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Uniting Food, Farm and Hotel Workers World-Wide


2005年度第2回運営委員会議事録(2004/12/15)

Posted to the IUF website 20-Dec-2004





2005年度第2回運営委員会報告
全たばこ労組会議室で行われた標記委員会の報告を下記の通り致します。
(日 時)2004年12月15日(水) 15:00−17:55
(出席者)畑木、渡邊、佐藤、小倉(フード連合)、逢見、郷野、鈴木(UIゼンセン同盟)、
岡田、内田(全国農団労)、秋山(サービス連合)、見里、高田(JCC事務局)
合計12名(敬称略)

<第1部>
報告事項
1. アジア太平洋地域女性委員会報告

 表記会議が11月21-22日、メルボルン(オーストラリア)にて開催され、UIゼンセン同盟国際局中野部長が出席した。主な論議のポイントは以下の通り。
● ジェンダー平等監査について
● IUF-A/P女性参画に関するアンケート調査について

2. コカ・コーラ戦略会議
1) 会議報告
 表記会議が11月14-15日、フラスカティ(イタリア)にて開催され、フード連合組織・中小企業局長島局長、UIゼンセン同盟組織局大出氏、仙台コカ・コーラ労組滝田氏、IUF-JCC見里が出席した。本会議は、コカ・コーラ・システムに対するIUFの活動の戦略を構築することを目的とした、実務レベルの戦略会議と位置づけられていた。主な論議のポイントは以下の通り。
● 各地域および国別報告から、懸念事項および優先課題を抽出する論議を行った。
● 上記優先課題に対する具体的行動計画を論議したが、会議内で完成させることができず、最終的まとめはIUF本部の食品飲料部門コーディネーターのポール・ガーバーと、4人のプロジェクト・コーディネーターがまとめ上げることとなった。

2) コカ・コーラ・カンパニーとの小グループ会議
 コカ・コーラ・カンパニー(CCC)との協議を行う小グループ・メンバーの、UIゼンセン同盟仙台コカコーラ労組の滝田さんが組合の全ての役職から引退するので、後任の人選に関して意見交換が行われた。
同小グループのCCCとの会合は、昨年10月に第1回目を実施して以降、CCCのトップ役員の交代など同社内部の混乱もあり中断していたが、新役員体制の中で再度IUFとの関係構築に向けて動き出し、第2回目が来年3月に開催される見通しとなった。

3. HRCT部会三役会・委員会報告
 11月22日にHRCT部会三役会、23-24日に同部会委員会がジュネーブにて開催され、サービス連合の秋山副会長とIUF-JCC見里が出席した。主な論議のポイントは以下の通り。
l 加盟組織対象に実施した労働条件などの調査結果について、取り扱いも含め論議した。
l 「報酬に関するIUF政策声明」および「ホテルの外部委託憲章」を2006年HRCT部会総会にかけるべく、論議を行った。
l パキスタンのパールコンチネンタル・ホテル(カラチ)の争議は4年経過したが、何の進展も見られないことから、連帯メッセージを委員会決議として採択した。
l ケータリング部門では、3大多国籍企業(ソデッソ、コンパス、アラマーク)の組織化に向けた取り組みが、国際的なプロジェクトとして進める事を確認した。長年のアメリカの組合(HERE、UNITE、SEIU)の努力と、欧州のIUF加盟組織の協力によって、今年10月12日にソデッソとIUFの協約が締結された。日本では、ソデッソのグループ企業をUIゼンセン同盟が組織している。

