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2006年度第4回運営委員会議事録(2006/03/27)

13-Apr-2006





味の素労働組合会議室で行われた標記委員会の報告を下記の通り致します。
(日 時)2006年3月27日(月)  <第1部>15:00−16:40
                    <第2部>16:50−18:10
(出席者)畑木、長島、植田(フード連合)、石田、大場、中野、瀬古(UIゼンセン同盟)、
内田(全国農団労)、秋山(サービス連合)、
見里、高田(JCC事務局)、合計11名(敬称略)

第1部
報告事項
1. 海外労働学校の手配進捗

 第30回海外労働学校は2月24日(金)を締切日として募集を行った。応募は31名(フード連合:25名、UIゼンセン同盟:3名、全国農団労:2名、サービス連合:1名)あり、JCC事務局2名(村上・見里)を含め総勢33名の団となる。最終参加者リストが完成したのは、2月24日の締め切りを3週間も過ぎてからであったため手続きが滞ることになった。次回からは是非締め切りに間に合う申し込みにして頂きたい。
 事前準備会は、5月9日(火)を予定している。ドイツの労働事情に関する講演は、(独)労働政策研究・研修機構(JILPT)国際研究部主任調査員、吉田和央氏に講師をお願いした。

2. 第4回IUF/コカ・コーラ協議会報告
 表記会議が2月28日、アトランタのコカ・コーラ・カンパニー本社で開催され、日本からUIゼンセン同盟東京コカ・コーラ労働組合、瀬古委員長が出席した。今回は、イズデル会長兼CEO、フィナン副会長兼ボトラー投資責任者、マケーグ副社長(人事部門統括責任者)などのトップ役員が出席し、コカ・コーラ・カンパニー側もこの会議を重要視している姿勢がうかがえた。
 特に、イズデル会長兼CEOが昼食後20-30分程度出席した際に、ロン・オズワルド書記長の調整により、アメリカと日本の2カ国が直接質問することが出来た。長期的視野に基づいた経営を行っている事をイズデル会長兼CEOから直接引き出したことは重要な進展であった。
 会議の後、3月7日にはアジア太平洋地域担当のダリアン・リッチー氏と2回目の会合を持った。この会合の報告は後日改めて行う。


3. IUF会費およびA/P地域活動基金支払い実績
 3月16日にIUF会費およびA/P地域活動基金(RAF)の振り込み処理を行った。その際、以下の通り為替差益が生じたので、1999年JCC運営委員会確認に基づき、IUF日本事務所口座にプールする。
会費合計額(170,000人分) 徴収時(1月27日設定) 支払い時(3月16日) 為替差益(円)
為替レート 金額(円) 為替レート 金額(円)
IUF会費 CHF 391,000 93 \/CHF 36,363,000 91.54 \/CHF 35,792,140 570,860
A/P RAF AUD 68,000 92 \/AUD 6,256,000 88.97 \/AUD 6,049,960 206,040

4. NGOとの協働
(1) NGO-労働組合国際協働フォーラム
● 6月25〜7月2日、スタディ・ツアーをカンボジアで実施する。IUF-JCCとして国際協働フォーラムに参加しているので、是非、加盟産別・単組から、社会貢献担当者を中心に派遣をご検討いただきたい。
● 4月29日の中央メーデーに、HIV/AIDSグループとしてレッドリボン・イベントを実施する。各加盟産別にレッドリボン作成30個、およびメーデー当日の貼り付けをお願いする。今回配布した産別への案内およびメーデー参加者に呼びかけるチラシをメールで各産別に送る。
(2) 児童労働ネットワーク(CL-Net)
● 3月6日、アムネスティ・インターナショナル日本と共催で、「アジアの児童買春〜旅行業界が取り組んだCSR」をテーマに学習会を味の素渇議室にて実施した。講師は、JTB広報室三ツ橋明子氏、財団法人ユニセフ協会広報室長中井裕真氏、ストップ子供買春の会(ECPAT)共同代表宮本潤子氏の3名。
● 6月12日:世界児童労働反対デーに、児童労働問題の世論喚起と行動する人を増やすことを目的にキャンペーンを行うことを決めた。前回JCC運営委員会以降、CL-Net運営委員会4回、キャンペーン企画会議を3回実施した。5月15日〜6月30日をキャンペーン期間として、CL-Net参加組織以外にも協賛組織を募って、多くのイベントを広報する。CL-Netとしては、5月27日(土)学習会、6月11日(日)ウォークを実施する。キャンペーンのチラシは4月中に完成予定なので、出来次第各産別に配布する。

