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Uniting Food, Farm and Hotel Workers World-Wide


貫タスマン乳業、さしせまるリストラに対応し、オーストラリアとニュージーランドの労組が会議開く

Posted to the IUF website 27-Nov-2002





乳業労働者を代表するオーストラリアとニュージーランドの労組が組合員に逼迫する変化の影響に立ち向い、協力の可能性を探るために今年2回目の会合を持った。

強力な多国籍企業が推進力となり世界の食品加工産業はリストラと統合の波に急速に直面してきている。オーストラリアとニュージーランドの乳業もこの例外ではなく、規制緩和が行われ、グローバルな市場力に晒されるようになって以来、既に他で起きている螺旋降下に追いついてきている。

本会議はメルボルンで2日間にわたり(2002年11月7−8日)開催され、40名以上の参加者が集まった。参加者は圧倒的に大企業、協同組合の加工労働者や運転手を代表する一般組合員からなる代議員であった。これらの企業、協同組合はボンラック、ムレイーゴルバン、デイリーファーマ―ズ、ナショナルフーズ、ネスレ、クラフト、パールス、フォンテラなどである。参加者は、ヴィクトリア、ニューサウスウェールズ、南オーストラリア、ニュージーランドの各職場から参集した。これらの労働者を代表する労組の役員も出席した。本会議はIUFアジア太平洋書記局が加盟組合と友誼組合(全国労働組合、酒類・接客業・般労働組合、ニュージーランド乳業労組、交通労組)との協力により開催したもので、全国労働組合(NUW)が受け入れ組織となった。

ビル・プリチャード博士(シドニー大学)が国際食品産業のリストラの概要とオーストラリア乳業の推移につき報告を行った。ニュージーランド、ワイカト大学のマイケル・ローがオーストラリアとニュージーランドの乳業の比較分析を行った。

以下が会議で共有された情報の要約である。

オーストラリアの乳業は年間約110億リットルの牛乳を生産している。これはオーストラリア全6州の70の製造現場で加工されている。ニュージーランドの年間生産量は125億リットルで、これは30に満たない加工現場で加工されている。

オーストラリアの乳業は約11,000名の従業員を雇用している。さらにこれに酪農労働者、運転手が加わる。ニュージーランドでは6500名が雇用され、さらに酪農労働者、運転手がいる。

中小規模の加工工場は(1日に約150万リットルの牛乳加工)オーストラリアに多い。ニュージーランドでは工場の規模は中から大規模である。ニュージーランドで最大の工場は1日1500万リットルの牛乳を加工し、約800名の労働者が工場で働き、約1200名の酪農農家から牛乳を仕入れている。

オーストラリアで生産される牛乳の85%以上が五大乳業会社・協同組合(デイリーファーマーズ、ナショナルフーズ、ボンラック、ムレーゴルバーン、ネスレ)によって買い取られている。独占的な1社のみで、フォンテラはニュージーランドの乳業の約95%以上を支配し、世界の乳業のグローバルプレイヤーを自負している。実際、フォンテラは世界第4位の乳業企業である。米国と欧州連合での操業を通じ年間180億リットルの牛乳の取り扱い高で知られている。

昨年のニュージーランドにおけるフォンテラの結成は、グローバル化に対応し、本産業で何年にも渡り整理統合が行われた結果である。1960年ごろ、協同組合の数は180、工場数は268であった。この数は1980年には協同組合が32、工場が89と減少していった。2002年までに巨大な協同組合が3つで工場数は約20となった。結果、ニュージーランドの乳業では整理統合の大部分が既に行われたが、オーストラリアの乳業では、技術変革とリストラを含む整理統合の大部分が、これからまさに起ころうとしている。

と同時に、グローバル乳業におけるいくつかの主だった国際プレイヤーは、オーストラリア乳業の相当な部分を買収しており、これら資産を支配するために、またここから利益を生み出すために、リストラの実施、合併に影響を与える用意を整えている。

