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2006年度第3回運営委員会議事録(2006/01/27)

02-Feb-2006





味の素労働組合会議室で行われた標記委員会の報告を下記の通り致します。
(日 時)2006年1月27日(金)  <第1部>15:00−16:20
                    <第2部>16:30−18:00
(出席者)畑木、長島、植田(フード連合)、
石田、郷野(第1部のみ)、大場(第2部のみ)(UIゼンセン同盟)、
秋山、林田(サービス連合)、
見里、高田(JCC事務局)、合計10名(敬称略)

第1部
報告事項
1. 国際連帯基金FTUB学校プロジェクト支援に関する報告

 第2回運営委員会(2005年12月14日)で20万円の支援金拠出をご了承頂いた表記プロジェクトの件、前年度の取り組みについて以下の通り報告する。尚、支援金は12月24日に送金済み。
● FTUBは、増加するタイ国内でのビルマ移民の子どもたちの教育のために、1999年から学校を提供してきたが、子どもの数が増えて財政的に対応しきれなくなり、2004年秋から日本の労働組合から支援を受けることとなった(IUF-JCCは20万円を拠出)。
● 前年度の支援組織は、自治労、日教組、UIゼンセン同盟、NTT労組、ITF-JC、IUF-JCCなど6組織で、約140万円の支援金が集まった。この支援金を3回に分けて現地に送金した。3回目は2006年1月であり、現段階で支出に関する報告は1回目と2回目の送金に対し出されている。
● 1回目の資金では、トイレの建設、幼稚園の建設、教師の給料やその他の経費に使用された。2回目の資金は、教師の給料やその他の経費の他に、編み物や音楽の教室の運営に使用された。
● ビルマ移民の2学校の生徒は、タイのプミポン国王即位60周年行事や、子どもの日コンサートなどに招待され、民俗音楽などを通じて、地元のタイのコミュニティーとの交流を行った。

2. NGOとの協働
(1) NGO-労働組合国際協働フォーラム
● 1月21日、越後湯沢にて開催された連合北陸ブロック「セイフティネットワーク交流集会」に参加し、労働組合としてHIV/AIDS問題に取り組む重要性に関する講演+ワークショップを行った。
(2) 児童労働ネットワーク(CL-Net)
● 1月17日、イオン慨A8000プロジェクトチームの古澤氏を招き、学習会を実施した。
● 1月20日、「6月12日:世界児童労働反対デー」に向けた論議を行った。フットサル大会やウォークなどの規格案が出され、今後実施イベントについて詰めていくが、6月12日の前約1ヶ月間をキャンペーン月間として取り組む方向性を確認した。

3. 争議支援・連帯活動
● 2005年2月に結成された、インドネシア独立タバコ砂糖労連の会長解雇・組合つぶし行為が続いており、FSPSI系の組合しか認めないとして、組合つぶし行為に政府も加担している。これに対し、以下の対応をとった。
◇ JCCから再度の抗議文を送付した(2005年12月16日)。
◇ フード連合糖業部会長および国際担当が在日インドネシア大使館を訪問し、大使宛に争議解決にインドネシア政府が積極的な役割を果たすよう求める要請文を手渡した(2006年1月18日)。
◇ フード連合糖業部会を中心に、渡辺会長を含む本部メンバーも参加して18名のメンバーが、在日大使館前で抗議のデモを行い、大使館員に対し再度、争議解決への行動を要請した。
● ドイツのデュッセルドルフ空港で、エアー・ケータリング会社のゲート・グルメの従業員がはじめた労働条件闘争に端を発したストライキは2ヵ月半を経過した。途中政府の調停機関の介入によって12月6日に一旦和解にこぎつけたが、ゲート・グルメの親会社のテキサス・パシフィック・グループ(TPG)の介入によって調停案が反故となった。こうした状況に抗議し、早期解決を求める抗議文をゲート・グルメ社およびTPGに送付した(1月13日)。
● 2004年、ポーランドのペプシコで発生したセクハラ問題を取り上げた組合に対する対抗処置として組合役員が解雇された件で、同社はセクハラの責任を認めず、組合役員の復職も認めていない。これに対し1月18日に全国抗議行動をNSZZソレダルノスク労組食品部会に、連帯のメッセージを送った(1月16日)。
● インドネシアの椰子油農園で、2004年10月に結成された労働組合が、最低基準の労働条件と搾取的慣行を止めさせるべく、地域の人材省に申し入れたところ、委員長を含む組合役員4名が解雇された。その後、経営サイドは御用組合を結成するなどの組合つぶし行為を行い、組合は2005年9月にストライキに入った。このストライキは組合員にけが人を出した上、逮捕者を出し、更には農園の住宅からの1000名以上の家族の強制退去に発展している。同社に対し抗議文を送付した(1月24日)。

