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2005年度第1回運営委員会議事録(2004/11/01)

04-Nov-2004





2005年度第1回運営委員会報告
フード連合会議室で行われた標記委員会の報告を下記の通り致します。
(日 時)2004年11月1日(月) 15:10−17:25
(出席者)畑木、小倉、長島(フード連合)、逢見、大場、中野(UIゼンセン同盟)、
岡田、内田(全国農団労)、秋山、山内(サービス連合)、見里、高田(JCC事務局)
合計12名(敬称略)

<第1部>
報告事項
1. IUF三役会報告
 表記会議が10月14-15日ジュネーブ国際会議センター内にて開催され、畑木JCC議長と見里が出席した。主な論議のポイントは以下の通り。
● 日本から選出されている副会長が増渕前JCC議長から畑木現議長に交代する旨、会議冒頭で承認された。
● 定例の議題の他に、来年4月の執行委員会で論議する課題として、IUFのメンバーシップが直面する課題と組織強化のために何をすべきかを取り上げる事となり、その準備論議を行った。
● 従来の執行委員会は報告に割かれる時間が多く、充分な議論が行われてこなかった事を反省し、予定された時間内に充分な議論ができるよう議題の構成を約30年ぶりに変更する検討が行われ、次回執行委員会から実施される事となった。

2. 争議支援・連帯活動
以下の争議に対する支援要請があり、抗議文・連帯文の送付や情報提供などの支援活動を行った。
● アメリカ、サンフランシスコで労働協約交渉決裂が原因で14のホテル経営者が労働者をロックアウトしている事に対する抗議文送付(UNITE HERE)
● ブルキナファソの国営ホテルであるインディペンダンズの民営化にあたり、契約交渉から労働組合が締め出された上で、全従業員が1年個別契約を条件に解雇通知を受け取った事に対する抗議文送付(FNAHB)
● ビール会社InBevが、生産性や利益をあげているにも拘らず、マンチェスターの醸造所閉鎖を計画している事に対する抗議文送付(T&G)

サンフランシスコのホテル争議に関しては、連合およびサービス連合に個別の対応をお願いした。10月1日時点で対応依頼のあった、各国の組織化された当該チェーンホテル経営への加盟組織を通じた抗議通達は、日本の関連ホテルが殆ど組織化されていなかったので対応しなかった。今回のアクションは、本部から日本個別に対応依頼があったことに対応したものである。尚、労働者にボイコットを呼びかけるのであれば、やはり連合のホームページに載せてもらうべきではないかとの意見が出された。
今年5月からUIゼンセン同盟中心に対応してきた、ジャカルタのニッコー・ホテルの争議は解決したとの情報が入った。詳細がわかり次第、報告する。

3. 各組織報告
● フード連合:10月22日に第1回中央執行委員会を開催し、春闘への対応を中心に論議した。
● UIゼンセン同盟:先週中執研修会開催した。連合評価委員会、企業別組合の限界、春闘などについて論議した。
● 全国農団労:毎年実施している10月16日世界食糧デーの取り組みを今年も行った。各地で飢餓貧困がある中で食べ物を残さないことを呼びかけたり、FAOが支援するGMOライス開発への警告などのビラを配った。
● サービス連合:27日に2回目の中執を開催。秋闘および春闘の論議を行うと共に、アクションルートパート2として組織訪問してきた連合笹森会長との対話(約2時間の内、笹森氏の話が1時間)を行った。

4. 今後の予定
● コカコーラ戦略会議:2004年11月14-15日、ローマ
● A/P女性委員会:2004年11月22-23日、メルボルン
● HRCT三役会:2004年11月23日、ブエノスアイレス(11月22日、ジュネーブに変更となりました)
● HRCT委員会:2004年11月24-25日、ブエノスアイレス(23-24日、ジュネーブに変更となりました)
● ICFTU世界大会:2004年12月5〜10日、宮崎
(12月7日、IUF-JCC主催でIUF加盟組織からの出席者対象の夕食会を開催する)
● JCC三役会・第2回運営委員会:2003年12月15日、味の素労働組合会議室