4. ICFTU世界大会
 表記会議が12月5〜10日、宮崎にて開催され、IUF-JCC見里がIUFを代表して出席したほか、JCC加盟組織もそれぞれ代表を大会に送った。大会は、「連帯のブローバル化」をテーマに開催され、全15件の決議を採択し閉会した。また、国際労連(WCL)との統合が大筋確認された。地域組織の取り扱いに関しては、当初、地域大会の廃止や、地域書記長の本部任命制などを打ち出していたが、中央集権的な方向性に批判が多く出され、大会直前の執行委員会で地域組織の自主性を維持することが決まった。
 参加者からの意見・コメントは以下の通り:
● ほとんどのGUFの本部書記長、アジア太平洋地域書記長が出席していた中、IUFはロン・オズワルド書記長もマ・ウェイ・ピン地域書記も欠席であった。ICFTU、他のGUF、各国のナショナルセンターのリーダー達と情報交換の好機であったので、こうした機会を逃したのは残念なことであった。こうした意見は、既に両者にメールで伝達済み。
● また、アジアにおけるIUFのプレゼンスがなかったのが、残念である。これは、IUFのアジア太平洋地域における組織化の戦略の現れであり、ICFTU大会のような場で、意見表明できるような組合を組織化・育成していく必要がある。今後、IUFアジア太平洋地域委員会などの場で、日本から組織化戦略の修正など強く求めていって欲しい。
● 会場のロビーに展示された原爆写真展は好評で、今までのところ14カ国から写真展を開催したい旨が連合に伝えられている。被爆者の方のスピーチも印象的であった。

5. 争議支援・連帯活動
以下の争議に対する支援要請があり、抗議文・連帯文の送付や情報提供などの支援活動を行った。尚、抗議文や連帯分を送る際の基準として、IUF本部、地域組織、もしくは加盟組織からの要請があった時に限定すべきとの意見が出され、今後そうした対応をとることが確認された。海外での争議は事実関係の確認が困難であり、NGOからの要請への対応では責任を持った対応が保障されないため。
● パキスタンのパールコンチネンタル・ホテルの争議が何の進展もないまま4年経過したことに対し、パキスタン政府および同ホテル経営者に抗議文を送付
● フィリピンのタルラック州の砂糖会社のストライキで警官隊および軍隊が出動し、子供2人を含む7人が死亡し、133人が逮捕されたことに関し、アロヨ大統領に対し公正な裁判を行うよう要請分を送付
● オーストラリアのビクトリア州で酒田米菓の工場における移民女性労働者の差別行為に端を発したストライキを収拾すべく、フード連合が山形県の同社会長と面談した。その後、同社で初めての団体交渉が実現し、ストライキは終了した。(NUW)

6. 各組織報告
● フード連合:先日の中央執行委員会で、2005年の春闘方針案を確認した。昨年は多くの項目を上げたが、加盟組織から優先項目の絞込みが難しいとの意見があり、今年は数点の要求課題に焦点を絞った。
● UIゼンセン同盟:春闘方針は、12月21日の中央執行委員会で原案を作成し、1月7日の中央委員会で決定する予定。
● 全国農団労:春闘の取り組みは、2月の中央委員会に向けて準備を進めている。1月末に討論集会を行い、意思統一をする。ベアは自粛し、職場の活性化、建て直しをメインにかためる方針を検討している。
● サービス連合:本日行われている中執で春闘方針を決める。ホテルも観光も、産業の業績はあまり良くない。しかし過去数年間、賃上げも一時金も前年実績要求を続けており、組織に元気が無くなってきているので、前年プラスαでやる気を出させることを検討している。全体的には前向きで取り組む。

7. 今後の予定
● JCC三役会・第3回運営委員会:2005年1月21日、味の素労働組合会議室

8. その他
(1) 書籍案内
日本ILO協会発行の「先進国の労働運動と国際労働運動」および「職場の基本的権利と国際労働基準 −ILO基本条約の解説−」を10部以上購入すれば、それぞれ単価の500円引きの1,500円と2,000円となる。
(2) ILO理事会(2004年11月4~19日)の主な成果について

協議事項
1. 国際連帯基金の使用に関して

 インドのSEWAより、製塩労働者の支援プロジェクトへの支援要請があった。同プロジェクトは3カ年計画で、1ヵ年の支援金額が約43万円となる。JCCとして審議の結果、SEWAからの要請を受け入れることを決定した。但し、同プロジェクトは3ヵ年計画プロジェクトだが、継続を前提に、毎年SEWAからきちんと報告を受け、その進捗と効果を確認、評価した上で、その都度JCC運営委員会で審議することを条件とする。