パルマラット、イタリア生まれの乳業部門の主要多国籍企業はオーストラリアの六大乳業業者であるポールスを買収した。

フォンテラは急速にオーストラリアでの取得株式を増やしている。ナショナルフーズの18%を所有し、西部オーストラリアのピータースエンドブラウンズは100%所有、ボンラックは25%所有している。多くの契約を通じ(ボンランド乳業として知られている。50−50のジョイントベンチャー)ボンラックは事実上フォンテラの支配下にある。

ダノン(親会社はフランス)は、ビスケット、ヨーグルト、ミネラルウォーター事業を核とする主要多国籍企業のひとつであるが、株式市場に上場しているオーストラリアの大きな乳業会社、ナショナル・フーズの10.1%の株式を取得した。

ナショナルフーズの株式はフォンテラが18%、ダノンが10.1%、デイリーファーマーズが8%取得している。この比率は安定しておらず、近い将来この内のひとつの企業が買収するだろうということを示唆している。

この急速な発展の結果として、オーストラリアの乳業労働者は現在の、またこれからの変化に対応しなければならないという試練に直面している。これらの変化は政府の政策がネオリベラリズムのグローバル化の力と合体しているために簡単に止められるものではない。強力な家庭小売り業チェーン(ウールワースなど)が更なるリストラの推進力となっている。

ダノンあるいはフォンテラが5大乳業会社の一企業を買収し、これを支配することが現実になりそうである。

労働者にとってこれが意味することは何だろうか?また組合はどのようにグローバルな国籍を超えた事業展開をし、本社を外国に置く強力な新しい経営者に対処する準備をすべきだろうか。

一つの戦略はIUFを通じて可能になる。IUFはグローバルな枠組み協定をフォンテラおよびダノンと結んでいるが、この協定により会社は基本的労働権を尊重しなければならず、IUF加盟組合にこれら多国籍企業の本社経営者へのアクセスを与えるものである。

メルボルン会議ではIUFが多国籍企業に対処する経験とIUFと二つの大きな乳業会社ダノンとフォンテラ間の協定に関する簡潔な報告があった。

IUF−フォンテラの協定(2002年4月調印)により、IUF−フォンテラ合同検討委員会が一年に一回開催されることになった。第1回目の会議が2002年11月中旬にオークランドにおいて予定されている。アジア太平地域から、チャーリー・ドネリー、NUWヴィクトリア書記長、レイ・ポトロス、NZDWU書記長、IUFアジア太平洋書記、マーウェイピンが5名の委員団の委員であり、IUF書記長ロン・オズワルドが団長としてIUF側を代表する。

会議ではオーストラリア代議員はオーストラリアの乳業企業が外国企業に買収されることに関して当然心配した。自由化と規制緩和が蔓延する現在の政治状況から、このような結末に対する戦略を準備することが肝要であると多くの人が感じた。

雇用保障、臨時雇用、安全衛生の問題が会議で強調された主要な問題点である。

更に考慮を要する多くの問題が提起された。

オーストラリア乳業のこれらの切迫した変化の下、ダノン、パルマラット、ネスレ、フォンテラなどの海外の多国籍乳業会社に組合が対応しなければならない状況が増えている。ひとつの重要な問題は、世界のこれらの企業で働く乳業労働者を代表する海外の組合との連携を確立する意味は何かということである。そしてこれを良しとするならば、相互協力を進めるにどのように連携を確立するかということである。

乳業産業に焦点をあてた貫タスマン組合の連携はどうだろうか?コミュニケーションと調整を行う正式な機構を開発する必要があるだろうか?

オーストラリアの組合にとってもっと重要で、緊急を要する問題は、全国で70ある製造現場の乳業労働者を代表する組合間でコミュニケーションの連携を急速に作り上げる必要があるだろうかということである。

全ての組合役員と職場代表の間でコミュニケーションと情報の流れを強化する事が重要であると合意された。メルボルン会議で出された提案のひとつは貫タスマン会議のフォローアップを12ヶ月以内に行い、IUFアジア太平洋のウェブサイト上に情報交換のためバーチャル掲示板を設置するというものであった。

IUFアジア太平洋地域会長であるグレッグ・ソードが会議の開会及び閉会で挨拶を行った。