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Uniting Food, Farm and Hotel Workers World-Wide


2009年度第6回IUF-JCC運営委員会議事録(2009/07/03)

Posted to the IUF website 14-Jul-2009





味の素労組会議室で行われた標記委員会の報告を下記の通り致します。
(日 時)2009年7月3日(金) 15:05−17:55
(出席者)江森、山本、植田(フード連合)、徳田、郷野(UIゼンセン同盟)、小川、大谷(全国農団労)、田上、岡田(サービス連合)、見里、高田(JCC事務局)
合計11名(敬称略)

第1部
報告事項
1. JCCセミナー報告

 6月10日、UIゼンセン同盟本部大会議室にてJCCセミナー「フェアトレード調達 〜食品関連産業のCSRを考える〜」を開催した。一般参加者は加盟組織を中心に53名、講師・事務局を含め合計で60名がセミナーに出席した。主なセミナーの内容は以下の通り:
● 基調講演「フェアトレード調達とCSR」拓殖大学国際学部長坂教授:先ず、フェアトレードの概要と日本における市場規模の現状と展望について説明があった。日本におけるフェアトレードの市場規模は、発祥の地のヨーロッパに比べると未だ小さいものの、今世紀に入ってから急速に拡大しており、もはやニッチ市場以上の存在となっている。次に、企業が取り組むことの意義について、企業の社会的責任(CSR)を求める声の高まりと共に、サプライチェーン・マネジメントの一部として、児童労働や強制労働などの不正労働の排除や環境基準に対応した原材料調達に取り組むことが重要な課題となっている事が指摘された。
● 地域報告「原料調達におけるCSR」IUF-A/Pマ・ウェイ・ピン地域書記:食品関連産業は信用や信頼性に大きく影響を受ける脆弱な産業であるが、グローバル化が深化する中で国家の影響力が相対的に低下し、企業の自主的な規制が重要になってきている。一方で、従来のマス・メディアとは異なるインターネットなどのソーシャル・メディアは、社会的責任という仮面の下で行われる企業の反社会的活動を暴きだす効果もあり、企業による一方的な宣言としてのCSRではなく、労働組合との国際的な協約(国際枠組協約:IFA)を目指すべきであると指摘された。
● パネルディスカッション:長坂教授をモデレーターに、イオントップバリュ且謦役トップバリュ商品本部長の堀井健治氏、ピープルツリー/フェアトレードカンパニー潟fィレクターの村田薫氏、フード連合副会長(全森永労働組合委員長)小澤嘉男氏の3名をパネリストに迎え、パネルディスカッションが行われた。堀井氏は流通業の主要企業としての先進的な取り組み、村田氏は90年代、草の根の活動から始まったフェアトレード輸入の経験、小澤副会長はフード連合のCSR活動について紹介された。

2. NGOとの協働
(1) NGO-労働組合国際協働フォーラム

● 児童労働ネットワーク、ILO駐日事務所と共催で、6月6日に児童労働イベント「闇の子供たち」上映会とシンポジウムを、全電通会館ホールにて開催した。今年は有料イベントとしたが、定員400名の会場が満席となった。シンポジウムでは、「闇の子供たち」プロデューサーの椎井友紀子氏から映画撮影に関わる話を聞いた後、ILO長谷川駐日代表から児童労働の現状に関する報告を受けた。その後、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンのシニア・アドバイザーを務める東京工業大学特任教授の森田明彦氏をモデレーターに、パネリストに人身取引ネットワークの斉藤百合子氏、国際子どもの権利センターの甲斐田万智子氏、CSECジャパンフォーラムの百瀬圭吾氏の3名の現場で活躍するNGO代表者を迎え、パネルディスカッションが行われた。
● HIV/AIDSグループでは今年も8月7日に「エイズ文化フォーラム in 横浜」に参加することを決めた。
● 7月23日に「協働事例報告会」が開催される。
(2) 児童労働ネットワーク(CL-Net)
● 「6・12児童労働反対世界デー」にあわせたキャンペーンを、5月5日(子どもの日)から既にスタートし、6月30日まで実施した。
● 大阪で、6月6日に児童労働反対ウォークが行われ、フード連合近畿コカ・コーラ・グループ・ユニオンから飲料の提供があった。
● インドで児童労働問題に取り組むM.V.Foundationのラガット・ヴェンカット・レディ氏と、同財団を支援しEUに対するアドボカシー活動を行う「ストップ児童労働、学校が最良の解決策」キャンペーンの国際調整官ヴェロニク・フェイジェン氏を日本に招いて、6月27日に専修大学内にてシンポジウムを行った。
● 児童労働に関する政府提言のための3万人署名を実施した。JCC加盟組織にもご協力いただいたが、6月30日時点で15,952名分の署名しか集まっておらず、目標の3万人に届かず、しばらく継続して署名活動を行う。

