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IUF
Uniting Food, Farm and Hotel Workers World-Wide


シュガーワーカー3月号

Posted to the IUF website 24-Apr-2007





IUF グローバル砂糖会議、ジュネーブ

第25回IUF総会(3月19−22日)に関連し、グローバル・シュガー・プログラムは、砂糖部門を組織化する代議員と2つの会議を開催し、現在の活動およびいくつかのイニシアチブについて話し合った。会議は3月20日と22日に行われ、英語圏カリブ海諸国、ヨーロッパ、中央アジア、アフリカ、アジア太平洋、日本、ブラジルおよびカリブ海、ヨーロッパ、アフリカのIUF地域組織の代表が参加した。

代議員は、英語圏カリブ海諸国に焦点をあてた国際砂糖部門におけるディーセントワークに関する応用調査の最新情報の発表を受けた。この地域は過去数十年間で砂糖の減少を経験しているものの、サトウキビ根幹産業で労働者や組合が直面する基本的な問題の縮図を呈する地域である。そのため職業安全衛生や社会給付(年金など)や地域(全国)開発の関係の調査は、他の地域のIUF活動の役にたつ。さらに、カリブ海の労組と地域組織は、IUFグローバル・シュガー・コーディネーションと長期間にわたり常に活動をおこなってきた。

特にEU砂糖体制改革のプロセスを考慮すると、本会議は時機を得たものだった。このプロセスは欧州の労組および労働者に影響を与えており、改革の最初の2年間で大規模な雇用喪失が起きている。アフリカ=カリブ=太平洋諸国の労働者と組合もまた、EUの財政援助の申し入れにもかかわらず、生産性を上げつつ経費削減を行う企業戦略を基にさらに競争力を高めようとする圧力にさらされている。新しい市場開拓の可能性と政策拡大による利益が、必ずしも労働条件の向上や、より強力な社会保護網につながるとは限らない。

EUはアフリカ=カリブ=太平洋諸国に、基本的に砂糖部門の将来の青写真となる国先導の”砂糖行動計画”を提出するように要請した。これは、単純ではあるが、かつ複雑な社会対話を要請するものと理解される。この社会対話で砂糖グループがそうありたいと望む産業の実質について合意しなければならない。社会対話には生産の関係者(経営、労働者、労働組合、農家)にとどまらず、砂糖部門の中期、長期の政策決定に国家に関与していく能力も含まれる。社会対話はILOが定義したディーセントジョブの枠組みの一つの側面である。他の3つの側面あるいは柱には、雇用機会、社会保護、労働者の権利がある。

国際部門におけるディーセントジョブの現在の調査に従い、IUFグローバル・シュガー・プログラムはいくつかの活動イニシアチブのプレゼンテーションを行った。すぐに行われる活動のひとつは、アフリカ=カリブ=太平洋諸国が提出した”砂糖行動計画”のディーセントジョブの観点における批判的見直しである。この作業は、選択された諸国に焦点をあて、11月までに完了する予定である。この見直しを2008年のアフリカ=カリブ=太平洋諸国労組のセミナーの議題に入れる事、また欧州の労組を招待する事が提案された。この会議ではEU
砂糖改革のプロセスの中期見直しに焦点をあて、これがどのようにアフリカ=カリブ=太平洋諸国とEUの労働者に影響を与えているか、様々な農村社会や国にプラスの影響を与えているかを検討する。このイニシアチブはIUF内の地域間活動を強調する。

2番目のイニシアチブは、職業安全衛生の大きな範囲の中、特定の問題に関する組合能力の調査とその構築である。その一例として、サトウキビ労働者のための飲料水の入手可能性が挙げられる。環境に関する議論では、サトウキビ栽培に必要な水の量に焦点を当て、またサトウキビが特定の地域や国にとって望ましい作物であるかは問われていたが、サトウキビ栽培労働者が良質の飲料水を十分確保できるかどうかについては殆ど議論されていない。いくつかの国でIUFグローバルシュガーが集めた逸話や写真から、サトウキビ畑へ飲料水が運搬されても、労働者に十分供給されるという保証が必ずしもないことがわかる。またこれらの証拠品から、入手可能な水が充分あるかどうかにも疑問を投げかける。これらの基礎的な観察には、水源や水を畑に運ぶために使うトラック(あるいは平底小船)や容器の実体などの他の重要な事柄は含まれていない。

