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Uniting Food, Farm and Hotel Workers World-Wide


2009年度IUF-JCC第5回運営委員会議事録(2009/05/29)

Posted to the IUF website 01-Jun-2009





全たばこ労組会議室で行われた標記委員会の報告を下記の通り致します。
(日 時)2009年5月29日(金) 15:00−18:10
(出席者)金、江森、山本、植田(フード連合)、徳田、郷野、中野(UIゼンセン同盟)、
小川、大谷(全国農団労)、田上、井土(サービス連合)、見里、高田(JCC事務局)
合計13名(敬称略)

第1部
報告事項
1. 第1回グローバル・コカ・コーラ同盟運営委員会および第10回IUF/TCCC協議会報告

 4月16日、アトランタで昨年結成されたグローバル・コカ・コーラ同盟の第1回会合が開催された。また翌17日には第10回IUF/TCCC定期協議会が開催された。両会議にフード連合から植田組織・中小局長、近畿コカ・コーラ・グループ・ユニオン浅野委員長、UIゼンセン同盟から橋本副書記長、東京コカ・コーラ労組瀬古委員長の計4名が出席した。主なポイントは以下の通り。
● グローバル同盟運営委員会では向こう2年間の活動計画を審議し、@雇用の非正規化、A労働時間と仕事量、B同盟の強化、Cグローバル枠組協約(IFA)などの課題に取り組むことを確認した。
● TCCCとの定期協議会には現在のコンタクトチームにロシアとアフリカの代表を加えた8名プラス通訳2〜3名のチームとすることを決めた。
● グローバル同盟および同運営委員会はインターネットを基盤に進め、IUFの一般会計とは別資金での運営を検討することとなった。次回運営委員会は、2010年4月に開催予定。
● TCCCとの定期協議会には、ムーター・ケントCEOが出席し、意見交換が行われた。日本からはTCCCならびにCCJCによる日本の市場およびボトラーのコントロールがどのように行われるのか質問した。CEOからは関西と同様に、今後関東でも戦略的な再編成があることを示唆し、新製品の導入によるポートフォリオの強化について言及された。
● 地域・国別の課題協議以外では、非正規労働問題に関する件と、IFAの交渉が行われた。IFAに関しては、適用範囲と会社の中立性・承認の2つの課題がある。この課題を議論するため、次回協議会は1日多く日程を取ることとなった。

2. IUF女性委員会報告
IUF女性委員会が、5月6日にジュネーブにて開催され、UIゼンセン同盟国際局中野部長が出席した。主な論議ポイントは以下の通り。
● IUF決議機関(世界総会、執行委員会、など)でのジェンダー・バランスの強化を定めた前回世界総会から2年経過したが、2012年の次回総会には各組織でこの決議がきちんと守れるようにすべきであり、このタイミングで加盟組織へのリマインドが必要である。
● 不安定雇用で働く女性について論議した。2010年にはILO総会で家事労働に関する協議が行われることから、ILO事務局からの質問状に積極的に協力することを確認した。
● ILO条約第183号(母性保護)、第156号(家庭責任のある労働者)、第177号(家内労働)の批准促進キャンペーンを継続することを確認した。
● 安全衛生、セクハラ、職場内暴力などの視点で、女性が安心して働ける職場環境を団体交渉の要求項目とすることを、IUFとしても優先項目にあげることを決めた。

