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ムシム・マス、兵糧攻めで組合敗北

15-Jun-2006





労働者の組織権を弱めるためにあらゆる手段を使う無常な企業にとって飢えは強力な武器である。

今年の1月から、国際建築・木材労組(BWI)とIUFは、ムシム・マス企業が所有するインドネシア、スマトラのペララワン椰子油農園のストライキで犠牲になった労働者の支援のために、国際キャンペーンを展開してきた。ムシム・マスは世界最大のパーム油精製企業である。同社はキャンペーンにおける国際支援の増加を受けて、労働者の絶望的な状況を利用した。

新しく結成された労組、SP Kahutindo PT Musim Masをつぶそうとして、ムシム・マスは9月のストライキの報復として1000名の組合員を一度に解雇し、労働者を社宅から立ち退かせ、子供たちを学校から追い出し、6名の労組指導者の逮捕と告訴を工作した。これらの指導者は現在、労働者としての団体権を行使しようとした『罪』で14ヶ月から2年の禁固刑に服している。

同社は、組合つぶしのために過酷な戦術を取り、違法解雇に対して財政補償を提供し、労働者の権利と組合加入を譲歩させようとしたが、多くの労働者がこれに抵抗してきた。表面的には全能の企業と、悪名高い汚職にまみれた司法と、養わなければならない家族と学校に行けずに将来のない子供たちの間に立って、最後まで持ちこたえてきた約200名の労働者が6月7日解雇に対する財政補償を受け入れたと組合から通告があった。交換条件として、組合は会社を相手取ったすべての法律上の主張を取り下げる。すなわち大量解雇は告訴を通じて異議の申し立てができないということである。賠償は労働者一人あたり、123米ドルで、これは労働者の6週間分の賃金である。

さらに、6名の禁固中の組合活動家もムシム・マスと個別の合意書に署名したと知らされた。合意書には、彼らを釈放するという規定はなく、控訴し、有罪判決をくつがえつために更に法律手続きを取る権利を放棄したと書かれている。

BWIとIUFは、これらの合意書を得た状況および組合指導者の一般的禁固状況について非常に杞憂している。どんな囚人も、家族に支援がないものは特に、強制されずに交渉したとはいえない。

この合意書の時期は、会社と政府にとって非常に都合の良い時であった。国連の専門機関であるILOの労働総会にインドネシア代表としてムシム・マスの代表が出ているが、同社の労使関係のポジティブな面に焦点をあてる積極的なPRキャンペーンの一環として、この合意書が示された。合意書が署名された日に出されたプレス・リリースで、ムシム・マスは上機嫌で、『Kahutindoとの相互合意書に署名できて満足』と主張し、『この問題はインドネシアの労働法に従い、インドネシアのすべての法令を遵守し、解決される』と述べた。
政府は、労働組合権に関するILO条約の深刻な侵害によりILO総会で非難を受けているが、インドネシアの傑出した労使関係の例としてこの合意書を同様に大げさに宣伝した。ムシム、マスの件を述べた同じプレス・リリースの中で、人材省の役人は、『この合意者は、パーム油産業におけるより前向きな労使関係に貢献する』、『本産業は全国レベルあるいは地域社会レベルで社会経済発展に対して重要なプラスの影響を与えた』と述べている。

これらの声明は1000名の労働者の解雇、社宅と学校の強制追放、今やコンクリートの床に眠り、刑務所の看守の気まぐれに全く依存する6名の禁固中の組合指導者という現実と共に見られなければならない。国内法の遵守は123米ドルの支払いで、また控訴権を否定する『平和合意』を囚人から獲得することで達成される。

IUFとBWIの世界の加盟労組は、会社と政府に対するメッセージのアピールに応え、寛大な財政支援を行った(禁固中の労働組合活動家の家族に送られる)キャンペーンは、明確なインパクトがあった。会社は最近組合と会合を持つ意志を表明するが、以前は組合の承認を拒否し、これをつぶそうとしていた。まさにこの重要な時にムシム・マスは労働者の絶望的な状況を利用する事を選択した。

IUFとBWIはムシム・マスが犠牲となった職を失った労働者の状況を搾取し、会社の残忍性を是正し、労働者にはなんの利益ももたらさない合意書に署名を強制したことを非難する。IUFとBWIは労働者に対する連帯とその決意を表明する。労働者たちは昨年以来、ムシム・マス似対しILOの国際基準に従った基本的人権と労働組合の承認に対して勇敢に闘ってきた。我々は、この労働者たちが、労働組合権の闘争において彼らが選らぶいかなる将来の行動も支援し続ける。いかなる『合意』も、我々が6名の禁固中の労働組合活動家の即時釈放を訴え続けることを止められない。ムシム・マスの6名を釈放せよ。


国際食品労連(IUF)は127カ国348労組の270万の組合員で構成される国際労連である。本部はスイス・ジュネーブにある。