IUFグローバルシュガーは企業に添った活動を続けていく。大きな砂糖会社が国境や大陸を越えて事業を展開する傾向は続くだろう。そして、これらの企業の労働慣行は国際的なレベルで労働者や労組に使用されるだろう。これはIUFの砂糖部門の重要な役割である。アフリカと欧州の事例がそうである。例えば、欧州の砂糖会社(複数社)はIUF欧州地域組織であるEFFATと企業の社会的責任に関する規範に合意した。このような規範は、これらの欧州企業が投資するアフリカの事業所にも適用され、新たな投資先での労働条件、生活条件と組合活動の保護と向上にむけて追加の支援となる。(フランスのルイ・ドレフスは、最近ブラジルで第2の砂糖、エタノールグループとして認められた。)

4番目の活動は燃料、エネルギー部門と関連して、サトウキビと砂糖部門の構造的変化によって決定される活動である。これはブラジルのサトウキビ、砂糖、エタノールの複合体から大きな影響を受ける。石油と砂糖の国際価格の関係は密接に関連し合うことが予想され、サトウキビの最終的使用(その副産物を含め、ごみと先端から糖液とバガスまで)が再検討される間、サトウキビ畑の拡張を一時停止する可能性がある。サンパウロのある会社は、中南部ブラジルの基準に従うと、100万トンのサトウキビ栽培は1500名の直接雇用および4500名の間接雇用を生むと推測している。IUFとその組合にとって、この拡張に火をつける先導者、また何処でこれが起こるか(食料と燃料部門両方を供給する)を確認し、理解することが重要である。またこの部門の現在の労働条件と組織状況を知り、これを向上させることが重要である。

第25回IUF総会に関連した砂糖会議は、これらのイニシアチブを話し会い、IUF加盟労組と地域の間でリンクを結成する好機を提供した。活動のイニシアチブは、セビリアで昨年12月に開催されたIUF農業労働者部会第4回世界会議で採択された砂糖決議に基づくものである。


サトウキビとエタノール: エタノールに関するブラジルとアメリカの提携

ブッシュ大統領のラテンアメリカ訪問にはブラジルの大統領ルラ・ダ・シルヴァとの会合も含まれていたが、そこでの関心事はエタノールだった。1月23日付の米国一般教書で、ブッシュ大統領はエネルギー政策の目標を示した。それは今後10年間のガソリン使用の20%削減とエタノールや他の代替燃料のかなり多くの増加である。これは現在の代替燃料50億ガロンが2017年には350億ガロンになる事を意味する。中東からの石油輸入の75%以上の置き換えを目標としている。米国のエタノールはとうもろこしから製造され、米国は世界最大のエタノール製造国である。米国とブラジルで世界のエタノール供給の70%を占める。

サトウキビからのエタノール製造ではブラジルが世界最大である。ブラジルのこの経験は1975年にプロアルコール計画(訳注:自動車燃料用エタノール燃料の導入・普及を促進する国家計画)と共に始まったが、90年代に深刻な問題を抱え、エネルギー方程式の主要な戦力として再浮上し、最近のフレックス燃料車(訳注:ガソリンや軽油などの従来の燃料に,バイオ燃料などの代替燃料を任意の割合で混合できる車両)の導入で大きな支持を得た。この車両にはガソリンあるいはエタノール又はこのふたつの混合で動かせるエンジンがついている。最近の統計ではブラジル自動車市場に毎月12万台の新しいフレックス燃料車が導入され、(2006年11月のみで14万台以上)これがエタノールの主要な国内市場を形成している。