2. JCC活動検討チームの編成について
事務局より、JCCの活動をより加盟組織のニーズに応えるものにすべく、各組織の実務担当者とJCC事務局長からなる暫定的な検討チームを事務局内に編成する提案があり、運営委員会にて審議した。@勉強会およびJCCセミナーのテーマと運営、A9月27日世界観光デーおよび10月16日世界食糧デーの取り組みについて、Bその他、などの活動について検討し、運営委員会に答申するという内容であった。
 審議の結果、検討チーム新たに編成することはせず、運営委員会として活動の内容に関して充分検討、議論する時間をとることとした。具体的には1月21日の運営委員会で、今後の勉強会やセミナーに関する論議を集中的に行う。各組織でも事前の検討ができるよう、予め事務局から課題などのポイントをメールすることとする。

3. その他
Ø オブザーバー加盟組織に関して
 フード連合より、オブザーバー加盟組織の関して、今後の取り扱いについて提起があった。この問題は先日行われたフード連合内部の会議で問題提起されたものである。
 IUF-JCCの規約では、オブザーバー加盟組織の定義は、@IUF加盟申請を行った組織(年1回の執行委員会で正式加盟が決定されるまでの暫定期間の位置づけ)、AIUF加盟を志向する組織、の2つあるが、現在JCCにオブザーバー加盟している3組織(ニッカウィスキー労組、AGF労組、クノール労組)は、長年オブザーバーの状況が続いており、JCCの会議にも出席していない。2001年に加盟組織が産別に集約された時点から、IUF加盟は産別を単位とする申し合わせが加盟組織間でされており、それ以降は直接JCCからこれらオブザーバー加盟組織への加盟に向けた働き掛けはしていない。
 クノール労組とAGF労組は味の素グループ労組であり、味の素労組の西脇委員長から、責任もって働き掛けを行うとの表明があった。今回の運営委員会では結論を出すことはせず、今後の各産別組織の組織化努力も踏まえて、状況をフォローしていくことを確認した。


<第2部>
勉強会:児童労働の現状と撲滅に向けた取り組み

児童労働問題に取り組むNGOのACE(Action against Child Exploitation:児童の搾取に反対する行動)の代表、岩附由香さんをお迎えし、世界の児童労働の状況と、それに取り組む国際社会および日本のNGOなどの活動について伺った。

1. 児童労働の定義
● 「児童労働:Child Labour」は18歳までの子供によって行われる有害な仕事を指し、子供の健康的な発育に寄与する有害ではない仕事「子供の仕事:Child Work」と区別するものである。
● 有害な仕事とは、子供の健康、また身体的、精神的、社会的発育に害を与え、教育の機会を奪うものを指す。また、しばしば基本的権利すら守られない(債務労働、農奴など)場合もある。
● 最低就労年齢は、軽い労働(家事や教育の一部としての仕事)では12歳、危険ではない労働は15歳、危険な労働および「最悪の形態の労働」は18歳であり、それ以下の年齢での労働は認められない。
● 「最悪の形態の児童労働」には、@強制労働、債務労働、農奴、子供兵士、人身売買など、A売春やポルノ、B麻薬売買などの犯罪行為、Cその他の危険労働(長時間勤務、深夜勤務、炭鉱労働、化学物資や高温、騒音など)が含まれる。

2. 児童労働の状況
● 児童労働は全世界に2億4600万人(日本の人口の約2倍)おり、内1億7900万人が最悪の形態の児童労働に従事しているといわれている。5歳から17歳までの子供の6人に1人が労働に従事していることに相当する。
● 地域的に見ると、アジア太平洋地域に最も多く、約60%の児童労働(1億2730万人)がこの地域に分布している。その他の地域では、アフリカが23%、中東と北アフリカが6%、中南米8%となっている。また、経済開発状況で見ると、移行経済圏1%、先進諸国でも1%を占めている。
● 産業別に見ると、70.4%が農業、漁業、林業、狩猟などの1次産業、8.3%が製造業、同じく8.3%が卸売り、小売店、レストランやホテルに従事しており、IUFの関連産業に多くの児童労働が存在している。
● 統計的には、男子の児童労働のほうが多いが、女子は家事手伝いなど目に見えにくい労働に従事している場合が多く、長時間労働や性的搾取を強いられるなどの危険は、逆に男子よりも高い。

