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Uniting Food, Farm and Hotel Workers World-Wide


シュガーワーカー、2005年12月号、砂糖部門ニュース

Posted to the IUF website 13-Mar-2006





パキスタン、サトウキビ価格争議で工場閉鎖、インドからの輸入

12月25日、サトウキビ価格高騰の抗議のため作業が約1ヶ月止められた後、シンド州の28のサトウキビ工場で粉砕作業が始められた。シンド政府役人は工場はラマダーンの断食の聖月が終了するイードアルフィトラの祭の後は、操業は再開しないと言った。(今年ラマダンは11月2日に終了した)

構造上および政治上の問題を反映して、現在の争議中に政府はトン当たり26米ドル(40キログラム当たり60パキスタンルピー)のサトウキビ価格をほぼ2倍にする決定をした。昨年10月に2005−2006年の季節がスタートした時には、政府が固定するサトウキビ価格は40キロ当たり48ルピーだった。(10月22日まで)しかし、栽培業者は粉砕業者が苦情を言い立てている最中にサトウキビを配達する事を拒否した。製糖業者は粉砕能力の3分の1の作業しか行っておらず、一月に何百万ルピーもの損失が出ていると言った。サトウキビ価格はやがて40キロ当たり60ルピーにまで上昇した。(12月16日)しかし、製糖業者は彼らが一方的な決定と考えるものに従うことを拒否した。パキスタン砂糖粉砕業協会(PSMA)は、パンジャブのサトウキビ価格は40キロ当たり45ルピーだが、北西辺境州では48ルピーだと言った。粉砕所が再開される前に、砂糖関係者の会議が12月23日に開かれ40キロ当たり58ルピーで合意した。

粉砕所オーナーは工場労働者に影響は出ないと保証したが、シンド中のサトウキビ栽培業者は粉砕機を自分たちで動かすと脅かした。例えば、5つの粉砕所があるタンド・モハマッド・カーン地区で、サトウキビ栽培業者は粉砕機を動かす用意があり、政府が決めた価格を払う準備があった、と地元新聞は報道する。栽培業者は粉砕業者がシーズンの開始を3ヶ月遅らせたために作物の約70%に影響が出たと文句を言った。彼らはまたサトウキビを収穫していないため小麦やコメなど他の作物を栽培することができないとも言った。タンド・モハマッド・カーン地区はシンド州の4分の1のサトウキビを栽培している。この争議のため小規模農家はサトウキビをいつもより多くグルの生産に回した。

政府および産業界は2005−06年の収穫から280万トンから300万トンの砂糖が生産できるだろうと推定している。年間の国内消費は380万トンである。この次に起こるのはインドからの輸入だろう。ダウ・ジョーンズ商品取引は12月28日にインド製糖業者と商社がトン当たり36.5−38.5米ドルの精糖78,200トンのパキスタン輸入の最終合意に達したと言った。これは即時出荷用で、砂糖はパンジャブの北の国境ワガに鉄道輸送される。インド製糖協会は1月末までにパキスタンに既に5万トンを超える量を輸出することを予測していると語った。貿易の情報筋のニュースによると、インドの商社と製糖業者はもっと高い国際価格を期待して砂糖の在庫保存を始めたという事だ。市場アナリストたちの中には低砂糖価格が2006年には1ポンド当たり15−16セント上昇すると確信するものもいる。実際、10月の国際砂糖協約日定価格が過去5年間で一番高かった。

昨年8月、パキスタンが4年間の輸入禁止の後に、インドから砂糖の輸入を再開するというニュースがあり、年間で30万−40万トンの精糖の輸出が憶測された。また重要なのはワガ国境を再開するという提案であった。これにより、輸送コストの削減、輸送時間の短縮が可能になる。というのはインドの西海岸からも東海岸からも船では通常10日から12日かかるが、鉄道ではカラチまで約3日だからである。

米国:2006年割当、ハリケーンのため増加

12月2日、米国農業省 (USDA)は、2006年会計年度の関税率割当で原料高45万米トン(408,237メートルトン)の増加を発表した。この決定はルイジアナとフロリダのハリケーンによるサトウキビ作物の被害、精糖所の作業停止、ビートとサトウキビ栽培の遅れ、輸送の問題に対応したものだ、と米国農業省は語った。

関税率割当の増加は原料用の砂糖が30万米トン、精糖が15万米トンであり、2006年会計年度の合計は、原料用が1,651,497トン、精糖が232,815トンとなる。米国の貿易代表部は原料用砂糖の輸入を受益国に割当て、輸入には割り当て証明書が必要になる。しかし、精糖の輸入は、技術仕様の遵守が必要であるだけで割当証明書は必要ない。精糖を入手することがハリケーン・カタリナがルイジアナ、ニューオーリンズに近いドミノ製糖工場の操業に影響を与えたため最も急を要するようだ。この工場では95万トンの精糖加工を行うが、12月12日にやっと操業を開始した。