3. IUF三役会・執行委員会報告
 標記会議が、5月7-8日にジュネーブにて開催された。今回は、豚インフルエンザ由来の新型インフルエンザがWHOによって警戒水準フェーズ5に引き上げられた直後の開催となったため、フード連合の金副会長は会社との渡航規制合意によって出席できず、日本からはUIゼンセン同盟の徳田副会長と中野国際局部長、JCC見里の3名のみの出席となった。執行委員会全体としては、新型インフルエンザの関係でメキシコの執行委員も欠席した。主な論議ポイントは以下の通り。
● IUFの財政が逼迫し、例年であれば三役会1日、執行委員会2日の計3日間の会議のところ、三役会半日、執行委員会1日半の計2日間で会議が行われた。そのため、時間運営は例年になく厳しく行われた。
● 執行委員会では論議事項の項目2「グローバル経済/政治危機」と項目3および4の組織化に関して、重点的な時間配分が行われ、運営に関わるメンバーシップや財政問題は三役会で中心的に議論された。
● 「グローバル経済/政治危機」の議論では、書記局作成の6項目からなる提案が採択された。
● セクター・ベースでの組織化が有効と考えられる部門の優先順位付けを、本部書記局がポイント制で作成・提示し、そのリストが承認された。
● 17カ国、28組織の加盟が正式に認められた。アジア太平洋地域からは、インドの全インドネスレ従業員連合とイランのハフト・タペ砂糖農園労働組合の2組織が加盟した。イランのハフト・タペの加盟は、政治的意図が強く込められている。
● IUF単年度会費収入の10%を占めるアメリカのUNITE HEREの内部紛争により、今年度は会費収入が大きく落ち込む。このため、今年度は予定されていたHRCT委員会やグローバル・ビール会議などを始めとした産業別や企業別の会議、更にはIUFの会計を使っての地域組織の会議も行わず、来年に先延ばしすることが承認された。

4. 第33回海外労働学校に関する報告
5月13〜24日に予定していた第33回海外労働学校は、新型インフルエンザの流行によって中止することを5月7日時点で判断した。既に発生している経費もあることから、一人当たりの参加費376,000円の内76,000円をキャンセル料金とさせていただき、差額の300,000円を各組織に返金することとした。
また、参加予定者にはILO駐日事務所、連合本部、ビルマ日本事務所のご協力を得て「東京プログラム」を実行した。

5. JCCセミナー準備進捗報告
 5月27日に、パネルディスカッション出席者にお集まり頂き、事前打合せを行った。未だ日本の労働運動の中では、フェアトレードに対する統一的な見解が出来ていないことから、サプライチェーンにまで企業の社会的責任:CSRが及ぶという認識が広がる中で、食品関連産業が原材料調達時にフェアトレードという観点を持つことの重要性に参加者に気づいてもらい、今後の議論のきっかけとすることをセミナーの主要目的としたいという点を共有した。
 現時点での各組織の動員数は、前回の運営委員会で各組織に割り振った人数を確保できる予定である。セミナー終了後、運営員会メンバー中心に、マ・ウェイ・ピン地域書記および講師を囲んで懇親会を行う。懇親会の詳細は後日連絡する。

6. NGOとの協働
(1) NGO-労働組合国際協働フォーラム

● 今年も4月29日の中央メーデーにフォーラムとして出展した。児童労働グループ、HIV/AIDSグループ、母子保健グループ各1つずつのテントを確保し、イベントを行った。
● 児童労働ネットワーク、ILO駐日事務所と三者共催でのイベントの企画検討が進められた。当イベントの司会は見里が担当することとなった。
(2) 児童労働ネットワーク(CL-Net)
● 「6・12児童労働反対世界デー」にあわせたキャンペーンは、5月5日(子どもの日)から既にスタートし、6月30日まで実施する。
● キャンペーンにおいて、上述のイベントへの参加呼びかけをお願いする。また、署名運動、缶バッチ購入に関しても、各組織のご協力をお願いする。

7. 争議支援・連帯活動
【緊急行動要請】
● パキスタンのユニリーバ・リプトン/ブルックボンド紅茶工場で、労働者の大半を占める派遣労働者が正規雇用を求める闘争で、イギリス政府の指導の下、同社経営陣とIUFが協議を持った。しかい、現場では業務がないという理由で、賃金が支払われることなく約3分の2もの派遣労働者が帰宅させられたことを受け、同社CEOに対しパキスタン食品飲料タバコ労連と協議を持ち、非正規労働者の正規雇用するよう求める抗議文を送付した(5月8日)。
● 韓国チェジュ島にあるオリエンタル・ホテルがメンテナンス部門を外注化しようとしていることを受け、経営者に当該組合と誠意を持った交渉をこない、労使双方が満足する代替案を模索するよう求める抗議文を送付した(5月8日)。
● 2月に開催されたIUF-A/P女性ワークショップの決議である、韓国の88カントリークラブのキャディー使い捨てと闘う労働者への連帯表明要請を受け、韓国女性労働組合に連帯文を送った(5月14日)。