3. 争議支援・連帯活動
【緊急行動要請】
● パキスタンのユニリーバ・リプトン/ブルックボンド紅茶工場で、労働者の大半を占める派遣労働者が正規雇用を求める闘争で、行動委員会に加わった約3分の2もの派遣労働者が賃金を支払われることなく帰宅させられたことを受け、同社CEOに対し行動委員会に対する差別的な報復措置を即時やめるよう求める抗議文を送った(6月18日)。
● パンジャンのネスレ・インドネシア労組は、2年に亘り賃金および労働協約改定を求めてきたが、基本的労働組合権を侵害して組合員とその家族に権利放棄の強力な圧力をかけていることを受け、ネスレ・インドネシアの経営に対し賃金交渉を認め労働協約に賃金算定方式を含めるよう要請する抗議文を送った(6月24日)。
【個別活動】
● 「Casual-T」キャンペーン:パキスタンのユニリーバ・リプトン/ブルックボンド紅茶工場での非正規労働者への差別行為をやめ、組合との交渉の上で正規労働化することを求める葉書キャンペーンに関し、前回運営委員会および各加盟組織の確認を経て、1000枚の葉書を印刷し各組織に協力要請した。印刷した葉書は、フード連合350部、UIゼンセン同盟、全国農団労各200部、サービス連合150部を各組織に送付した。7月2日現在で、UIゼンセン同盟から134枚の葉書が発信されている。
● 「イランの労働者に正義を!」キャンペーン:イランで独立した民主的労働運動が弾圧され、IUFに加盟したハフト・タペ製糖労働組合のリーダーを含む組合役員が不当に逮捕されていることに対し、ITUC、ITF、EIとともにIUFは共同キャンペーンを実施している。キャンペーンはグローバル行動日を6月26日に設定し、加盟組織に行動を呼びかけた。日本では、連合、ITF東京事務所およびITF-JC、IUF-JCCが共催で、6月24日に集会を開催し、アピール文を採択した。本アピール文は、グローバル行動日の当日(6月26日)に、イラン大使館を訪問して手渡す予定となっていたが、いまだに実現していない。

4. 各組織報告
● フード連合
:春闘6月16日集計は、同一組合で5,449円(1.87%)昨年比+150円であるが、300万人未満企業で3,742円(1.57%)昨年比-211円となり、先行グループの成果が中小に波及できていない。BUもしくは賃金改善を勝ち取ったのは43単組で昨年の62単組から減っている。組織拡大に関して継続して取り組んでいる。2002年11月の結成時に104,000人いた組合員は、一時95,000人まで落ち込んだが、今年7月現在でようやく100,300人に回復した。その内パートタイム労働者は5,200名、グループ企業やパートの組織化が一定程度の成果を挙げていると捉えている。6月30日から本日まで、韓国化学労連との定期交流で3名を派遣している。現在、大会に向けた運動方針を論議しており、最終的に7月27日の中央執行委員会で決定する。
● UIゼンセン同盟:9月の大会に向けて6-7月の地域フォーラムで運動方針の確認をしている。連合会費を中心とした財政問題に関し質問意見が出されている。中間念であり、大木の論議は無い。組織拡大にかんしては、新たに45,000人程度の組合員を迎え入れたが、減った分との差し引きではあまり増えていない。組合員総数の46%がパートタイマーを始めとした非正規労働者である。
● 全国農団労:春闘は今月の大会まで精査中であるが、現時点では単純平均で5,300円。パートタイム労働者の待遇改善は要求組合の10分の1に当たる9単組で実現した。時給などの均等待遇に今後も力を入れて行きたい。6月4-6日に九州の大型直売所の視察・研修を行った。自然生態系農業の有機農業の視察も行った。運動方針は現在作成中。
● サービス連合:春闘、ほとんどの組合で定昇確保がやっと。一時金は年間協定を行う組合で夏冬別交渉に分けられるなど厳しい交渉となり、結果的に支給月数が低下した。労働条件の向上に関しては、人事制度の見直しを駆け引きで逆提案される組合もあり、何とかはねつけたか、再度交渉に入る組合もある状況である。第9回定期大会を今月15日にヒルトン東京で開催する。運動方針の中でも、組織拡大は5万人を目指す。この2年間で2,500-2,600名程度増えており、更にその上を目指して中心課題として取り組む。秋から労働協約改定交渉を行う組合があるが、統一的な取り組みをしていく。

