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Uniting Food, Farm and Hotel Workers World-Wide


稲の最大の脅威を打破する重要発見

Posted to the IUF website 28-Mar-2006



2006年3月23日付け英国インディペンデント紙掲載記事

科学部編集主任スティーブ・コノー執筆

英国の科学者は、毎年6000万人分の食糧に被害を出す疫病との闘いで飛躍的な前進をした。

研究者らは毎年世界の何百万もの稲作農家の作物をだいなしにする有害な菌の弱点を発見したと確信している。いもち病は恐らく世界で最も重要な主食作物にとり最も深刻な疫病であり、この病気から作物を守る手だてがほとんどない。

しかし、ネーチャー誌に発表された研究によると、この疫病が稲に感染するメカニズムそのものを標的にした環境にやさしい殺真菌剤の開発が有望だとしている。

エクスター大学のニコラス・タルボット率いる科学者チームは、感染過程で重要な役割を果たすいもち病菌のキー遺伝子を発見した。研究者たちはこの発見により、より良い品種選択、さらにいもち病に抵抗力のある新品種の遺伝子工学が可能になるかもしれないと考える。「いもち病は非常に深刻な稲の病気で、疫病を起こすために、いかに稲に攻撃を仕掛けるかを解明する事に成功した」とタルボット博士は語る。「どのように病気が起こるのかというプロセスを始めて解明したためにこれは飛躍的な前進だと我々は確信している」

いもち病は世界中に広がっている。世界の稲作地帯の湿度の高い所で、その胞子が一年中存在しているからだ。真菌は稲の成長のどの段階でも感染する。菌の胞子は簡単に稲から稲へと広がり、米や稲わらが土の上に落ちた後は土の上で何ヶ月も眠っている。

胞子が葉や稲と接触すると、車のタイヤの40倍もの内部圧力の細胞のような泡を作る。これが葉の強いつるつるした表面を押し開ける。一旦葉の外部障壁が侵されると、真菌は小さな包み、小胞を放出する。この酵素の小胞が植物の細胞壁を破壊し、菌が侵入する。


エクスター大学のチームはこの小胞構成のコントロールに重要な役割を果たすと見られるたんぱく質の元になる菌の遺伝子を発見した。

「我々は、いもち病を引き起こす菌の『武器』を放つ原因と思われる分泌システムを発見した」と博士は語る。「我々はこの分泌システムを持たないいもち病菌種を作り出すことができる。この発見は重要である、というのはこの破壊的な病気を起こし稲を殺す菌のたんぱく質を確認することができるからだ」

タルボット博士はこの最新の菌の研究を基礎にいもち病の実際の解決策を開発するには5年から10年かかかるだろうと言った。

「世界の人口の半分がその生存を米に依存していると推定され、1年でこの疫病のため6000万人分の米に被害がでている。我々はこの発見がこの疫病を抑制する化学物質の開発の援助となることを希望する」と博士は語る。

米に関する主要事実

� 南極大陸以外の全大陸で14万種の米が栽培されている。
� 標準中国語で米は食糧と同じ言葉;日本ではご飯(食事)という言葉は調理された米という意味。
� 米は中国で7000年も前から栽培されていたが、インドではそれよりも前から原産の米が存在していたようだ。
� 2003年世界の米生産高は5億8900万トンで、アジアで5億3400万トンが栽培されている。
� 米はインドの花嫁が夫に最初に供する食べ物で、赤ちゃんに食べさせる最初の物
� 米の90%のカロリーが複合炭水化物、でんぷんである。
� 全開発途上国を合わせると、米は人々のエネルギー接取の27%、たんぱく質摂取の20%を占める。
� 米とその副産物はワラ、ロープ、紙、酒、せんべい、ビール、化粧品、包装材、歯磨き製造にまで使用されている。