5. 争議支援・連帯活動
● 1月18日、アジア太平洋地域事務所より、オーストラリアの日本ハム子会社における労働争議支援要請を受けた。これを受けて、フード連合および日本ハム・グループ・ユニオンに連絡を取り、日本ハムの関与を要請し、2月7日無事解決した。
● 2月6日にパリで行われた、コカ・コーラ・エンタープライズのリストラ政策に抗議するベルギー、フランス、英国、オランダ労組に、フード連合、UIゼンセン同盟、両産別組織に加盟しているコカ・コーラ労組、JCCより連帯のメッセージを発信した(2月1日)。
● インドネシアのスマトラ島の椰子油農園および製油所で起きたストライキによって解雇され、裁判で有罪判決が出されたことに対し、企業へ抗議文を(2月7日)、インドネシア政府へ抗議文を(2月23日)、それぞれ送付した。
● イランのテヘランでバス労組役員の不当逮捕と、これに抗議した組合幹部および組合員の不当逮捕に抗議し、イラン政府に対し基本的組合権の保障と、不当逮捕者の即時釈放を求める抗議文を送付した(2月7日)。
● フィリピンのアロヨ大統領退陣を要請する大衆行動や、一部の軍部によるクーデター未遂を受けた非常事態宣言に対し、非常事態宣言の即時解除と、市民の民主権の確約を要請する書簡をフィリピン大使館宛に送付した(2月27日)。大使館からは、非常事態宣言は憲法に準じたものであり、人権を侵害するものではないとの返事を受け取った(3月1日)。
● セクハラ問題で組合の抗議運動が続くポーランドのペプシコで、組合つぶし行為が起きていることに抗議し、セクハラ問題を発端に解雇された女性8人の即時復職、今回解雇された組合員長の即時復職、組合つぶし行為の停止を求める抗議文を送付した(3月6日)。
● 90年代後半、モンテネグロのインベブの工場で起きたストライキによる解雇者の復職に関する2002年労使合意にも拘らず、組合委員長のみ復職できずにいることに対し、同社CEOに委員長即時復職を求める抗議文を送付した(3月22日)。

6. 各組織報告
フード連合:佐藤事務局長の葬儀に際し、各産別でご対応いただいたことに感謝したい。フード連合と不二家労働組合共催のお別れ会を、3月30日、築地本願寺で執り行う。
● 春闘の大手労組の山場が15日にあった。今年は昨年に比べ400〜500円程度高い妥結状況となっている。中小は現在進行中であるが、やはり昨年よりも良い結果に着地しそうである。
UIゼンセン同盟:今春闘では賃上げは3%又は7,500円(定昇込み)で交渉に入った。大手はフード連合同様、3月15日に山場を迎えた。フード・サービス部会に80組合あるが、15日山場のAグループ30組合の内20組合が妥結し、昨年よりも1,000円ほど高い7,000超の回答を引き出している。22日は中小50組合の山場であったが、昨年よりも600円程度高い7,000円弱で妥結している。3月中に残る組合も決着させたいが、遅くとも連合目標の4月8日には終えたい。UIゼンセン同盟全体としては、250組合で数百円の賃上げで妥結しており、フード・サービス部会はそうした中で比較的良好である。
全国農団労:春闘の交渉はこれから入る。
サービス連合:サービス連合も15日を山場に交渉を実施しているが、ホテル産業はまだ景気が回復しておらず、要求の最低は昨年の年収ベースを維持することにある。中小は不安も残るが、現段階では昨年よりも良い結果を得ている。春闘の終了は、地域によっては5月に入るところもある。