5. 今後の予定
● 第9回サービス連合定期大会:7月15日、ヒルトン東京
● NGO-労働組合国際協働フォーラム協働事例報告会:7月23日、総評会館
● 全国農団労定期大会:7月24-25日、伊東ハトヤホテル
● 第10回A/P-HRCT会議:8月4-5日、クアラルンプール(マレーシア)
● 第3回A/P農業会議:8月7-8日、クアラルンプール(マレーシア)
● エイズ文化フォーラム in 横浜:8月7日、神奈川県民会館
● JCC人事検討委員会:8月25日、17:00〜
● フード連合定期大会:9月7-8日、TOC有明コンベンションホール
● UIゼンセン同盟定期大会:9月9-10日、新宿厚生年金
● A/P地域委員会:9月16-17日、バンドン(インドネシア)
● JCC拡大運営委員会:10月5日、味の素労組会議室

6. その他
● 改正農地法関連記事
● 食育関連映画情報「未来の食卓」、「Food Inc.」
● JCC職員賃金引上げに関して、加盟組織プロパー職員、連合スタッフユニオン、世間の妥結状況を踏まえて、今年度はベースアップを行わないことを決めた。定期昇給は賃金表に基づき4月に実施済み。夏季一時金に関しては2.5ヶ月とし、過日支給した。

協議事項
1. 2010年度JCC運動方針に関して

JCC事務局より提案した活動方針案について議論した。運営委員会メンバーよりいくつか修正・追記の提起があり、これらを含めた修正案をメールで持ち回り審議することを確認した。事務局提案の来期活動方針の、新たなポイントは以下の通り:
● 日系多国籍企業活動を重点課題として入れ、具体的活動の中にも項目を設けた。
● 今後の組織のあり方とJCCの役割に関する検討を重点課題として取り上げ、具体的には、@国内的には、通訳費負担を含めた加盟組織へのサービス機能の整理、A世界に向けては、2011年地域総会、2012年世界総会後の体制の検討(ジェンダー、北東アジア内の調整)をスタートさせる。
● 事務局の着実な継承・発展を図る目的で、2010年度のみの時限的なポストとして事務局次長を設ける。

2. A/P地域委員会に向けて
 JCC事務局より地域委員会に合わせた視察プログラムの提案を行ったが、運営委員会直前にマ・ウェイ・ピン地域書記より開催日変更の打診があり、視察プログラムの論議は行わなかった。
日程変更の理由は地域議長のオーストラリアNUWチャーリー・ドネリー書記長の都合によるものである。地域書記からは、JCCとして代替案を3通り提起して欲しいとのことであったが、大会シーズンでもあり代わりの日程を設定するのは極めて困難であることが判った。7月7-8日にA/P事務所に見里が行くので、本運営委員会欠席の金議長の都合を確認した上で、オリジナルの日程での開催を再度求めることを確認した。最悪の場合は、地域議長のつき易い様に開催場所をNUW本拠地であるメルボルンに変更し、オリジナルの日程を1-2日前後にずらすか、翌週の日本の連休中に開催することも選択肢として持ち、交渉することを確認した。

3. 国際連帯基金の使用に関して
 上記地域委員会の開催に際して、本部からの交付金が使用できないことから、必要経費をオーストラリアと日本で分担することが前回のJCC三役会で承認されている。A/P書記局からは、経費の概算額A$6,560が試算されており、その半額A$3,280(約27万円)を国際連帯基金から拠出することを、本運営委員会に提案し了承された。
 但し、地域委員会の開催日の変更に合わせて開催場所が変更する場合は、必要経費が変わってくるので、そうした点も踏まえて上記日程変更に対応することを確認した。