アマルガメイティド・シュガー、ニサ工場を閉鎖

アマルガメイティド・シュガーカンパニーの親会社スネーク・リバー・シュガーカンパニーの経営者は、ニサ(オレゴン)のビート加工工場の無期限閉鎖を行うと発表した。この工場は2005年に操業を中止していた。会社はいくつかの設備を他の工場に運び、この工場をエタノールの生産に使用することを考えていると述べた。

今年1月、いくつかの原因が重なり会社はニサの生産を臨時停止した。この原因とは会社内部の生産過剰、砂糖添加製品の輸入増加、国内のマーケティング分担制度、国際貿易協定の圧力などであった。会社役員は生産削減と地所削減を決定し、コスト削減とビート支払いが向上することを期待した。会社はまた、ニサに納入するオレゴンとアイダホのビート栽培者が2005年に16%の地所削減に合意したためにに、大きな影響にはならないはずだと語った。

今年仕事を失った400名近い労働者(167名−フルタイム、260名が季節労働者あるいは臨時労働者)は、AFL-CIOのオレゴン支部によると、連邦政府による失業給付の期間延長、健康保険補助金、再訓練計画の資格があるということだ。アマルガメイティド・シュガーは、農家の協同組合で他に3つのビート加工工場、すなわちナンパ、ツインフォールズ、ポールがあるが、これらの工場は全てアイダホに位置している。

ビート農家補助金を維持

関連のニュースで、米国上院は12月半ばに新しい予算削減法案を討議した。ロサンジェルス・タイムスによると、これは共和党の指導者が通過されねばならぬと考えているものである。しかし、彼らは十分な得票を得られない可能性があったので交渉の準備をした。新聞はこの交渉の詳細を伝えているが、つまるところ、共和党上院議員の中で1票が移動したということだ。二人の上院議員はどちらとも決まらない。一人はメディケード、連邦政府の低所得者のための医療扶助制度による節約案を望んでいる。これは給付削減ではなく、製薬会社やその他の販売会社の犠牲で予算削減を達成すべきとい案を含んだものだ。二人目の上院議員は砂糖ビート農家の補助金約3000万ドルのカット規定が削除されることをあてにしている。この規定は、上院の法案からは削除され、上院は50対と50の投票に達し、これは副大統領チェイニーによって賛成と決定された。しかし、本法案はまだブッシュが署名する段階ではない。下院で妥協案が通過され、休暇で議会が休会になった時、上院は1月の次の投票に必要な多少の変更を行うだろうと、新聞は報道する。この記事は米国や他の国で政治が砂糖ビジネスにいかに作用するかという例として一読の価値がある。

欧州連合:砂糖制度改革への反応

11月のシュガーワーカーで合意された欧州連合砂糖制度改革に対する砂糖事業関係者の反応を報告した。その時に報告したが、テート&ライルはこの決定を歓迎し、特に移行期間の延長、39%から36%の砂糖価格切り下げの削減、ビート加工業者とサトウキビ精製業者のコストの調和がとれていることだ。英国とポーランドの砂糖事業でアソシエイティド・ブリティッシュ・フードもまたこの合意を歓迎する。一方スペイン本拠のEbro Pulevaは補償策を強調して比較的肯定的なものだと述べた。

他の欧州の砂糖製造業者も意見を表明したが、一般的に合意改革に肯定的だった。例えばドイツのSudzukerのオーストリアの子会社、Agranaは改革が導入された後も現在の生産高を維持する計画だと語った。Agranaは同社が成長している地域はEUの中でも条件の良い地域であり、砂糖価格の切り下げは低ビート価格と同一歩調を取る。さらに、現実の市場価格は競争力の弱い製造業者がリストラ基金の奨励を受けていかにリストラをするかに依存している、と語った。イソグルコースの生産割当て増加のためAgranaのハンガリーの事業に利益が生まれ、またピスチェルスドルフの新しい生物燃料工場が2007年に操業が始まり、これが砂糖の余剰生産の吸収に役立つ。Agranaは生産の合理化とコスト削減を計画しており、2005/2006会計年度末までには決定を行う。Agranaはオーストリア、ハンガリー、スロバキア、チェコ共和国で操業を行っている。

デンマークの複合食品企業、ダニスコの経営者は競争力確保のために新しい方向性が必要だと言い、欧州委員会提案の基本的要素に賛成した。輸出・輸入条件や非食品の用途の砂糖などいくつかの詳細が明確にされる必要があると付け加えた。ダニスコは1月末に改革策が発表されるあかつきには将来の活動計画を完成させる。ダニスコはデンマーク、スゥエーデン、フィンランド、ドイツの各国で事業を展開している。

