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2006年度第2回運営委員会議事録(2005/12/14)

15-Dec-2005





味の素労働組合会議室で行われた標記委員会の報告を下記の通り致します。
(日 時)2005年12月14日(水) <第1部>15:10−17:00
                    <第2部>17:10−18:15
(出席者)石田、郷野、谷津(UIゼンセン同盟)、内田、小川、(全国農団労)、
秋山、林田(サービス連合)、見里、高田(JCC事務局)、合計9名(敬称略)

 都合により畑木議長が欠席したため、サービス連合秋山副会長(JCC副議長)の議事進行で、会議が行われた。

第1部:運営委員会
報告事項
1. IUF三役会報告

 IUF三役会が11月9-10日にジュネーブで開催された。今回は、都合で畑木議長が出席できず、JCC見里のみ出席した。会議のポイントは以下の通り:
● 2005年4月の執行委員会の討議テーマであった「組織化」に関するフォローアップが、最大の論議事項となった。既に、多くの対策が執られてきているが、今後のこの文脈で組織や活動の変革を行っていくことが明らかになった。
● 12カ国18組織の加盟申請に関して承認した。アジア太平洋地域からはパキスタンの2組織、パキスタン製糖労働組合連合、パキスタンホテル労働組合連合の加盟が承認された。
● 2002年の結成以来、初めて国際カカオ・イニシアティブ(ICI)の報告がなされたが、産業側からのコミットメント不足など、タバコ栽培児童労働撲滅財団(ECLT)との違いが今回明らかになった。日本のかかわりを模索している現在、JCCにとっても今後の動向を注目する必要がある。
● ICFTUとWCLの統合にかかわる課題について、WCLやWCLの産業別部門組織であるFEMMTAとの会談を踏まえて、IUFの立場を以下の通り整理した。@FEMMTAとの合併はありえない、AIUFは新たに設立される国際労働組合組織からも独立した組織であり続ける、BFEMMTA加盟組織のIUF加盟は歓迎するが、IUFの基準に照らしてケースバイケースで加盟申請を審査する。
● 新しい書記局メンバーの2名が会議に出席した。グローバル食品サービス労働者同盟のコーディネーターのケビン・カランは英国GMBの元書記長であり、アメリカSEIUから拠出された同盟資金で人件費も負担される。食品飲料部門のコーディネーターのダリア・チブラリオは、基本的に今までポール・ガーバーが担ってきた業務を引き継ぐが、コカ・コーラは引き続きポール・ガーバー、ネスレはジャクリーン・バロンチーニ、ダノンは新たに2006年1月から同社が人件費を負担するグローバル・コーディネーターが担当する。

2. パキスタン食品飲料タバコ労連結成大会報告
パキスタン食品飲料タバコ労連が結成され、11月20-21日に結成大会が開催された。JCCから見里が、パキスタン・アウトリーチ・プロジェクトの国際支援グループ・メンバーとして出席した。
● パキスタンの労働組合は産別組織が存在せず、単組が直接ナショナルセンターに所属したり、どの組織にも所属していない組合が多数あるという状況が続いていた。1997年に開始されたパキスタン・アウトリーチ・プロジェクトは、パキスタンのIUF管轄産業内の組合にコンタクトして、産業毎のグループを構築することを目標に活動してきた。今回の食品飲料タバコ労連の結成は、2003年の製糖労連、2004年のホテル労連の結成に続く、同プロジェクトの3つ目の成果である。
● 今回の総会には14の組合が出席したが、同労連への参加は21の単組が参加を表明しているという。組合員数の正確な数字は出ていないが、3,000〜5,000程度と見られている。
● 総会には、先に結成され、本年11月のIUF三役会で加盟申請が承認された、パキスタン製糖労連とパキスタン・ホテル労連の代表も出席し、連帯の挨拶を行った。また、IUF-A/Pのジャスパー・ゴス氏が地域組織を代表した挨拶と、グローバル化と食品関連産業の労働者への影響に関するプレゼンテーション、JCC見里が日本を代表した挨拶と、日本の食品関連産業労働組合の組織紹介と優先課題に関するプレゼンテーションを行った。
● 総会は、労連の規約を採択し、執行部を選任した。パキスタンでは画期的なことと考えられるが、執行部に3名の女性の役職を設けることも決定された。役員は、議長、副議長(女性)、委員長、上級副委員長、副委員長4名、書記長、書記次長4名(内1名女性)を決定した。残る女性の役員は女性活動担当執行委員であるが、総会では任命されていない。