成長を続けるブラジルのエタノール市場はサトウキビ栽培の急速な拡大と生産施設の大規模投資をたきつける。1月に、ブラジルの農業相は、2012年までに国内で100億ドル近い投資、73の新しい工場建設、サトウキビ栽培のために約250万ヘクタールの土地の取り込みが必要だと語った。

サトウキビ栽培の急速な拡大による環境上の影響は、環境団体や市民社会団体の批判の対象となってきた。しかし、企業側は、栽培地の拡張は耕作限界地かあるいは低効率の放牧地を置き換えることでおこなっており、アマゾン熱帯雨林やブラジルの大西洋沿岸森林地域には何の影響も与えておらず、食糧生産にも悪影響を与えていないと回答している。この見解はルラ・ダ・シルヴァ大統領とブッシュ大統領の会合でも繰り返された。「我々(ブラジル)はサトウキビ農園の収穫を3倍以上にした、これがエタノールの主原料です。我々は、食糧生産を損なわず、アマゾン地域の森林破壊を減らしながら、バイオ燃料の製造を増加させる事が可能だと証明しました」。

同様に差し迫った問題は社会、労働問題である。サトウキビ収穫労働者は、賃金が生産性にリンクするためにプレッシャーが増加している。1980年代には一日の仕事量が収穫6トンだったが、今では10−12トンになっている。ガビーラを本拠地とするカソリック教会団体、パストラル・ド・ミグランテは、2004年から2006年の間に耕作地で過労死したサトウキビ収穫者17名の事例を文書化した。

ブッシュ大統領とルラ・ダ・シルヴァ大統領がエタノールに関する覚書に調印したのと同じ日に、英国の新聞、ガーディアンは、ブラジルの中南部のサトウキビ畑で働く20万の移民労働者の労働条件と生活条件を描いた記事を掲載した。一月の平均賃金は100米ドルで、一日12時間労働、移民労働者は汚い家にすし詰めにされているが、比較的高い家賃を払っている。この記事ではこれらの労働者をエタノール奴隷と呼んでいた。

ブラジルの全国農業労連、CONTAGによると、サトウキビ・砂糖・エタノールコンビナートの拡張、成長にもかかわらず、この部門では安全衛生の問題にほとんど注意が払われず、賃金の支払い制度が労働者の過剰搾取を招き、取扱者に直接影響を与える農薬の無差別使用がされている、ということだ。このコメントはサトウキビ収穫者の死亡に関するパストラル・ド・ミグランテの情報を捕捉するものだ。

これらの事実を考慮すると、労働組合を含むブラジルの市民社会団体が、ブラジル企業が押し付けるエタノール製造モデルに反対する事は驚くにあたらない。ブラジル企業は今や米国の主要市場に直接アクセスできるか否かというところにいる。このモデルはまた開発途上国のサトウキビ産業を先進国の燃料需要の増加供給という道に引きずっていくようである。既にブラジルのアルコール供給原料はカリブ海諸国で加工されている。カリブ海地域開発計画の下、米国に無関税でアクセスできるからだ。3月9日のブッシュ大統領のブラジル訪問の際に、ブラジルのエタノール1ガロンあたり53セントの輸入関税の問題が最初に出された。ブラジルのエタノール会社がもっと優しい米国の輸入規制から恩恵を被るかどうかはまだこれから先のことだが、同様にまだこれからなのはこの拡張で労働者と農村地域が恩恵を被れるかどうかである。

ブラジルの技術とノウハウは、多くの開発途上国に前進の道を示しているが、ブラジルのフレックス燃料車の規模の国内市場アクセスを持っている国は、ほんの少数、いやおそらくないだろう。ブッシュ大統領のブラジル訪問後、日本国際協力銀行はブラジルの国営石油会社ペトロブラスと、ブラジルあるいは他国でブラジルと日本の企業が行う日本市場供給用のエタノールプロジェクトに関する将来の協力枠組みを提供する覚書に調印した。また昨年、ブラジルはエタノール製造開発のための協定を南アフリカと結んだ。