4. 各組織報告
フード連合:23日に第4回中央委員会を開催し、春闘方針を決定した。中央委員会では、連合食品部門連絡会議でもお世話になっている、UIゼンセン同盟のフード・サービス部会長でもある笹原副会長に挨拶頂いた。この場をお借りして御礼申し上げる。
UIゼンセン同盟:1月31日に第4回中央委員会を開催し、春闘の方針を決定する予定。
サービス連合:1月24日に第5回中央委員会を開催し、春闘方針を決定した。また、同時に、連合の長谷川氏を招いて、労働契約法に関する学習会を行った。

5. 今後の予定
● 海外労働学校募集期間:2006年1月30日(月)〜2月24日(金)
● CL-Net学習会「アジアの児童買春〜旅行業界が取り組んだCSR」:3月6日、味の素竃{社地下会議室
参加費は、児童労働ネットワーク参加組織として500円が適用となるので、出席者リストをJCCとしてまとめるので、出席希望者をご一報をお願いする。
● 世界女性デー:3月8日
● JCC三役会・第4回運営委員会:3月27日、味の素労働組合会議室

6. その他
● 社会モデルに関する雑誌記事(ニューズ・ウィーク:1月25日号)
● JCC事務局職員の服務規程を、三役会にて一部改定した。現在設定されている休日の内、JCC創立記念日(2月18日)を、年末年始の休日と合わせて取得できるようにする。毎年1月に事務局内の休日カレンダーを、事務局長と確認することとする。

協議事項
1. 海外労働学校について

 第30回海外労働学校の募集要項が、下記の通り了承された。1月30日に各組織に募集要項を送付する。
● 実施時期:2006年5月17日(水)〜28日(日)、12日間
● 実施国:スイス、ドイツ
● 募集人員:約30名(前年度と同様、各単組の参加者の上限を2名に設定させていただく。また、極力女性を派遣して頂く様ご考慮お願いする。)
● 参加費:34万円(但し、燃料費の値上がりの動向を見定める必要があり、最終的な確定は3月の参加費請求時に出す。変動幅は前後1万円程度。
● 募集期間:2006年1月30日(月)〜2月24日(金)

2. IUF会費およびアジア太平洋地域活動基金に関して
 2006年度のIUF会費は一人当たり2.30スイスフランとなっている。地域活動基金は例年通り一人当たり0.4オーストラリアドルである。為替レートをそれぞれ、93円/CHF、92円/AUDに設定した各組織の支払い金額が承認された。
IUF会費および地域活動基金は、第1四半期中(3月末まで)に振り込むことになっている。従って、2月末日までにIUF日本事務所口座にお振込み頂き、為替レートを見ながら3月中に日本事務所から本部へ会費を、地域書記局に地域活動基金を振り込む。

3. 2006年度一般会計予算の修正に関して
昨年10月の拡大運営委員会にてご承認頂いた一般会計予算で、情報収集活動費が計上されていないという欠落が判明し、事務局から加盟組織にお詫びが述べられた後、新たに情報収集活動費575,000円を計上した予算が承認された。修正予算でも、単年度収支上は赤字にはならない。

4. 国際連帯基金の使用に関して
 争議支援・連帯活動報告で触れた、デュッセルドルフのゲートグルメ労働者は、ストライキが長期化して財政的に厳しい状況が続いている。これら労働者への支援として、NGGがストライキ基金を設置してIUF本部のウェブサイトを通じた支援要請を行っている。先進国の労働組合への資金援助のあり方を、NGGとの関係も考慮しながら論議し、連帯の気持ちを込めて約20万円程度(ユーロで切りのいい金額)を、国際連帯基金から拠出することを決議した。