3. ホテル・レストラン・ケータリング・ツーリズム(HRCT)部会委員会報告
 HRCT部会の委員会が11月25-26日、ローマにて開催され、サービス連合秋山副会長(JCC副議長)とJCC見里が出席した。主なポイントは以下の通り:
● 今回は、イタリアのゼネスト(11月25日)に当たり、当初イタリアから多くの参加者が予定されていたが、実際には3-4名であった。その他は、アフリカ代表のエジプトが出席予定のところ欠席したため、欧州以外の出席者は、アルゼンチン(2名)と日本だけであった。このため、欧州内における課題が多く論議された。
● HRCT部会の管轄と位置付けられた、ケータリング部門の組織化のための「国際食品サービス労働者同盟(GFSWA)」に関する取り組みが大きな議題項目として取り上げられ、2週間前に開催されたIUF三役会議に引き続き、GFSWAコーディネーターがプレゼンテーションを行った。
● 来年に開催予定のHRCT部会総会に向けて、言語毎の小グループを編成して、論議すべきテーマなどについてグループディスカッションを行った。これらの小グループの論議は、会議2日目に総会の議題案として集約された。
● 欧州にはIUF、ITF、UNIの協働の観光産業における活動の枠組である欧州観光連絡委員会(ETLC)があるが、アジアでも同様の枠組をITFなどが求めている。これに関してはIUF内で否定的な意見があるが、今後の可能性を検討していきたい。

4. NGOとの協働
(1) NGO-労働組合国際協働フォーラム

● 11月30日〜12月6日、総評会館1階ロビーにて、12月1日「世界エイズ・デー」に合わせた写真展を実施した。
(2) 児童労働ネットワーク(CL-Net)
● 11月28日、拓殖大学長坂教授を招いて「児童労働と企業の社会的責任(CSR)」をテーマに、CL-Netの勉強会が開催された。
● 12月2日、インドの児童労働問題活動家であるカイラシュ氏を囲んで、懇談会が開催された。

5. 争議支援・連帯活動
● 韓国で結成された移民労働組合(MTU)の委員長、ホサイン氏が不法逮捕・拘束され既に7ヶ月が経過するが、MTUが抗議のため韓国人権委員会事務所を占拠したことで、彼らを支持し委員長の即時解放を求める要請文をノムヒョン大統領宛に送った(12月12日)。

6. 各組織報告
● UIゼンセン同盟:人事交流で来年1月16-20日、韓国の民間サービス連合の商業関連労総役員をJSDと協働で受け入れる。非正規労働者問題を協議する予定。

7. 今後の予定
● JCC三役会・第3回運営委員会:1月27日、味の素労働組合会議室

8. その他
● 「インド共産党は日本企業の脅威となるのか」資料配布
最近、中国に継ぐ投資先として注目されるインドにおける、企業活動と政治環境を考える視点として資料を配布した。
● 2006年度IUF-JCC役員体制表配布

協議事項
1. 海外労働学校について

 2006年5月17-28日に行われる海外労働学校の実行までのスケジュールは、以下の通りとすること、および前年度と同様、各単組の参加者の上限を2名に設定することが運営委員会にて了承された。尚、参加メンバー間の意見交換の場が欲しかったとの意見が昨年度の参加者からあったので、詳細日程を組む際に工夫する。
2006年1月27日(金) 募集要項の承認(第3回運営委員会にて)
2006年1月30日(月) 募集要項の発信・募集開始
2006年2月24日(金) 募集締め切り
2006年5月9日(火) 事前学習会
2006年5月17-28日 海外労働学校実施
 
2. 今後のJCC勉強会について
前回に引き続き、今後の勉強会およびJCCセミナーのテーマに関してご論議を行った。現在、事務局で予定している勉強会テーマは:
@ 食品安全に関するISO22000について:第2回運営委員会(12月12日)
A WTO閣僚会議(香港)における農業貿易の成果と日本の課題:第3回運営委員会(1月27日)(農林水産省国際経済課と調整中)
B UNIの中国での活動事例:第4回運営委員会(3月27日)
● WTOに関しては、関税比率の数字を巡る攻防の話ではなく、世界規模の食糧安全保障と農業の世界貿易の課題などを盛り込んだ話を聞けるよう、農林水産省に依頼することが事務局に要請があった。
● JCCの30周年記念行事でシンポジウムを企画することになるので、7月に予定しているセミナーは実施せずに、シンポジウムに一本化する。
● また、少子高齢社会における人の国際移動の是非とそれに伴う課題について意見交換する場を、勉強会として設定することが要請された。