勉強会
「2010-2011年 連合政策・制度要求と提言、国際政策『公正なグローバル社会の実現』」
講師:連合総合国際局長 生澤千裕氏


【背景と考え方】
● 大きく捉えると、地球平和の問題と、グローバル化への対応の2つの視点で政策を作成している。

【具体的政策】
1. 平和人権を守る外交推進により、暮らしの安心・安定・安全を確保する。
● 世界平和の構築を武力に頼らず、人間の安全保障視点で追及する。人間の安全保障とは、貧困撲滅、人権確立、良い統治を各国で確立して行くといったこと。
● 来年のNPT(核兵器拡散防止条約)再検討会議では、核兵器廃絶の道筋を明らかにする実効ある合意形成を目指す。連合は核兵器の廃絶に向けて力を入れて取り組むこととしており、既に署名運動も開始している。
● 北朝鮮の核問題については6カ国協議を通じた対応に加えて、北東アジア非核化条約の形成といった手法も必要。
● 在日米軍基地の整理縮小など、日米安保条約に関する課題についても取り上げる必要性もある。

2. グローバリゼーションが公正で人に優しい社会・経済構築に向かえるよう、国際機関の機能強化と社会対話を促進する。
● 市場万能主義・新自由主義がはびこる中で、貧困や雇用の劣化が進んでいる。公正で持続可能なルールを国際レベルで構築する必要性が高まっている。そのためには社会的側面を、あらゆる政策の中に埋め込んでいくことが重要である。
● 世界政府が無い中で、ルールが世界的に一貫性を持って張られていない。公正なガバナンスをグローバル・レベルで図っていく必要があり、国連の経済社会理事会の機能強化を図ることなどが重要だと考える。
● 具体的に進んでいる議論は、グローバル化を持続可能なものにしていくための憲章を作ろうというもので、9月にピッツーバーグで行われるG20サミットで憲章の内容についての何らかの提示があるのではないかと思っている。ドイツが中心になって作業を進めているとの情報がある。
● WTOの中に、社会条項(労働者の権利、環境等)を盛り込むことが必要。既に、こうした議論は15-16年にわたり行われている。冷戦体制崩壊後に新国際経済秩序をどう構築するのかということが語られ、グローバル化への期待もあったわけだが、多くの負の側面が顕在化する結果となってしまった。しかし、政策の実現は、保護貿易につながるのではないかと懸念する声もあり、なかなか進んでいない。
● WTO以外の国際機関も、世界政府が無い中で政策に一貫性を持たせることが困難だという点で弊害が出ている。こうした国際機関の意思決定に、労働組合や使用者団体のソーシャルパートナーが入ることが必要である。特に、APECには組合が考えているような社会的側面はほとんど入っていない。全会一致の合意が原則となっており、一国でも反対すると決定に至らない中で社会的側面が前進しない。来年は日本でAPEC首脳会議が開催されるので、連合として力を発揮したい。
● FTA/EPAなどの2国間の経済連携にも労働者の権利を盛り込んでいきたい。日本が締結した2国間協定には組み込まれていないが、2007年の米/ペルーや同年のEU/チリの協定には中核的労働基準が入っている。政府の2国間協定の研究会に労働組合を参加させるように要求していく。労働組合自身の専門性の有無も課題である。

3. 中核的労働基準の尊重・遵守とILO条約批准を促進し、ディーセントワークを実現する。
● ILO条約批准の取り組みは、先ずは中核的労働基準8条約中未批准である105号、111号の2条約の批准の働きかけが最優先である。
● ODAの実施に際しても相手国に対し、中核的労働基準の遵守を求めていくことが必要である。
● 日本の中でも派遣労働をはじめ、ディーセントワークが実現していない部分が多々ある。国内行動計画が必要で、その点で政府も同じ思いだが、使用者側の同意がまだとれていない。

4. グローバルにバランスの取れた、持続可能な社会開発に向けた取り組みを推進する。
● ODAは、MDGsの達成のためにも不可欠であり、国連が決めた各国拠出目標(GNI比0.7%)の達成に向けた努力が必要。しかし、現在、日本は財政難から0.18%まで低下してしまった。一方、他の先進国はここのところODAを増やしてきている。
● ODAの執行は政府だけではむずかしく、NGOが有効であることが国際的共通理解となっているが、日本の理解は十分とは言えない。連合はもっとNGOの力を借りるべきと考えている。十分な資金の流れも作るべきで、JILAFに対しても資金が流れるようにして欲しい。
● 投機的資金の動きを抑制するとともに、金融危機の中でODAが先細りしていることにも対応するための国際課税制度の導入に向けた議論が必要。
● ビルマなど、人権問題を抱えている国に対するODAは人道的支援に限定しなければならない。
5. 多国籍企業が社会的責任を果たしていくよう、多国籍企業に関する取り組みをいっそう強化する。
● グローバル化の中心的なアクターである多国籍企業に関しては、ILO三者宣言やOECDガイドラインがある。双方とも拘束力は無いが、これを普及していくことで、少しでもこうした原則が守られるような状況を作る必要がある。
● OECDガイドラインでは、各国の実施窓口としてナショナルコンタクトポイント(NCP)が設置されているが、日本のNCPは政府のみで構成されている。政府だけでは難しい問題を労使が入って解決できるよう、昨年、政労使三者構成の日本NCP委員会を設置したが、日本経団連はまだあまり積極的でない。日本NCP委員会の機能強化が課題である。