5. 30周年記念企画委員会に関して
 1月16日、第2回企画委員会を開催し、30周年記念行事として企画するシンポジウムとパーティーの骨格について、たたき台を作成した。シンポジウムは日本企業の海外進出や海外との取引における社会的責任(CSR)をテーマに実施する。人数規模は約50名とする。また、パーティーはシンポジウム参加者、加盟組織役員およびOB、来賓などを対象に100名とする。本運営委員会では、たたき台に対し以下の意見が出された。これらの意見を参考に、企画委員会で第5回運営委員会(4月24日)までに詳細計画案を作成する。
● ロン・オズワルド書記長の基調講演はパネルディスカッションのテーマとは切り離し、現在のグローバルなIUFの取り組みや加盟組織の状況などについて話をしてもらい、日本の加盟組織に対する期待などに触れてもらいたい。
● 時間のイメージは、9時〜12時:拡大運営委員会、2時〜5時:シンポジウム、6時〜:記念パーティー。
● シンポジウムの通訳体制は、時間の制約も考慮すると同時通訳が望ましいが、全体の予算などの関連を見定めて決定する。
● シンポジウムの詳細は、現段階ではまだ決まっていないので、テーマや講師などに関する希望は、各組織の企画委員に伝えていただきたい。

6. ビルマ事務所支援に関して
2005年11月の連合中執にて、ビルマ事務所支援の2年間延長が決まったが、それまで年間700万円を拠出していた連合からの支援金が削減されることとなった。事務所の連合内移転を含め、経費削減を図り活動の効率化を図ることにしているが、収入拡大が必要となっており、連合構成組織およびGUFへ支援拡大の要請が来ている。具体的には、ビルマ・ジャーナルの購読拡大が要請されている。
JCCとしては、現在1部(300円/月、年間3,600円)を購入しているが、JCCとしての購入部数の拡大と、加盟産別組織またはその傘下の単組での購入拡大を検討していただきたい。ちなみに、ジャーナルは簡略化され値段も引き下げられる予定(1部200〜250円程度)。各組織の購読拡大に関しては、特にJCCで集約しないので、直接連合国際局に申し入れていただく。

7. 今後のJCC勉強会について
今後予定している勉強会テーマは、以下の通り。
@ UNIの中国での活動事例:第4回運営委員会(3月27日)
A 世界の食糧安全保障と食糧貿易の課題(FAO日本事務所と調整中):第5回運営委員会(4月24日)


第2部:勉強会
テーマ:「WTOにおける農業交渉の進捗と日本の課題」
講 師:農林水産省 国際政策課 対外政策調整室 長山政道氏

▽ 対外政策調整室について
● WTOやFTA交渉などの政策を調整する部署。交渉には交渉する人と、交渉方針(作戦)を立てる人、相手国の状況等の情報収集をする人が必要だが、いわば作戦を立てる部署である。
● 方針を立てるためには、省内、他省、外部との調整が必要であり、調整をしながら立案する。
● WTO交渉は部分合意ではなく、全分野のパッケージで合意することになるので、農業以外の交渉も見据えた作戦が必要となる。

▽ WTOの農業交渉に関して
● 元々、GATT(関税および貿易に関する一般協定)では鉱工業製品を対象としており、農業は交渉から外れていたが、WTOになって農業やサービスなど全ての分野が対象となった。
● 平成5年(1993年)のウルグアイ・ラウンドの合意で、原則、全ての農産品の関税化が行われたが、日本では細川内閣が受け入れの苦渋の決断をした。
● WTOの目的は貿易の自由化であり、基本的に輸入制限品目の削減と関税化、その後の関税引き下げ、そして最終的には関税撤廃という方向に交渉が進んでいる。
● 但し、闇雲な自由化は、強者にとっては利益となるが、弱者にとっては更に損する、強者弱者間の格差を押し広げるものであり、先進国だけでなく途上国にとっても利益となる貿易ルールが必要とされている。
● 現在、WTOは約150カ国が加盟しているが、先進国はその内およそ30カ国しかない。