7. 30周年記念企画委員会に関して
 当初予定していた日程が、ロン・オズワルド書記長の都合が付かず再調整した結果、11月27日に実施することとなった。本日行われたJCC三役会で11月27日実施を確認したので、運営委員会に報告する。企画に関しては、次回運営委員会(4月24日)に具体的に提案する。

8. 今後の予定
● IUFアジア太平洋地域椰子油会議:3月29日、クアラルンプール:フード連合油脂調味部会が出席
● IUF女性委員会:4月3日、ジュネーブ:UIゼンセン同盟中野国際局部長
● IUF三役会:4月4日、ジュネーブ:フード連合畑木副会長、JCC見里
● IUF執行委員会:4月5-6日、ジュネーブ:フード連合畑木副会長、斎藤全たばこ労組副委員長、UIゼンセン同盟石田副会長、中野国際局部長、サービス連合秋山副会長、JCC村上、見里
● JCC三役会・第5回運営委員会:4月24日、味の素労働組合会議室
● 国際シンポジウム「ビルマの現状と民主化に向けた日本の役割」:4月26日、総評会館2階大会議室

9. その他
● 「中国の労働者がストライキ、不満を募らせる中国の労働者」:IMF機関紙
● 「人間らしい働き方を目指して」:ITF機関紙


協議事項
1. IUF執行委員会に向けて

 4月4-5日にジュネーブでIUF執行委員会の開催が予定されている。日本からの参加は、フード連合畑木副会長(JCC議長)、斎藤全たばこ労組副委員長、UIゼンセン同盟石田副会長、中野国際局部長、サービス連合秋山副会長、JCC見里である。本運営委員会では、執行委員会の準備として、以下のテーマで議論を行う。中国問題に関しては、勉強会も兼ねてUNI-LCJ小川事務局次長をお招きし、UNIの中国政策を勉強した上で論議を行う。
第4項:活動報告
c)産別部会および部門の活動 Cタバコ
· 昨年のタバコ部会総会で、タバコ部会を解消し、多国籍企業別の取り組みに変更するとの提案が論議された。これに関しては今後の対応も含め、フード連合のタバコ部会で協議していくことを運営委員会として確認した。
j)他組織との関係
· WCL傘下の食品産別部門FEMTAAとは合併しないとする、IUF方針は良いと考える。
· グローバル・ユニオン評議会の設立とIUFとの関係について、IUF書記局は、@IUFの政策の自主性・独立性の維持、A新たな組合官僚機構を構築しないこと、BIUFのリソースが使用されることがない、の3点を条件とした関係を提起している。これに関しては、IUFも積極的に関与していくべきとの意見は今までもJCC内から出されているが、まだ共通の認識とはなっておらず、JCCとしてもスタンスを決めておくべきであるとの指摘があり、今後継続して議論することとした。
第5項:多国籍企業との対立と交渉
· 国際枠組協約をより拘束力のあるものに変えていくという提案が出されるものと考える。方向性は良いが、実現可能性や、従来良好な関係を持っている企業との関係悪化などの危険性への配慮をどうするかを運営委員会で論議した。
· 元々、国際枠組協約によって争議が起きないようにすることは無理である。争議が起きた時の解決のための仕組みをどう盛り込むかは重要である。また、あまり拘束力を高めることによって現行の協約まで破棄されるのなら、少し譲歩しても良いと考える。
第7項:IUFのリソース
· IUF会費の値上げに関するたたき台が提示される。ここでは30〜40%の値上げでCHF3.00〜CHF3.30。2007年3月の総会での決議事項となるが、ここではその準備としての議論となる。 おそらく、三役会・執行委員会で反対され、低いレベルの会費値上げに落ち着くものと考えられる。しかし一方で、現在の会費レベルが既に他の国際産別組織に比べて高いとの指摘もあり、執行委員会の論議を見極める必要がある。
· この他、ドナー組織からの支援や、多国籍企業活動における企業からの資金提供も論議される。現在、ドナー組織からの資金は全体予算の4割を超えないようにするという原則がある。また、企業からの資金は多国籍企業別の会議などに対する負担があるが、特に、今年1月から設けられたダノンの国際コーディネータの人件費がダノン社から支出されていることは特筆に値する。運営委員会では、こうした状況を共有した。
第8項:決議および声明
· JCC事務局としては、特に決議や声明文の提起を考えていない。