6. 人権擁護など、「国際的な人の移動」の増加にあわせて必要となっている制度を拡充する。
● 売春目的などでの人身売買の問題が指摘されており、取り組みの強化が必要。
● ビルマ人をはじめとする難民受け入れについては問題が多く、申請から受け入れ確定まで最終的に3年半も掛かり、審査は透明性を欠いており、改善が必要。
● 外国人による犯罪への対処のあり方として、犯罪人引渡し条約の締結や代理処罰制度の活用を提言している。

【Q&A】
Q1 サッポロビールやブルドッグなどプライベート・エクイティ・ファンドに買収される問題があったが、新たなオーナーが組合との対話を拒否するようなケースにおいては、オーナーが変わっても労働協約の継承権などを事前に交渉していれば問題なかったのではないか。一方で、国際会計基準への適用で、企業が買収しやすい状況が起きているのではないか。そうした観点から、会計基準の見直しを求めるべきではないか。
A1 国際政策では論議していないが、経済政策の中では論議しているのではないかと思う。ただ、詳細については承知していない。

Q2 昨年投機マネーによって穀物相場が2-3倍と跳ね上がり、物価も上昇した。世界人口の6分の1が飢餓状態にある中、犯罪的行為だといわれている。項目4の中で投機的マネーの動きに国際課税制度を創設して、貧困撲滅に当てて行こうと記載されているが、より積極的に投機マネーを規制しようという考えは無いのか。
A2 ここで提起している国際課税制度は投機マネーの抑制を念頭に置いたもので、具体的には通貨取引税が考えられる。実体経済における通常の通貨取引にも課税されることを懸念する声もあるが、この制度が為替の安定にも寄与するということを認識すべき。投機的な取引は通貨取引の頻度が高く、こうした国際課税が投機の抑制に有効であると考える。この制度を管理する責任機関はどこにすべきかに関しては、未論議である。また、タックスヘイブンに対する縛りに関しても、論議を加速させるべきと考える。

Q3 連合が優先的に批准を求めるILO条約の中で、特定産業・業種に関する条約はどの様に優先条約を決めているのか。IUFでも、ホテルや農業など優先的に批准を求める条約を定めて、加盟組織に取り組みを求めている。また、批准促進のための具体的な方法はどうなっているのか。
A3 連合の中に、以前ILO小委員会があり、そこで決めていた。その小委員会に関わっていた産別の意見が優先的に反映されていたと思う。今は国際委員会の中で整理することになっている。また、2003年からILO懇談会を政労使で年2回行っている。その内、1回は批准についての議論を行うことになっており、労使が提起する2つずつの未批准条約を取り上げ論議している。従って、多くの条約を同時に論議できない。最優先は中核的労働基準の中で未批准の105号と111号条約である。

Q4 国際的人の移動の中に、外国人技能訓練・研修制度も含まれるのではないかと思う。現在の研修制度は本来の技能訓練ではなく、実態は安価な労働力確保となっている。こうした実体を受け止めて、研修制度の改善のための論議は行っているのか。
A4 雇用労働政策の中で論議しており、抜本的改定を提言している。すなわち、この制度で入国した時点で労働者として取り扱い、労働法でカバーするようにするというもの。また、「労組に加盟しない」といった内容に事前に署名させられるなど、送り出し機関が不正であるという問題もあり、そうした不正送り出し機関を制度に関与させないようにすることも提起している。

Q5 「公正なグローバル社会の実現」と表記されているが、こうした社会が実現した時に世界はどのような構図になるのか明確に示されると、組合員に説明しやすいのだが。
A5 あるべき世界の絵を示しきるというのは困難であり、実際に一定の方向に向かって進行しているグローバル化に対して、問題点を指摘し絆創膏を張るように対処しているというのが現実である。実際に、止めることは出来ないグローバル化を、どう軌道修正できるのかが課題となる。