8. 各組織報告
<春闘関連>
● フード連合: 5月27日集計の収拾状況は、妥結142組合で加重平均5,416円(対前年+188円)となっているが、300人以下の中小82労組は3,798円(同−165円)に留まった。連合全体でも昨年よりも妥結が遅れ、額も低い結果が出ているが、フード連合も先行労組はそれなりの結果を出したものの、中小にはそれを波及させることが出来なかった。BUまたは賃金改善を確保したのは41単組(34%)、定昇のみ76組合(63%)となっている。
● UIゼンセン同盟:6月23日の中執・中闘で春闘の総括を行うので、具体的な集計結果は7月の運営委員会で報告する。
● 全国農団労: 110単組中7組合がBUを獲得した。その内特筆すべきは、今年2月に結成したばかりの小さな単組が5,000円のBUを獲得したことである。その他、初任給の引き上げ、合併時の格差是正、一昨年の定期昇給減額分のリカバリーなど、賃金改善を行ったのが十数単組あった。詳細は7月の運営員会で報告する。
● サービス連合:現時点で、55組織の加重平均4,815円で昨年よりも下がり気味。定昇を守るのが精一杯であった。一時金は年収の安定化を考慮して年間方式を取ってきたが、季別交渉を求められたり、一旦妥結しても冬再交渉の可能性を残した単組もある。また、経営から労働条件の見直しを含めたコスト削減を逆提案される組合もあり、厳しい交渉となった。雇用問題に関しても取り組んだ。採用の延期など一部であるものの、現時点では大きな問題はなかったが、集客が減少していることの影響から、集客に合わせた適正要員に関する逆提案などこれからが大変になるだろう。非正規労働者の格差是正の要求取り組みは増えたが、現状維持がほとんどであった。

<会費値上げ>
● フード連合
:大会9月7,8日に向けて運動方針議論を内局で進めている。会費値上げ連合の会費値上げ(2010年:5円、2011年:5円)に関して、連合の値上げ分プラスαで検討をスタートし、今年の大会で了承されれば値上げする。
● UIゼンセン同盟:会費に関しては、連合の値上げを直ちに加盟組織に負担を求めていくのは困難であり、財政全体の議論から進める。9月9-10日の大会にむけて6月から地域のフォーラムで、UIゼンセン同盟の財政状況について議論・共有していき、会費の値上げは来年頃から行いたい。
● 全国農団労:昨年から三役会・執行委員会などで議論をしてきて、7月の大会で来年度の会費値上げを行う予定。連合のように2回に分けた値上げではなく、初年度から10円の値上げを行いたい。
● サービス連合:連合会費の値上げに関しては基本的に賛成できないが、全体で決まればやむを得ないと考える。

<新型インフルエンザ対応>
● フード連合
:産別としての考え方を示してはいないが、産別企画の行事はケース・バイ・ケースで判断した。5月16日の大阪地区協での職場安全勉強会は中止したが、5月22-23日に網代で企画した男女平等セミナーは実施した。体調の悪い人の参加見送りを勧告し、マスク持参を呼びかけ、参加は各単組の判断に任せた。水産冷食部会が5月に予定していたタイ視察団は中止となったが、6月30日〜7月3日に予定している韓国の化学労連との定期交流は、予定通り日本から代表団が訪問する。
● UIゼンセン同盟:アメリカ、メキシコは渡航禁止とした。その他、富士山の食事会や教育センターでの集中教育など全国的な集団行事に関しては、5月一杯は取り止めたが、6月から再開する。休んだ場合の労働条件の取り扱いなど、細かく取り決めている。
● 全国農団労、サービス連合:産別として特に決めていない。