3. 30周年記念企画委員会に関して
 12月13日、第1回企画委員会を開催した。出席者はフード連合植田中執、UIゼンセン同盟中野国際局部長、全国農団労大谷書記(内田副委員長の代理出席)、JCC見里、高田の5名(サービス連合伊勢副会長は欠席)。30周年記念行事として、拡大運営委員会の日程に合わせて、シンポジウムと記念パーティーを行う方向で検討に入ることが、運営委員会で承認された。具体的には来年10月のアジア太平洋地域総会直前の10月6日(金)を軸に、連合など関連組織の予定も勘案して日程調整することとなった。シンポジウムのテーマについては今後詰めていく。

4. 国際連帯基金の使用に関して
 ビルマ労働組合連合(FTUB)より、教育プロジェクトへの支援要請があった。これは、昨年度に引き続き、2年目の活動に対する支援要請であり、昨年度と同様の20万円の支援金を、国際連帯基金から拠出することが事務局より提案された。
 これに対し、昨年度の報告を受けることを前提に、事務局提案は承認された。


第2部:勉強会
「ISO22000:食品安全マネジメントシステム − フードチェーンの組織に対する要求事項」
講師:ペリージョンソン・レジストラー株式会社シニアセールスマネージャー:小野尚弘氏


● 今年9月に発効した「ISO22000:食品安全マネジメントシステム規格」は、構成はISO9000:品質マネジメントシステム規格に、手法はISO14000:環境マネジメントシステム規格に似ているといわれるが、内容は食品のHACCP(『危害要因分析および重要管理点』管理方式)にマネジメント手法を強化したものに近い。
● 元々は、HACCPの課題を改善する規格として、デンマークがISO20543を提案し、それを国際規格化したものがISO22000である。日本では、審査ガイドラインが来年出来上がるので、本審査はまだ行われていないが、ドラフト・ベースの規格の時点で上島コーヒーと神戸の味噌会社が、2005年9月に発効してからパイロット審査として某飲料会社のスープ製造子会社が審査を行っている。
● 日本の食品の安全を取り巻く状況を見ると、2000年以降の食にまつわるスキャンダルで、消費者の94.8%が食に不安を持っている。従って、食の「安全」は当然のこととして、「安全」から「安心」を獲得するための手法として期待される。
● 特に、食中毒の原因が特定できないケースが増えていることから、フード・サプライ・チェーン全体でのトレーサビリティーが求められており、ISO22000は、農場からテーブルまでのフード・サプライ・チェーン全体をカバーするマネジメント・システムの枠組である。フード・サプライ・チェーンには、プラスティック梱包材メーカーなども含まれる。
● 従来のHACCPは、現場の管理に重点が置かれておりトップ・マネジメントの責任が明確ではないなど、多くの課題を抱えていた。実際にHACCPを導入していても、食の安全に関わる問題を犯した企業が出たことから、仕組みづくりと共に、それを運用するための人材教育などの管理ソフト面が重視された規格となっている。
● ISO22000の「安全な製品の計画および実現」には、「前提条件プログラム(PRPs)」で原材料などの購入条件の設定がHACCP手法に加わる。フード・サプライ・チェーンで最も消費者に近い小売業の大手がISO22000の認証を取得し、PRPsの設定で納入業者や農家に対してISO22000を推奨した場合、急速にISO22000が広まる可能性がある。
● ISO規格は、認証後も定期監査があり、3年ごとに更新審査も行われる。更新審査に掛かる日数は平均して本審査の3分の2程度といわれている。
● ISO22000という名称では、消費者には何のことか判らない、より消費者に判りやすくアピールするサブタイトルがあれば、企業もそれを売り文句にするというメリットがあり、認証を取得する意味も出てくる。内閣府の食品安全委員会で今後こうした論議もされるであろう。


以上