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Uniting Food, Farm and Hotel Workers World-Wide


シュガーワーカー、2006年2月号、砂糖部門ニュース

Posted to the IUF website 21-Mar-2006





欧州連合:生産割当て削減

欧州連合は余剰砂糖の増加を防ぐために、2006年7月から2007年6月までの期間、生産割当て250万トンの削減を提案している。新たな規定に従い、割当削減は加盟国に割り当てられる。一方で、この年に既に放棄された砂糖割当が、削減案としてみなされるだろう。決定は3月初旬に行われる予定である。欧州農業委員会は、大方のところで生産削減補償金が2007年1月にはじめてスタートするために、7月1日実施予定の砂糖体制改革の国内砂糖価格切り下げだけでは、生産高を減少するには十分ではないと懸念している。いくつかの加盟国は生産割当ての1回限りの削減という考え方は2月22日に正式に採択された砂糖体制改革合意の一部ではないと言ったが、委員会は削減は良い考えであるだけでなく、2006/2007年(改革の初年度)の管理不能な余剰の積み上げ防止のために絶対に必要であると言った。削減しなければ、余剰割当砂糖を市場から撤去し、保管しなければならなくなり、そしてこれがさらにEUの砂糖状況を悪化させるだろうと言った。砂糖に加え、EUはWTOが定めた期限2006年5月22日の前に処理しなければならない。EUの世界市場輸出の補助金は違法であるとWTOが裁定した後、輸出補助金の利益を被らない推定500万トンの『C』砂糖をEUがどうするのか、この文書の執筆時には明らかではない。

砂糖貿易:米国―コロンビアFTA

2月27日に、米国とコロンビアは、商品とサービスの関税を引き下げる2国間自由貿易協定の交渉を完結したと発表があった。コロンビアからのほとんどの輸入は既にアンデス貿易特恵法(ATPA)により米国関税免除で通関されている。自由貿易協定がこの特恵待遇を継続する。コロンビア産砂糖の米国輸入だけがFTAの下で制限される。現在コロンビアに対する米国の関税率割当は砂糖5万トンで、米国関税免除で通関されている。米国貿易代表事務所のスポークスマンによると、コロンビア産砂糖の輸入は毎年1.5%上昇している。関税率割当を超える輸入は極端に重い2段階関税をかけられる。

貿易情報筋によると、FTAの主要な障害は、コロンビアのいくつかの団体が米国の補助金を受けた生産に競争できないと危惧し、とうもろこし、コメ、鳥肉生産に保護を求めていることだ。コロンビアは米国農産品輸出品の輸入関税の今後15−19年間に亘る段階的削除に合意した。コメに最長の移行期間が与えられた。昨年12月に米国はペルーとの交渉を終えた。エクアドルとの交渉は3月に始まる。

デンマーク:ダニスコ3工場を閉鎖

欧州連合砂糖体制改革に直接関連する欧州の砂糖加工業者のリストラのニュースが、デンマークの食品複合企業ダニスコで続き、2006年のキャンペーン後に3つの砂糖工場を閉鎖すると発表した。デンマークAssens、スゥエーデンKopingebro、フィンランドSaloである。同社はまた、スゥエーデンとフィンランドの砂糖割当の一部を売却し、ドイツのAnklam工場に余分の割当を購入すると話した。ダニスコの経営者は、この閉鎖で約350名の従業員に影響が及び、同社の割当砂糖生産総額の約10万トン減少になると語った。

フィンランドの情報では、ダニスコはSalo工場の従業員と将来の状況について交渉を始めるということだ。 この工場は約60名の常用労働者を雇用し、加工のハイシーズンには100名近くが働く。経営者はSakyla、Jokioinen、Kantvikへの転勤を労働者に提案して、解雇する者の数を減らそうとしていると言った。しかし、転勤は他の町に引っ越すことで、これは多くの者にとって選択肢ではない。経営者はまた、Salo工場の将来の計画にエタノール燃料生産も考えていると言った。これは新しいエネルギー源政策の政府の導入いかんである。

2007年に、ダニスコは、組織全体の相乗作用を高めるために、砂糖部門の事務機能を見直し、最適化を行う。その動きのいくつかは、スゥエーデンArlov事務所の仕事をスゥエーデンやデンマークの他の場所に移転させることである。ダニスコは北欧諸国の主要な砂糖供給者の地位を維持する事が期待されている。実際、デンマーク、フィンランド、スゥエーデンでは唯一の砂糖加工業者である。(北欧の他の2カ国、ノルウェーとアイスランドは砂糖生産を行っていない。)