▽ ドーハ「開発」ラウンドの流れ
● 2000年まで続いたウルグアイ・ラウンドの後、2001年の第4回閣僚会議(ドーハ)は、途上国の問題を考慮し、ドーハ「開発」ラウンドが始まった。ドーハ開発ラウンドは、2006年末までの合意を目指して交渉が続いている。
● ドーハ開発ラウンドは、農業、鉱工業、サービスの他に、シンガポール・イシュー(@貿易円滑化、A投資、B競争、C政府調達透明性;現在交渉中なのは@のみ)、アンチダンピングや補助金などに対するルール、知的所有権(TRIPS)、途上国への配慮としての開発、などが交渉の対象となっており、複雑さを増している。
● アンチダンピングの制裁措置はアメリカのスーパー301条のように、乱発することでかえって国際貿易が混乱する危険性もあり、ルール化が重要である。また、TRIPSも、日本の競争力のある品種の種子が、中国などの近隣途上国で無断で栽培されることを防ぐためにも重要である。
● 2003年のカンクンでの第5回閣僚会議は、先進国と途上国の対立で決裂し大失敗であったが、昨年12月に香港で開催された第6回閣僚会議は、最終合意に向けて一定の成果があったと評価できる。
● 今後のスケジュールは2006年4月末までは、関税をどう下げるか、補助金はどのくらい、何時までに削減するかなど、モダリティ(共通ルール)を決める予定。
● 現段階で、交渉の進捗は遅々としているように見えるが、今年末までの合意期限をにらんで、最後は政治決着することもありえる。気が抜けない状況。
● 今年末で合意された内容は、その後各国の法律に盛り込むなど、準備・周知のために1年ほどが必要となり、2008年4月からの実施が想定される。

▽ 現在の交渉
● 農業交渉は、市場アクセス(関税削減による貿易機会拡大)、国内支持(貿易をゆがめる国内補助金等の削減)、輸出競争(貿易をゆがめる輸出補助金の撤廃)、の3分野がある。
● 世界の国々が自国の利害を守るために、利害が共通する諸国とグループを作って交渉を行っている。日本はスイス、ノルウェー、韓国など先進国の農産物輸入国でG10グループを作って、農業の多面的機能を重視するよう訴えている。また、仲間を増やすために、EUや途上国で農産物輸入国のインドやG33と連携し、影響力を強めようとしている。
● 市場アクセスに関しては、一般品目の関税引き下げ問題と共に、国家にとって重要な生産品目の中で保護したい重要品目の数と扱いの問題、上限関税が論点であり、これから議論が本格化。上限関税は全ての関税を一定以下にするもので受け入れ不可。重要品目の数については米製品だけで17品目あり、米国提案の全体の1%では、米もカバーできず、大きな争点となっている。
● 国内支持については、基本的に補助金を出すことが出来る裕福な先進国と途上国間の交渉である。貿易への影響度を基準に、黄の政策、青の政策、緑の政策とあるが、これまで貿易を最も歪曲させる黄の政策の削減を進めてきた。なお日本は農政改革により、すでに大幅な削減を行っている。
● 輸出補助金は、余剰品の輸出ダンピングを行っている先進国が中心であり、途上国は多用しているEU等に対して早期撤廃を求めている。日本は、輸入国であり輸出補助金を使用していないので、早期に全ての撤廃を主張している。
● 今回の香港閣僚会議の直前に、50カ国の後進途上国への開発パッケージを、生産、流通・販売、購入の各場面において、協力や原則関税の無税務枠の供与などを約束した。会議では農業や開発の交渉において積極的に議論に貢献し、大きな役割を果たせたと思う。

▽ Q&A
● 今後の食料の自給率に関する見通しと政策は?
● WTOの目的である貿易の自由化は、より自給率を引き下げると考えられるが?
◇ 平成9年(1997年)頃から日本の食料自給率は、カロリーベースで40%程度と低迷している。一方、アメリカは119%、フランス130%、イギリス74%、韓国45%であり、日本の自給率は先進国の中でも最低レベルにある。農業基本法に基づく計画では、これを平成27年(2015年)には45%まで回復させる目標を掲げている。
◇ 現在の低レベルの自給率の背景には、日本人の食生活の変化や農村の変化がある。これを変えていくためには、農林水産省だけではなく、厚生労働省や文部科学省と連携して、食育などを通じた伝統食の見直し、地産地消運動など、力強い農業の実現が必要である。これらの取り組みは、強制力を持って進めるのではなく、運動として広めていくものであり、地道に取り組むものである。
◇ 消費者は、食品に対し安全・安心を考えるので、一概に安いものに全部流れるわけではない。質を求める人が必ずいる。更に最近、中国等でも経済格差によって、裕福な層は高くても品質がよければ買う人が増えてきており、輸出のチャンスもある。輸出が増えれば自給率も上がる。

● 日本たばこ(JT)は、高価な国内産タバコ(輸入品の3倍の価格)の全量買い取りが義務付けられているが、これは国内支持の貿易歪曲的政策には当たらないか?
◇ タバコについては財務省の所管であり、詳細は承知していないが、基本的に国内支持とは政府による支持のことであり、黄の政策ではないと思う。          

以上