン地域書記は同労組の加盟に否定的である。
l UIゼンセン同盟の大出氏より、JHC(ニッコウ・ホテル・システム)に係わる争議対応に関して報告があった。JHCは、ホテルの経営システムを売り込み、現地資本ホテルに経営のノウハウを導入する企業であり、基本的にホワイト・カラーの職場である。同労組はUIゼンセン千葉県支部所管で、組合員50名程度であるが、企業内における立場や企業方針からいって、海外の労使紛争に充分な対応が出来ない状況にある。今後、UIゼンセンとしての指導を強め、国際的課題をインプットしたいとのコメントがあった。
l UIゼンセン同盟の大出氏より、3月に開催されるグローバル・コカコーラ会議に出席するにあたり、会議の主旨や論議ポイントなど、出席者への事前インプットをしっかり行うべきとのコメントがあった。3年前にマニラで開催されたアジア太平洋地域のコカコーラ会議直後、現地組合がロックアウトを受けたが、これは経営からIUFに対するあからさまな挑戦とも取れる。こうしたことに対しても、IUFとしてきちんとした対応が取れるよう準備する必要性がある。

協議事項
1. 2003年度IUF会費・A/P地域活動基金徴収に関して
第24回IUF世界総会の決定に基づいて、2003年度IUF会費を一人当たり2.15スイスフラン徴収する。A/P地域活動基金は、例年通り一人当たり0.4オーストラリアドルを徴収する。為替レートに関しては、1スイスフランは90円(予算策定レート:80\/CHF)、1オーストラリアドルは72円(同:68\/A$)に設定し、日本円にて徴収することが承認された。
 本部およびA/P地域事務所への支払いは、それぞれ第一四半期内となっているので、2月末日までにIUFに本事務所にご送金いただき、為替の動きを勘案してタイミングを見て3月末日までに送金する。送金実績は次回運営委員会(3月31日)に報告する。

2. 第27回海外労働学校参加者募集に関して
 第27回海外労働学校を、予定通りオランダ(リールサム)およびジュネーブにて5月19〜29日の日程で開催する。オランダでは現地の労働事情やオランダ・モデルなどに関する労働講義、組合組織訪問および組合役員との交流、食品・飲料工場見学、ジュネーブではIUF本部訪問や国際関連組織(ILO、国連欧州本部、国際赤十字・赤新月博物館)訪問を企画している。参加費用は一人当たり28万円とし、2月末日締め切りで約30名の募集をかけることが承認された。
今回は、現地の研修施設の関係で宿泊施設に限りがあり、人数の超過枠が2〜3名程度である(参考:第23回31名、第24回32名、第25回30名、第26回33名)。このため、募集状況によっては、複数名派遣を予定する単組については、人数調整をお願いする可能性がある。
また、各組織とも極力女性の派遣を検討していただくこと、特に複数名派遣を予定される組合は、少なくとも1名女性を含めていただくことが確認された。

3. 争議支援・連帯活動に関して
IUF本部の要請に応じて、@エクアドルのバナナ労働者支援を目的とした葉書キャンペーンの対応、Aシャングリラ・ホテル・ジャカルタの争議に関する抗議文送付(2回)、B香港の労働運動を制約する基本法第23条に反対する抗議文送付、C中国の労働活動家の拘束と国家転覆罪による裁判に反対する抗議文送付、Dグアテマラのペプシコにおける組合権侵害に対する抗議文送付、などについて対応した。
シャングリラ・ホテル・ジャカルタに関しては、その他に緊急食糧基金への寄付と各国のインドネシア大使館への働きかけが要請されており、この対応について運営委員会で協議した。同争議は泥沼化し出口が見えないが、争議の解決に向けたロン・オズワルド書記長とマ・ウェイ・ピン地域書記の戦略が合っているかも含め、4月のインドネシア・ミッションで現地の実態を確認した上でJCCとしての対応を決定する。特に、前回の寄付の時も今回と同様の論議をしており(A/P-RCでの確認を前提に寄付を実施)、同じことの繰り返しにならないようにすべきとの意見が出された。

