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Uniting Food, Farm and Hotel Workers World-Wide


南アフリカ労組、雇用破壊のWTO協定をブロックするために国際連帯呼びかけ

Posted to the IUF website 26-Apr-2006





南アフリカ労組会議(COSATU)は、先進国とWTOが強力に押し進める非農産物の市場アクセス(NAMA)に関する協定案に抗議して、大規模な国内キャンペーン、国際キャンペーンを開始する。我々はWTO交渉を通じてサービス自由化の進展にも抗議する。COSATUならびに世界の多くの組合連合とNGOは、非農産物の市場アクセス協定案を破滅的なものと考える。豊かで強力な北の諸国のみの利益を考えて策定された協定である。貧しい南の国の大多数の世界人口に破滅的な結果をもたらすだろう。

WTOのドーハラウンド交渉は、開発促進に関するもののはずであった。先進国に期待されたのは、世界の農産物市場を歪める数多くの農業補助金の廃止と、開発途上国による市場アクセスの増加だった。しかし再び、先進国は貧しい国に連帯の手を差し延べることをしなかった。そればかりか、開発途上国にとってひどい交換条件を提案している。これは貿易を歪める農業補助金減少と、先進国市場のアクセス増加の代わりに、開発途上国に相当な市場自由化、特に工業製品の市場自由化を求めるものだ。現在の提案から南アフリカやその他の多くの開発途上国では大量の雇用喪失と産業の空洞化が起こりかねない。

実際、米国とEUの農業の開発途上国に対する提案は、先にした約束のリップサービスにすぎない。国内農業支援の削減は僅かで、これら諸国の小規模で競争力を持たない農家の補助金を続けるために多額の資金をした。開発途上国に対して、農産物の適正な市場アクセスを提供しておらず、これらの国の農産物をかなりブロックできる。同時に先進国は、南アフリカのような開発途上国に譲許税率を相当削減することを期待し、非農産物関税を適用した。

提案の関税削減は、労働集約型の産業に大きな打撃を与える。例えば、先進国提案の関税削減方式(スイス方式と呼ばれる)を使用し、係数30(関税削減の急速度に関する係数)とすると、

―乗用車の関税は、現在の34%から18.8%になる。実際の削減はなんと45.5%にもなる。
―衣料品の関税は、現在の40%から18%になる。実際の削減はなんと55%にもなる。
―テレビの関税は、現在の25%から15%になる。実際の削減は40%にもなる。
―家具の関税は、現在の20%から12%になる。実際の削減は40%にもなる。
―プラスチック完成製品の関税は現在の20−25%から12−13.6%になる。実際の削減は40−46%になる。
―ブレーキ・パッドやライニングのような自動車部品関税は現在の30%から15%になる。実際の削減は50%にもなる。

先進国は、タリフライン(譲許表に掲載の関税分類品目)の5%を関税削減から排除できるというある程度の柔軟性があるのだから、またタリフラインの10%にスイス方式提案より少ない削減を許すのだから、開発途上国は関税削減について心配する必要はないと議論する。現実には、この柔軟性では、南アフリカや他の多くの開発途上国の労働者と軽工業は十分に保護されない。南アフリカを例にとると、衣料品に関する255のタリフラインで相当の減少がある。もし、我々が排除規定を通じてどれだけ保護できるか計算すると、これは全タリフラインの4.63%にしかならない。もし、もっと広範囲の衣料品、繊維、履物、皮革を入れるとタリフラインの15.3%になる。これは衣料品、繊維、履物、皮革だけでも5%の排除では保護できないことを意味する。自動車や、部品、プラスチック、家具、川下金属、労働集約型産業など含める事を考える余地はまったくない。関税引き下げのためにこの方式を使えば、将来の南アフリカの工業化は許されない。というのは、開発部門や労働集約型部門を保護するに十分なレベルまで関税を上げることが許されないからだ。これは輸出原料提供者を咎めるものだ。

しかしながら、開発途上国のうち苦しむのは南アフリカだけではない。多くの開発途上国が同じ運命に直面する。この脅威は、世界の研究者によって広く認識されている。例えば、Mehdi Shaffaeddin(UNCTADマクロ経済・開発政策局の前局長)は、最近「スイス方式の適用は、政府歳入の損失の他に、開発途上国の工業化に長期の不利益な影響を与える」と議論している。『貿易の開放性は工業化と開発にとって有利か不利か?』という論文で、Shaffaeddinはほとんどの開発途上国の工業分野は十分に発展していない、そのため先進国より高い関税をいくつかの産業に適用する必要性があると述べている。「先進国が提案している低関税率は、産業構造を向上させる重要な政策ツールを失わせる。さらに、低関税に縛ることは支払いバランスの問題に直面した時に開発途上国が特定の低レベルを超える成長をすることを許さない」と語る。