2005年のシーズンは、良好な天候に支えられ、ビート生産が増加し、ショ唐含有率の高い、質の良いビートが収穫でき、ダニスコ砂糖事業の生産は良好だった。デンマークとフィンランドでは農産物収穫で新記録が達成され、ダニスコの工場の業績も良好だった。

ダニスコの砂糖生産は2004年は124万トン、2005年は127万トンだった。デンマークの工場はダニスコグループの総生産の37%を占める。次はスゥエーデンの32%である。フィンランド、ドイツ、リトアニアの工場で残りの30%を生産する。2005−6年のダニスコの総生産割当ては102万トンである。

イタリー:砂糖部門提案

会社、組合代表、地方自治体を含むボローニャの砂糖関係者が参加したワークショップで、イタリアの砂糖部門は、政府がEU砂糖体制改革で追求すべき目標を上げた。これは、2006年キャンペーンの生産割当てと補助金の658万ユーロのEU保証、2005年キャンペーンから持ち越された砂糖の補償、砂糖セクターの全従業員の解雇手当の締め切り、操業継続工場を確認するための競争力の基準の設置、生物燃料とガソリンの混合物の法律制定やこのような製品をイタリア原産に限定する方向で、砂糖に代わる生物エネルギー製品のイタリア市場を確立する、などである。このワークショップでは、この部門における将来の不確実性を排除すべきで、政府は砂糖政策に関する決定を遅らせるべきでないと意見が出された。(AGI,2006年2月3日の報告を基に)

イタリアの砂糖部門はEU改革に関しては特に打撃を受けやすく、低い生産性と高コストのために他の欧州の生産業者と比較すると、重要でない部門と見なされている。イタリアは砂糖貿易赤字国で、2004年に約78万5千トンの砂糖を輸入した。(半分以上がフランスとドイツからの輸入)2005年のキャンペーンでは、砂糖ビートの耕作農地が18万5千ヘクタールから24万ヘクタールに増加した。このほとんどが北イタリアのポー谷でとうもろこしからビートに栽培転化がされたためである。砂糖改革が、話し合われた当初、イタリア砂糖部門全体がEU内の(フランス、ドイツ)またEU域外との(ブラジル、EBA協約を通して後開発途上国の砂糖供給国)競争で、消滅するだろうと懸念された。南イタリアにおける砂糖部門の将来に今この懸念が集中している。ここでは砂糖産業は消滅する運命にあるようだ。

IUFグローバルシュガー:インドネシア

IUFグローバル砂糖プログラムの一部は、砂糖産業の将来の代替案の討論、企画において我々の加盟組合を支援することだが、伝統的な砂糖産業に大きな影響を与えるグローバル化、リストラ、自由化が進む貿易慣行の傾向、欧州連合の砂糖体制改革の過程のためにこの課題に焦点があてられている。

2006年2月、IUFは労働者(とその家族)の懸念に対応する将来の産業の提案策定に焦点をあて、一連の活動を行った。

IUFインドネシアは、特に東ジャワの砂糖産業の雇用と生存能力を確保しようとする砂糖労働者の努力を支援するイニシアチブを始めた。2月17−19日、IUFインドネシアはバンドンで、砂糖および他の経済部門の組合代表と他の砂糖技術・事務専門家の参加で会議を開き、工場の非効率性、サトウキビの低品質、入手性の低さ、国内貿易が数社に握られていることなど本産業が直面する関連問題について話し合った。

すべての砂糖団体が民主的に参加し、また本産業を良く理解した上で本産業の包括的提案を作成することは相当大きな課題である。というのは、特に資本投資(例、新工場の建設、農園拡大、エタノールとコジェネレーションを通じてエネルギー産業に移行する、など)がそれ自体で開発を助長するものだと考える傾向にあわせ、参加型過程の条件を作る上で真の制限があるためである。

組合の提案は資本投資の定義の最初の段階を超えなければならず、より効率的に収入を生む方法、公正に収入を配布する方法を可能にする産業形状の改革を検討し、同様に重要だが、本部門の労働者の労働条件を見ることだ。労働者にディーセントな雇用を提供しないのであれば、一体、砂糖産業は持続可能と言えるだろうか?