5. その他
(1) 児童労働ネットワーク(CL-net)設立総会、10月24日開催
(2) 北東アジア小地域女性ワークショップ、国際連帯基金による支援金額未確定


協議事項
1. IUF三役会から提起された課題に関して
途上国のメンバーシップは充分強化されていない状況にある一方で、先進国では欧州を中心に組合員が減少している。この事は先進国での組織力低下の問題と共に、途上国へ向ける支援の低下を引き起こし、全体としての組織力の弱化に結びつく深刻な問題である。組織力を強化するためにIUFは何をすべきか、来年4月の執行委員会で論議する。
途上国を主なターゲットとした支援・連帯活動だけでなく、先進国の加盟組織も利益を受ける活動が重要と考え、次の具体的取り組みが提起されている。
 @多国籍企業(特にケータリング企業)における組織化のコーディネーション
 A小売業との取引慣行を始めとしたパワーバランスに関し、UNIとの共同会議の開催

運営委員会では、上記の提起された課題を共有し、来年の執行委員会向けた論議の今後の進め方を確認した。具体的には執行委員会(4月13-14日)直前の運営委員会(4月4日)でJCCの方針を論議・検討する。

2. 第29回海外労働学校に関して
(1) プログラム案
2005年5月18〜29日の日程で、ジュネーブ(スイス)とコペンハーゲン(デンマーク)で実施する。デンマークの受入組織は食品労組のNNFである。
(2) 募集の人員に関して
近年参加者数が増加している。その事自体は喜ばしい事ではあるが、事務局のキャパシティーを超える規模にまで達しつつある。今年はフード連合の海外視察団と日程が重なり、直前のキャンセルなどが発生したが、それでも過去最高の35名(事務局含む)となった。来年の海外労働学校には、既に従来未参加の組織の参加表明もあり、今年の参加者数を越える事が予測されている。
運営委員会では、対応策として複数名を派遣している組織に、人数制限を加えることはできるか(例:1単組2名まで)検討した。具体的には例年3名以上派遣して頂いている組織に、全たばこ、全森永、キリンビール、明治乳業、明治製菓などがあるが、個別の聞き取りでは各組織とも人数制限が必要であればそれに応じる事が可能であるとの返答を得た。1月21日の第3回運営員会で募集要項の承認を得る際に、最終的な判断をする。

3. 今後のJCC勉強会について
今後の勉強会およびJCCセミナーのテーマについて論議を行った。現段階で事務局で準備しているテーマは、 @HIV/AIDSの状況と取組:第1回運営委員会(11月1日)、 Aフェア・トレードの認証表示の世界と日本の状況(フェア・トレード・ラベル・ジャパン)、 B児童労働撲滅への取組、などである。
AおよびBは、CSR(企業の社会的責任)に関わるテーマであり、JCCセミナーとしてより包括的にCSRを取り扱うべきとの意見が出され、事務局として検討する事となった。
また、BSEや鳥インフルエンザなどの問題がある中で、食の安全性に関する勉強会を期待する意見も出された。具体的な企業と労働組合の取り組み事例などの紹介も、今後の勉強会に盛り込む事とする。

第2部
HIV/AIDSの現状とNGOの取り組み
HIV/AIDSなど感染症対策に取り組むNGOの「シェア=国際保健協力市民の会」の山口事務局長をお招きし現状と課題を伺い、シェアの取り組みと今年発足したNGO-労働組合国際共同フォーラムの役割について聞く。

(1) HIV/AIDSに関する基礎知識
● HIVはウイルス、AIDSは発症した病気のことを指す。通常HIVウイルスに感染してから7〜10年でAIDSを発症する。
● 現在HIVウイルスに利く薬はないが、AIDSの発祥を抑える薬であるARVは、先進国の製薬会社によって開発されている。但し、価格が高い事と特許によって保護されているため途上国のHIV感染者の大半が購入する事ができない。