自由化の増大は、工業化に脅威を与えるという証拠がある。例えば、Shaffaeddinによると、UNCTADの開発途上国50カ国に関する調査によると、輸入を自由化した半数の諸国は製造業の衰退を経験している。製造業付加価値を高めたのは、50カ国のうち、10カ国のみだった。南アフリカ政府は、NAMA11(アルゼンチン、ブラジル、エジプト、インド、インドネシア、ナミビア、フィリピン、南アフリカ、チュニジア、ベネズエラ)と呼ばれる連盟で指導的役割を果たしている。NAMA11は、一貫してドーハ・ラウンドに開発という結果を求めて議論してきた。このラウンドにおける非農産物市場アクセスの野心の度合いは、農業と同様である。また、最も歪みの大きいところで最大の調整がされなければならないと議論してきた。これは先進国では農業部門で、開発途上国では小さな調整が行われ、特別の、異なる待遇を考慮に入れるべきである。先進国は、非農産物では開発途上国より大きな削減を認めなければならないだろう。

COSATUは、WTO事務局長パスカル・ラミーが、2005年4月末と2006年5月初旬に、NAMA向上のための合意達成を確実にするため『グリーン・ルーム』会議を開くという情報を受け取った。また合意達成を確実にするために事務局長は、南アフリカをはじめ世界の政府にロビー活等を行っている。まず小規模の秘密会議で主要国政府をNAMA合意達成で強要して、その後でその他のWTO加盟国を協定に調印させようとプッシュするWTOの試みをCOSATUは非難した。NAMA交渉に加えて、開発途上国のサービスを含むサービス部門を劇的に自由化させるパラレル交渉が行われている。これが意味するのは、先進国はサービス市場により大きなアクセスを持つということだ。南アフリカ政府が開発を進めるために貧しい者にサービスを提供する能力を奪われるということだ。我々の将来は貧困撲滅の権限を委託され民主的に選出された政府の代わりに利益を追究する者の手に委ねられている。もし、許されるのであれば、教育、健康、水、交通機関などのサービスは強力な多国籍企業が提供し、政府は傍観者になってしまう。我々は、彼らの戦略目標は利益の最大化だということを知っている。これは、貧しい中でも最も貧しい人々をさらに端に追いやる。南アフリカのまた世界の貧しい人々はこういったサービスが多国籍複合企業によって完全に乗っ取られることを許すわけにはいかない。そうすれば彼らの状況はますます悪化する。貧しい人々へのサービスが、金を持つ者のみが手に入れられる商品になってしまう。この問題は非常に深刻である。ハイレベルで行動が取られなければ、WTO協定が意味するのは南アフリカの貧困と失業に闘う能力の終結という状況になりかねない。我々は製造部門を相当失った上で、単なる第一次製品の生産国、観光国に成り下がるだろう。そうであるならば、将来何十年にもわたりチャリティが必要な、どうしようもない国として非難されるだろう。

COSATUは、先進国が、不完全開発を促進する不均衡なラウンドを永続できないように様々な行動を取っている。先進国の非農産物市場アクセスとサービスに関する提案に反対して、開発促進の継続のために、開発途上国の強力な連盟を続けるために政府に要請して、大統領、副大統領、貿易産業大臣に緊急書簡を送った。我々は、非農産物市場アクセスに関する立場に関して政府役人と対話をしている。我々は、南アフリカで欧州労連の書記長との会合を求めた。開発支援の公式声明から一段上げて、さらに品物とサービスの自由化案を撤回するように欧州政府に圧力をかけるように要請した。我々はCOSATUが加盟する国際自由労連(ICFTU)に書簡を出し、その加盟組織が、特に先進国の加盟組織が南の諸国の開発を促進し、貧困と失業を減少させるように行動を取ることを要請した。
我々は同様の書簡を先進国のナショナルセンターに送った。ブラジルのCUTと韓国のKCTUと共に我々は、南の組合の緊急サミットを招聘するように活動している。この目的は先進国が彼らの要求を我々に強制するべく圧力を高めているのに対し、南の諸国と市民団体の連立を強化することだ。

我々は、南アフリカでまた海外で市民団体とNGOに対して同様の要請をおこなった。特に、我々は世界のNGOにそれぞれの政府に開発の結果を確実にするようにロビー活動することを呼びかけた。我々の雇用と貧困キャンペーンの一環で、我々は2006年4月9−24日に部門別サミットを招聘し、失業に反対するストライキ行動を計画する。それぞれの部門サミットは我々のWTOに対する主張を支えるために詳細な行動計画を開発する。このプログラムには欧州連合委員会、欧州の特定の国と米国を標的にしたピケとデモも含まれている。我々は南アフリカのまた海外の革新主義者全員にキャンペーンの参加と、全ての開発途上国を原材料輸出国そして先進国市民の観光国とする新しい形の植民地主義を止めるように要請する。