欧州のビート栽培協会からの反応は加工業者に比べるとさまざまだ。例えば英国の全国農家連合(NFU)は改革はいくつかの不確実性を排除し、任意リストラ計画の利益になる割当カット義務の回避などロビー活動のいくつかの目標を達成し、またほとんどのEU諸国でデカプリング(訳注:農業保護費削減のため価格支持をやめ直接所得補償を行う方式)支払いが合意されたことなどである。 合意に至った11月22−24日の欧州連合農業閣僚会議の前に、NFUは英国政府は最終結果で英国の持つ砂糖ビート製造者としての優位性を失わないことを確実にすべきであると述べた。

この英国の見解はアイルランドのビート農家とは全く異なるものだ。取引情報筋によるとアイルランド農家協会の砂糖ビート委員会は満場一致で、アイルランドのビート生産は終了したと結論づけた。砂糖価格の36%の切り下げでは将来はない。ビート加工業者のアイリッシュ・シュガーのオーナーのグリーンコアは、商業上採算を上げ続ける限り砂糖生産を続けると述べた。しかし、ある取引情報筋によると補償策を通じての最大達成は2007年に終了し、この後はグリーンコアが事業を続けるのを見ることは難しいということだ。

フランスの砂糖ビート農家は、改革を強く批判して、これはヨーロッパを輸入に依存させ、ブラジルやオーストラリアなどの国に利益をもたらすが開発途上国にはとっての利益にならないと述べた。ポーランドの農家は、労働力が安く、労働者が低収入しか期待していない事で、低ビート価格に直面する事ができると述べたが、ポーランドの情報筋によるといくつかの工場を閉鎖しなければならないポリッシュ・シュガー・カンパニー(KSC)では同じ意見ではないらしい。KSCはポーランドの砂糖生産の40%を占めるが、資本投資が必要である。

IUFの地域組織である欧州食品農業観光組合連合(EFFAT)は、合意された改革および砂糖産業に直接雇用される約2万5千名の雇用と関連産業に雇用される12万5千名の雇用に対するマイナスの影響に失望を表明した。EFFATはこのプロセスにより影響を受ける地域に補助割り当てがあるものの、砂糖改革によって失われた雇用に代わる仕事を作り出す上ではあまり変わりがなかったと語った。EFFATはアフリカ、カリブ海、太平洋諸国が改革課程の中の一番の敗者であると付け加えた。

ガイアナの外務貿易大臣でカリブ海諸国の砂糖生産業者のスポークスマンは、EUの決定は常軌を逸しており、非良心的で、何万もの農夫とその家族たちの生活を危機にさらし、ヨーロッパとカリブ海諸国の間の長期にわたる関係を裏切ったと
発言した。カリコム(カリブ共同体)の生産者も含むアフリカ、カリブ海、太平洋諸国(ACP)グループは、EU砂糖部門に提供された何十億ユーロもの補償包括条項とACP18カ国の輸出者に2006年に提供された4000万ユーロおよびそれ以降の年のあいまいな約束を比較して、EUの砂糖状況に関する無神経さを嘆いた。

ACP諸国が砂糖制度改革に関するEU決定を嘆いている間、南アフリカ本拠の会社で南部アフリカおよび東部アフリカの砂糖産業を支配し、ACPグループと後発開発途上国グループを構成するIllovo シュガーは、改革はこのグループの利益となるようにとの期待があると言った。Illovoシュガーは、短期の収入はスワジランドなどのいくつかの国では落ち込み、これが欧州連合に輸入される原料砂糖に支払われる価格を相殺すると説明した。砂糖価格の切り下げは現在の輸入割当にマイナスの影響を与え、Illovoは2009年に始まる低開発途上国用の市場開放がEUへの輸出増加の機会を会社に与え、マラウイ、ザンビア、タンザニア、モザンビークの事業が恩恵を被るだろうと期待する。Illovoは改革導後のEU価格が現在の世界価格からの50%の上昇を見越している。砂糖問題に関してEUにロビー活動を行っている後開発途上国ロンドンシュガーグループの議長がアフリカのIllovo事業の役員でもあることを言及すべきである。(南アフリカを除く)
 
関連するニュースで、フィンランドはEU改革で特別条項を確保することができた。これによりフィンランドはEU全加盟国のビート農家に払われる1ヘクタール当り400ユーロの賠償金に加え1ヘクタール当り350ユーロの追加支払イが行える。新規制の下、フィンランドは2つの工場を閉鎖し、残りの工場の年間生産高を25%(9万トンに)増加させる。ダニスコがこの2つのフィンランドの工場を所有している。