4. 日本ビルマ事務所支援に関して
2001年4月に連合の支援で設立されたビルマ事務所への支援として、現在同事務所が発行する機関紙を定期購入しているが、今回、支援の拡大について要請があった。要請の内容は、かくGUFの日本協議会もしくは日本の代表として、まとまった額の支援を行うというもの。同事務所は、事務所経費を連合からの支援で賄っているが、活動費は機関紙の購読料に頼っており、充分な活動が出来ない状況にある。
現在IUF-JCCとして機関紙を1部購入(3,000円+送料140円×12か月分=4,680円/年)している他、加盟組織別にも機関紙の購入を行っている。一方、自治労は購読部数と関係なく、年間1百万円を支払っている他、いくつかの産別も実際の購読料以上の金額を支払っている。今回の提案では、これらの産別の支援金もGUFの日本協議会に集約されることとなる。
JCCとしての具体的な寄付のあり方については、寄付金を渡す方法が良いか、機関紙の購読数を増やして広報活動への支援も含めた形で対応する方法が良いかの判断も含め、ビルマ事務所の目的、財政状況、今回の寄付がどのような活動に使用されるのか等の具体的な提案内容を確認したうえで、次回の運営委員会で再度論議することとする。
また、JCCとして支援する際の基準(公正さと透明性)の明確化も行う。

5. インドネシア・ミッションに向けて
2001年の地域総会における菅井副議長からの提起以来、JCCとして主張してきたインドネシア・ミッションが今年4月に実行に移されることとなった。今回は国際運輸労連(ITF)アジア太平洋地域部長の和田氏、ユニオン・ネットワーク・インターナショナル・アジア太平洋地域(UNI-APRO)東京事務所の伊藤氏をお招きし、両組織のインドネシアにおける組織化をはじめとした活動をご紹介いただき、インドネシアの労働運動の問題やIUFの組織化に関する課題を論議し、インドネシア・ミッションでのポイントを明確化することを目的とした討議を行った。主な討議内容は以下の通り。
l ITFの組織化活動および戦略
ITFは比較的長いことインドネシアの組織と関係を持ってきた。1978年の船員労組の加盟から、徐々に組合を増やしてきた。既に戦前から1931年に路面電車職員を組織化している。独立戦争当時は、ハッタと連携するなかで活動を展開した。鉄道3万人。路面2〜3千人まで拡大したが、1965年の政変で組合は一掃され、多くの組合役員が囚人島へ流され、一生を閉じることとなった。
1978年当時、インドネシアの船員組合は充分な活動をしている組合と見ていなかったが、既に国際市場に多くの船員がでていたので、国際基準守らせること共に、民主化の教育を意図した組織化であった。この時点までは、ICFTUと連携して活動してきた。しかし1985年のSPSI結成による産別解散により、多くの国際産別(ITS)がインドネシアから撤退したが、船員組合だけはITFの組合員でないと国際船に乗れないことから、独立連合が認められてきた。これによりITFは加盟組織を保持し続けた。
1990年代半ばに、ICFTUとITSが協力して、SPSIに内部改革要求を突きつけた。それまで政府が集めて配分していた組合費の直接徴収、組合員数の把握、退役軍人・退職政府役員・ゴルカル党の影響力の排除を要求し、FSPSIは受入を表明してきた。一方この時期、独立労組SBSIが設立され、それまでの組合の産別志向とは違う地域最低賃金改定を目指すことにより、一時的に大きな支持を得て規模も急速に大きくなった。しかし、メダンの暴動に係わった事から弾圧されるに至った。
このように、規制組合の民主化の進展と独立労組の誕生の中で、スハルト政権が崩壊した。政権が変わった時に大きな期待が寄せられたが、結果的に軍・政府・ゴルカル関係者の大部分は、特に中央レベルで組合組織に生き残った。しかし、かつての汚職・癒着・縁故主義に見られたようなマッチポンプ的手法は無くなった。
インドネシアの労働組合の問題は、低い教育レベル、低賃金からの組合費徴収の困難などが挙げられる。航空関係・バス・港湾は全国レベルでの活動が出来ていないのが実態である。
現在ITFの加盟組織は、FSPSI関係組合で3つ、SBSIジャカルタ・バスなどがある。また、公務員関係(鉄道、ガルーダ)を中心に組織化をしている。統一ナショナルセンターのITUCがICFTU-APROの指導で今年設立されたが、ITFグループはITUCに加盟していない。これは所属する上部組織の選択は地元に任せるが、どのような選択をするにしても分裂すべきではないと指導して、彼らが選択した結果である。