9. 今後の予定
● 児童労働キャンペーン・イベント:6月6日(土)、全電通会館ホール
● マ・ウェイ・ピン地域書記来日(A/P会計監査):6月9-11日
● JCCセミナー:6月10日(水)、UIゼンセン同盟本部
● 児童労働反対世界デー:6月12日(金)
● 第5回JCC三役会・第6回JCC運営委員会:7月3日(金)、味の素労組会議室

10. その他
● ILO駐日事務所主催「2009年児童労働反対世界デー」セミナー案内配布。
● HRCT部会で進めているグローバル・ホテル・チェーンにおける組合マッピングに関し、日本でもサービス連合がご対応頂きほぼ完成した。6月に本部に提出予定。
● 同じくHRCT部会のホテル運営委員会で、ハウスキーピング部門の安全衛生調査を日本でもサービス連合がヒルトンホテルで実施する。
● マ・ウェイ・ピン地域書記が、会計監査の目的で6月9-11日来日する。
● UIゼンセン同盟国際局郷野局長から、アメリカのUNITE HEREの内紛に関する情報を聞いた。

協議事項
1. 2010年度活動に関して

● 年間の運営委員会の予定案を作成した。各組織の都合をご確認頂き、次回の運営委員会(7月3日)に最終調整する。
● 昨今の日本企業の海外の企業の買収を軸とした多国籍企業化に伴い、これら日系多国籍企業問題への対応を強化する必要性が高まっている。JCCとして取り組むべき活動、各加盟産別組織として取り組むべき活動に関して、意見交換を行った。多国籍企業は画一的な取り組みを行うのではなく、案件や担当産別などによって、異なる対応となることを確認した。

2. 「Casual-T」キャンペーンに関して
 パキスタンのユニリーバが操業するリプトン/ブルックボンド紅茶工場で、大規模な正規職の雇用破壊と非正規化が進行していることを受け、IUFとして同社CEO宛にパキスタン食品飲料タバコ労連との直接交渉と、雇用の正規化を求める葉書を送る「Casual-T」キャンペーンを実施している。本キャンペーンの目的は、以下の重要な意図を持っている:@ 具体的な争議を解決する、A パキスタンという反組合的社会風土に風穴を開ける、B IUFとの対話を一貫して拒んできたユニリーバとの対話にとっての突破口とする。
 運営委員会で審議し、IUF-JCCとして「Casual-T」キャンペーンに協力して行くことを確認した。各産別の必要葉書枚数に関しては、UIゼンセン同盟200部、全国農団労200部の申請があり、他の加盟組織に関しては6月5日までに連絡を頂くこととなった。

第2部:勉強会
「中国労働法制の潮流とその背景」
講師:社団法人日本在外企業協会 業務部長 齋藤哲男氏

<講師プロフィール>
(社)日本在外企業協会業務部長(日立製作所より出向)
立教大学大学院教授、放送大学非常勤講師
1970年(株)日立製作所入所。日立ヨーロッパ社、日立オーストラリア社長など一貫して国際営業・経営に携わったのち、本社国際渉外部長、ロスアンゼルスコーポレート事務所長など国際通商問題への経済界としての取り組みや企業市民活動を含む様々な企業外交や社会活動の第一線の現場に携わり、2003年10月より現職。日本在外企業協会では海外事業展開に伴う諸問題の解決に向けて、政府への建議・提案をおこなうとともに、調査・研究、研修・講演会・セミナーの開催、国際交流活動、書籍の発行などをおこなっている。
日本経団連国際労働委員会政策部会委員、日本規格協会リスクマネジメント規格国内委員会委員、日本ILO協会広報委員会委員、21世紀社会デザイン研究学会理事。 


以上