3. 児童労働の要因
● 経済的(貧困)、社会的(伝統や古い考え)、政治的(政府の能力、地域紛争)要因が複合的に影響して、児童労働を生み出している。
● 使用者から見ると、子供は大人の労働者と比べて、言うことを聞きやすく、大人が嫌がる仕事も押し付け易い。また、労働組合を結成して、賃金などの労働条件工場の要求をしないので、安い人件費で働かせることができる。

4. 児童労働撲滅に向けて
● ILOでは1919年の設立時から課題として捕らえてきた。1973年の第138号条約「最低就労年齢」、1999年の第182号条約「最悪の形態の児童労働撲滅に向けた即時行動」などが、主要な国際条約である。また、国連の子供の権利条約も重要な国際条約である。
● 児童労働を使用する企業の行動は、消費者である市民の消費行動に大きく影響を受ける。また、南(途上国)と北(先進国)の政府間の協力関係の構築も必要である。こうした「南と北の市民のパートナーシップ」のためのキーワードとして、以下のものがあげられる。@フェアトレード/ラベリング、ACSR(企業の社会的責任)、Bミレニアム開発目標(MDG)、C「世界中の子供に教育を」キャンペーン、C子供の権利条約/「最悪の形態の児童労働」条約。

5. ACEの取り組み
● 1998年、ILO総会で児童労働に関する新条約作成に向けた論議のスタートに合わせ、107カ国、1100団体が参加した児童労働に反対するグローバルマーチというムーブメントが起きた。ACEは、日本からグローバルマーチに参加するために結成されたNGOである。
● ACEの活動は、@開発教育事業、Aアドボカシー事業、Bネットワーク事業、C調査・研究および学習・研究支援事業、D現地NGOおよび子供による活動支援、の5つの軸がある。
● 現地支援活動として、インドのローカル・コミュニティーを対象としたプロジェクトを支援している。このプロジェクトは現地のNGOが活動主体ではあるが、ACEも企画立案の時点から中に入って、現地NGOのパートナーとして支援活動を行っている。
● 国内では、啓発および世論喚起のために、来年の3月にフットサル大会を企画している。以前にも味の素スタジアムで実施し、マスコミにも取り上げてもらった。

6. 労働組合の活動
● 労働組合ができることは、@意識啓発とキャンペーン、A調査とモニタリング、B労働協約と行動規範、C組織開発と政策展開、D子供への直接支援と「行動を起こす」。
● IUF加盟のフィリピンのホテル労組NUWHRAINは、ILOが実施しているIPEC(児童労働撲滅のための国際計画)の一環として、連合からの資金援助を得て、歓楽街における児童労働問題に取り組んだ。この取り組みは、上記の@の調査活動(報告書は日本語でも出版されている)と、Aの労働協約への児童労働不使用事項を盛り込むよう交渉することを実行した。
● IUFでは、マラウィにおけるタバコ栽培に児童労働が大きな規模で使用されていることが問題となり、1998年の執行委員会で当時IUF未加盟であったマラウィの農業労組を招聘して、状況を説明してもらったことで活動がスタートした。翌年1999年6月には、国際タバコ栽培者協会と「児童労働撲滅に向けた共同声明」に調印し、2000年には、タバコの多国籍企業BATおよびフィリップモリスと児童労働に関するシンポジウムをケニヤで開催した。2001年には主要なタバコ企業と「タバコ栽培における児童労働撲滅財団」を結成し、現地でのプロジェクト活動を行っている。
● 2001年には、西部アフリカにおけるカカオ栽培で、周辺国から誘拐されてきた少年が大勢児童労働に従事していることが表面化し(人身売買、強制労働、などの犯罪に関わる)、欧米のココア、チョコレート製造者協会および企業、NGOなどと共に、「国際カカオイニシアティブ」という財団を結成し、問題に当たっている。


以上