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Uniting Food, Farm and Hotel Workers World-Wide


ILOセミナーから刑務所へ、インドネシアのパーム油部門でディーセントワークを求める闘いが犯罪行為と見なされる

Posted to the IUF website 18-Jan-2006





2005年8月29−31日、KAHUTINDO PTムシム・マス労組の会長ロビン・キムビは、北スマトラ、メダンで開催されたインドネシア農園労働者のディーセントワークに関するILOセミナーに参加した。それからほんの2週間後に、キムビと他の4名の組合役員はPTムシム・マス農園・製油所のストライキの最中に逮捕された。(1ヵ月後に6番目の組合役員が同様の罪状で逮捕された)

過去4ヶ月間、キムビと他の4名の組合役員はバンキナン刑務所に収監され、インドネシア刑法第170条、人および物に対する公然暴力行為の罪に問われている。この罪状はスハルト独裁時代にデモやストライキを抑圧するために良く使われたものである。有罪が確定すれば6名の組合役員は最長5年6ヶ月の懲役に直面する。

バンキナン刑務所に6名の役員が収監されている間、PT ムシム・マス経営者は、地方政府と共謀して701名の組合員を解雇し、武装警官と兵士を配置して、 強制的に労働者と1000名以上の家族を農園の従業員住宅から追い出した。

キムビの刑務所への道は2004年10月13日にリアウ州のペララワンのPT ムシム・マス農園・製油所で新組合を結成した時に始まった。キムビはこの労組を2004年12月9日に人材省に登録した。この職場には、200名の契約労働者を含め2000名の従業員がいたが、150名だった組合数が1183名に急速に増えた。最初から組合の要求ははっきりしていた。PT ムシム・マスの労働条件は最低基準である法律を下回っていた。そして会社は契約労働者の不安定な雇用を搾取していた。

2005年2月、KAHUTINDO PT ムシム・マス労組はこの懸念を地方人材省とPTムシム・マスに訴えた。2週間後の2月19日のキムビ解雇が経営者の回答だった。地方当局はPTムシム・マスのキムビ解雇を支持し、これは正式に7月28日にリアウ州の労働争議解決中央委員会(P4P)に承認された。

1ヵ月後、キムビは1183名の組合員を代表してILOセミナーに参加し、インドネシアの農園労働者に関するILOの調査結果を聞いた。これは、現状はディーセントワーク基準から相当劣っているというものだった。このセミナーの目標は以下の通り。


特に、ILOセミナーでは、経営者が法律を遵守し労働者の権利を尊重していない問題、すなわち過去6ヶ月間、人材省とPT ムシム・マス経営者に問題を提起してきたKAHUTINDO PT ムシム・マスの状況を上げた。ILOセミナーの調査範囲によると、

インドネシアでは雇用基準に関する法令は極僅かの農園労働者にしか行き渡っていない。これらの法令に遵守する基準の実施は、自分たちの権利と責任について正しい知識のある労働者と、実施をモニターする有効な労働運動に左右される。これが欠如すると、多くの経営者に法令上の義務を回避する機会を与える。

まさにこのPTムシム・マスによる法令義務回避のために、KAHUTINDO PT ムシム・マス労組は、2005年2月から9月までずっと、PT ムシム・マスが法律の要件通り、労働者の権利尊重とその実施を要求せざるおえなかったのだ。経営者は、この問題を解決するためにオープンで公正な交渉を行う事を拒否するばかりか、セリカット・ペケルジャ・PT ムシム・マス(SPMM)という労組の結成を試みた。そしてKAHUTINDO PT ムシム・マスの組合員を含む偽の組合員カードを作った。組合員は即座にSPMMを偽の組合として非難し、自分たちはSPMMの組合員ではないという声明を発表した。

組合要求の交渉を求めた結果、キムビを含む組合役員が不当解雇され、5名の組合役員が強制退職させられたため、組合は4月に、そしてメダンのILOセミナーの3週間前の8月にストライキを打った。組合要求とストライキ行動にもかかわらず、PT ムシム・マスの経営者は、交渉に入ることを拒否した。

PT ムシム・マスにおける法定最低基準の不実施とキムビの不当解雇を含む労働者権利と労働組合権利の侵害は、まさにILOが書くディーセントワークの欠如を表している。実際、ILOセミナーでキムビが学んだことはすべて組合はその要求を追及する権利があり、もっとはっきりとPTムシム・マスのディーセントワーク欠如を解決するために緊急行動が取られるべきというものだった。

2005年9月8日に、組合は経営者に対する要求を表明し、ストライキを行う意図があることを発表した。経営者は、なおかつ組合との交渉を拒否し、組合員を入れ替えるために新しい労働者を雇う手配で地方政府と共謀した。9月13日、ストライキの朝、3台のトラックが100名の入れ替え労働者を農園と製油所に運んできた。これは経営者が組合つぶしを固く決意していることを表わしている。9月14日、会社のトラックがピケラインに突撃し、組合員2名が怪我をして入院した。経営者のこの好戦的な対応とPTムシム・マスと地方政府のおおっぴらな共謀に怒り、イライラした何十人かの組合員がとっさに工場の門を壊した。これは組合の要求さえ認めようとしない経営者の拒否に抗議をするためだった。この会社施設の損害を、ストライキ抑圧、組合つぶしの口実に利用し、警察が6名の組合員を逮捕し、彼らにインドネシア刑法170条の罪状を言い渡した。

すでに4ヶ月拘留され続け、有罪判決が確定すれば最長5年6ヶ月の懲役に直面するこの6名の組合役員の窮状は、インドネシアのパーム油農園労働者に明確なメッセージを送っている。それは、ディーセントワークの欠如を克服するためまた農業部門におけるディーセントワークの達成に必要な組合活動は実際に犯罪行為と見なされるというものだ。