(2) 世界と日本の状況
● 現在、世界中のHIV感染者およびAIDS患者は総数で42百万人存在する。この内、29.4百万人がサハラ以南のアフリカに分布している。この地域では、特に90年以降爆発的な感染の広がりがあった。
● 最もHIV感染率が高いボツアナでは、成人人口の3人に1人が感染しており。同国の平均寿命は、10年前の60歳前後から15歳近くも引き下げられる事態まで悪化した。現在徹底した対策が練られており、今後同国の状況は改善すると予測される。この他、特徴的な統計としては、南アフリカの感染者数が4.2百万人にのぼること、ザンビアでは18歳以下の児童の10人に1人はAIDS孤児であることなどがある。
● 日本も総数は少ないものの、先進国では唯一新規感染者が増え続けており、放置しておけば大きな社会的問題となることが予測される。特に20歳台の若者の感染が増えている。

(3) HIV/AIDSによってもたらされる問題
● AIDSによって、AIDS孤児の発生、働き手の欠如と医療費支出の増加による経済的破綻など、家庭やコミュニティーが大きな影響を受けるだけでなく、マクロ経済へも著しい悪影響が出ている。
● 特に労働関連では、労働力人口の減少、農業生産性の低下、医療費負担の増加を嫌う企業の撤退や投資の引き上げ、二重雇用の必要性から来る労働コストの増加などの問題がある。

(4) シェアの取り組み
● シェアは1983年に日本ボランティアセンター(JVC)の医療関係スタッフや学生を中心として設立された、医療に特化したNGOであり、「Health for all:全ての人々が、心身ともに健康に暮らせる社会が実現すること」を理念に活動している。
● 活動は、「国境のない医師団」のように華々しいものではなく、地元住民が自ら担い手となって課題に取り組めるよう手助けをする事と、日本の社会に対し何ができるかを問い掛けていく事を使命として行っている。
● 現在、タイ、カンボジア、東チモールの3カ国に現地事務所を設置して活動を行っている。タイとカンボジアではHIV/AIDS対策、東チモールでは独立時の緊急支援とそれに続く保健衛生の確立を主な活動としている。
● 日本国内では、在日外国人を対象とした医療サービスと、より広い社会へのエイズ教育、キャンペーンを実施している。

(5) 質疑
● 逢見:UIゼンセンとして、以前毎年12月に開催されるエイズ会議に合わせて、キャンペーン活動などを行っていたが、人々の関心を引く事が難しく、活動を中止してしまった。
山口:確かにHIV/AIDS問題に関心をひきつけるのは難しいが、シェアでは写真などの展示により、一般の人々へのアピールを行っている。これらの写真は、郵送料をご負担いただければ貸し出し可能である。
● 見里:タイやカンボジアでは農村部での活動を行われているが、農業労働者の組合やグループとの接触はあるのか。
山口:農村地帯は小規模農家ばかりで賃金労働者がいないため、労働組合に組織されておらず、今まで現地の労働組合との接触はない。但し、繊維産業などでは若い女工たちの中でHIV/AIDSが広まりつつあるので、活動領域の可能性としては労働組合とのタイアップも考えられる。
● 畑木:企業ではボランティア休暇/休職制度があるところもあるが、シェアの現地事務所に勤務する医療関係者は、どのような立場で赴任しているのか。
山口:彼らは一度病院などを退職し、非常に安い賃金で赴任してもらっている。2年程度で帰国するが、医療関係者は再就職する際に職を見つけやすいという利点がある。
● 見里:在日外国人への医療サービスの一環として、在日ビルマ人労働組合への医療サービスは可能か。
山口:既に横浜の港町診療所では、そうしたサービスをしているので、そちらに相談すれば可能と考える。

以上