l UNIの組織化活動および戦略
ASPEK IndonesiaがUNIの唯一の加盟組織であり、加盟組織の協議体ともなっている。1998・99年当時、銀行労働者がワークショップ・セミナーをFIETの支援を受けて行い、若い失業者を中心にASPEKが設立された。過去に捕らわれない活動として展開してきた。支援した結果が実績として目に見え、活発な活動となっている。
銀行労組出発点で、ホワイトカラーの学歴の高い人が中心となって展開したので、グローバリゼーション論議が行われたり、労使協議を重視するなど、他のアジアの国と比較しても見劣りしない活動となっている。商業、郵便、テレコム、その他公務部門労働者を組織。若い人が若い人を呼び、急速に組織拡大が進んでいる。専従5〜6名。サクセス・ストーリーを歩み、ドナーからの援助を得やすい。IT研修センターなどのインフラを持つ。交渉においても、落としどころを考えるなど、堅実な交渉スタイルを持っている。
公務員部門の組合自由化が、組織拡大の大きな契機となった。それまでの公務員組合KOPRIから続々と脱退し、ASPEKに加盟している。郵便局経営から民主的組合活動の講演依頼されたときは、全国の40名程度の組合設立者が集まっていた。
最初は占領軍の組合が、直ぐに独立した組合になっていく。ペース速いか。既に第2組合が生まれている。
あまり政府が作ったとか、誰が影響力を持っているとかは関係ない。日本の戦後GHQの指導で会社が組合を作っても、直ぐに自立した運動に発展したように、官製組合といわれていても、いずれ変わる。アプローチが正しく、若い人たちを手助けできれば、まだ組合の組織化は進められる。色眼鏡をかけないことが大切である。

l IUFの課題は何か
 和田氏、伊藤氏ともに、組織化活動の中核に弁護士やNGOの担当者が就いていることの問題点を指摘された。組合的な組織化の進め方でないがために、直ぐに裁判闘争に入ってしまうなどの弊害が起きることの危険性がある。核となる組合を中心に、組織化を進めるべきである。
 いままで支援してきたSBSIをIUFは見放したが、これも現地の労働者にはプラスに作用しないのではないかとの指摘があった。現在SBSIの上部は政治活動に入り込んで、組合が政治の道具となりかねない状況にあることは確かであるが、そこに組合員がいるのであれば支援を続けるべきである。SBSIは現在WCL系に支援を頼っているが、ITFやIUFが協同で支援すべきではないか。
ITFでは、発展途上国の組合を組織化する場合、助走期間を数年間見て、加盟組織の周辺に準加盟組織という位置付けにする。IUFは良い組合か悪い組合か色分けを先ずして、悪いと判断したら全く接触しない。FSPSI系でもシェラトン・ホテルなど、中央と関係なく一生懸命活動している組合がある。
地域書記が純粋な理想主義者なので、基準が厳しい。若干な歪みがあっても活動するにしたがって、自立性が出てくる。自ら、組織化の機会を失っている。

l インドネシア・ミッションで何を確認するか
大きな国なので幅広く見て、一回で理解できるとは考えないほうが良い。シャングリラの事例を具体的に見ると良いといったアドバイスを、和田氏、伊藤氏から頂いた。
次回の運営委員会(3月31日)に再度ミッションのポイントについて確認する。

以上