2. 今後のJCC勉強会について
今後予定している勉強会テーマは、以下の通り。
@ 世界の食糧安全保障と食糧貿易の課題(FAO日本事務所と調整中):第5回運営委員会(4月24日)
A 第6回運営委員会(7月3日)は未定。事務局への提案をお願いした。


第2部
勉強会および執行委員会における中国問題に関する論議


UNI-Aproの中国政策:UNI-LCJ小川陽子事務局次長
· 中国では経済発展を続ける中で、投資主導から消費主導へと転換しつつあり、特に産業構造の調整によるサービス産業の比率が高まりつつある。
· こうした中で、労働市場は高い失業状況にあり、沿岸部と内陸部の賃金格差だけでなく、ワーカークラスと管理職層の賃金格差が大きくなっており、不満が鬱積している。
· UNI-APROとしては2004年12月に、ジェニング書記長を筆頭にした中国ミッションを実施し、中華全国総工会と会談を実現している。これにより、中華全国総工会を窓口として、国防郵電工会や財貿軽紡煙草工会などの産別組織と、多国籍企業における組織化をテーマに対話を開始した。また、労働法関連のNGOとも関係を構築し、こうしたNGOを通じた草の根レベルの労働者との接触も予定している。
· UNI-APROのこうした取り組みは、ベトナムやモンゴルでの経験を基にしている。ベトナムではまだ加盟組織はないが、中国同様に共産党の監督下にあるベトナム労働総同盟(VGCL)に加盟する産別組織の近代化を支援している。モンゴルでもかつてのソ連型の労働組合からの脱却と近代化を手助けし、2003年にはモンゴルのUNI加盟組織の協議会であるUNI-LCMの結成に至った。
· ベトナムでもモンゴルでも、先ずUNIの組織や、UNIが企画するセミナーなどが信頼できるものであることを先方が理解したことにより、こうした前進が図れたと評価している。中国に関してもこのことは同様であると考える。
· 中国のNGOに関しては、地域書記が中心となって接触を続けており、具体的な成果はまだこれからである。これらの組織は、反共・反政府であれば中国では存在できないので、厳密にNGOと言えないかもしれない。当然、こうした組織を通じて行う活動は反共・反政府的なことに触れるものではない。

執行委員会に向けた論議
· 執行委員会では、昨年9月の地域委員会で提案のあった中国プログラムの活動原則に関する議論を行うことになっているが、それ以前にIUFとして中国問題にどう取り組むのかのスタンスが必要である。従って、執行委員会に先立って行われる三役会でそうした問題提起を行い、執行委員会で議論すべきである。
· IUFとしては反政府活動と見なされる政治活動に関与すべきではなく、関係者を危険に陥れることのない様配慮する必要性を執行委員会では強調する。
· 加盟組織が存在しない台湾において、2つあるナショナルセンターの内TCTUに限定することには疑問である。CFLが国民党系、TCTUが民進党系と色分けされているが、台湾の政治が民主化されて既に多くの年月が経っており、現在では政治的イデオロギーはどちらの組織も薄くなっているのが実態である。また、現場レベルでは両組織の区分けが曖昧になってきていることを踏まえると、CFL側への接触の必要性も訴える。
· 中華全国総工会に関しては、我々と同じ民主的な労働組合組織ではなく、共産党による労働関連組織であり、この点においてIUFの従来の主張との違いはないと考える。しかし、経済的にはますます国際的資本主義体制の取り込まれていく中で、社会主義を掲げる政治体制との矛盾は大きくなっている。こうした状況下で、今後緩やかに政治体制も民主化されていくことも考えられるが、その際に現行の総工会およびその人脈が労働運動の受け皿になると考えるのが妥当であり、その人脈を把握しておくことは重要であると考える。
· 以上の論議を取りまとめ、執行委員会出席メンバーがジュネーブで再度事前打合せを行う。

以上