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Uniting Food, Farm and Hotel Workers World-Wide


ペプシコ、いまだにポーランドのセクハラの責任を認めず

Posted to the IUF website 24-Jul-2005



from the Swedish Foodworkers' Union

マリン・クリングゼル―ブルリンはスウェーデン食品労組(Livs)の雑誌、Mal&Medelの編集者だ。6月22−23日、彼女はIUFとソリダルノスクが企画したポーランド視察団に参加した。これはワルシャワ近郊のペプシコ、フリトレー工場の監督員によるセクハラのため解雇され、強制退職された8名の女性の状況調査が目的であった。

何度も何度も、彼女たちの同僚は監督員事務所に消えていく、他の女性は疑いを抱いていた。クリスマスの1週間前、突然彼女が解雇された時、何が起きたかということについて、今まで長いこと誰もしゃべろうとしなかったこと、つまりセクハラについて話しはじめた。

セクハラを話題にするのは難しい。しかし今始めて、大きな集団でこの話を始めた。そしてほとんど全員がこれを経験していることに気がついた。自分がセクハラを受けたか、あるいは他人のセクハラを目撃したかである。

困難な時であったが、同時に事をオープンにするのは信じられないほどの開放感だ。彼女らは自分ひとりではないということに気づき、負担が軽くなった。

多くの人が妊娠した同僚が解雇されたことを覚えている。それは3年前のことだった。監督員がこの子供の父親であると言われた。この話が広がると彼女の父親は自殺を図った。首を吊ったのである。その後でやっと監督者は自主退職を勧告されたのだ。誰もこの話が真実かどうかわからなかった。というのはこれは適正に調査されなかったからである。

女性たちはワルシャワ近郊のペプシコスナック工場フリトレーに雇われており、休憩時間に話をした。彼女たちが知らなかったことは、誰かがこれを聞き、全てを経営側に伝えていたことである。恐らくこの人はこれを昇進の機会と見たのか、あるいは彼女たに恨みを持っていたのだろうか。


忘れられない日

クリスマスが近づいていた。たくさんすることがある。料理、クリスマスツリーのデコレーション、プレゼントの買い物。クリスマスが終わり、工場の包装部門に戻り、いつものとおりに働く。しかし2004年12月29日は、彼女たちが忘れることのできない日となる。

エルズビエッタは休憩中だった。タバコに火をつけた時、監督員が彼女に近づき、タバコを吸うのをやめ、自分についてくるように言った。彼の深刻な様子に彼女は怯えた。言われた通りに黙ってついていった。彼は人事部のマネージャーが待っている事務所に彼女を連れて行った。マネジャーは工場は彼女を必要としないと説明した。この理由はあいまいだった。

彼女は理解できなかった。呆然自失となった。目の前のテーブルにはふたつの書類が置いてあり、どちらかに署名しなければならなかった。一枚目は自主退職用紙で、一定の補償を受けることができる。2枚目の書類は職務怠慢を理由とする解雇通知であった。

気を失いそうだった。彼らは何と言っているのだろうか?くび?なぜ?頭がきちんと働かなかった。夫は失業している。4人の子供を養わなければならない。どうやって生きていけるか?いくらかの補償を受けられる書類にサインした。これは3か月分の給料だった。選択の余地はないと思った。

エルズビエッタの後に、セクハラについて話をした女性は一人づつ呼び出された。話が回りまわって、今では彼女たちは何が起こるか知っていた。

グラヅィーナは監督員に3番目に呼ばれた。これは非常に不愉快だった。なぜならこの監督員が彼女にセクハラを行っていたからである。

勤労賞

最後に事務所に呼び出された女性はアレクサンドラだった。彼女の同僚は目を疑った。彼女たちはアレクサンドラを慰め、何も恐れることはないと言ったばかりだった。つい数週間前に、彼女は勤勉さのために表彰されていた。

アレクサンドラは、他の8名のうちの6名と同様に自主退職を選んだ。経済的な補償を無視する余裕がないのだ。一人ずつ、人事部事務所から出てきた。彼女たちは個人の持ち物を入れる黒いビニールのライナーを手にしていた。そして即座に工場を立ち去るように言われた。

工場が始まって以来、たった1日でこんなに多くの人が解雇されたことはなかった。組合代表が休暇で、彼女たちを助けるためにそこにいなかった時にこの解雇が起こったのは偶然ではないだろう。

解雇された女性たちは、工場の門でそれぞれを待っっていた。彼女たちはセクハラの話をしたことが解雇の理由だろうと確信した。翌日、ソリダリノスクのローカル事務所で組合会長と会った。組合会長は彼女らに何が起こったかという供述を書くようにアドバイスした。文書にしたものがなくては、この件を訴えることは不可能である。

1月3日、彼女たちはセクハラを労働裁判所に訴えた。数日後、ソリダリノスクの代表は女性の経営者と会合を持った。彼らは交渉という手段で、会社に責任を取らせ、この件を調査させ、女性を職場復帰させられるのではと希望を持っていた。しかし、経営側はにべもなくこれを拒否した。

報道機関の見出し

女性たちは主張をひるがえさなかった。3名がセクハラを受けたと主張した。5名がこれを実証した。ポーランドの新聞やテレビがこの事件を聞き、大々的に報道をおこなった。

2つの裁判が起こされた。ひとつは労働法規からこの案件を裁くもの、もうひとつは刑事事件としてである。このために監督員が逮捕されたが、会社から引き続き給与が支払われている。また会社は弁護のために高い弁護人も提供している。女性たちは職場復帰していないし、収入を失ったことの補償も受けていない。

1月末までに、IUFは加盟組合に対しこの件への抗議およびセクハラを止めようとして解雇されたり、退職を無理強いされた全労働者を即座に職場に戻すことを要求するようアドバイスした。

ペプシコはセクハラから自社の従業員を守るために必要な手段を取らずにいることで、欧州とポーランドの法令を侵害し、また従業員の人権も侵しているとIUFは見ている。

自社の行動規範侵害

IUFは、またペプシコは自社の世界行動規範で『セクハラや他の形態のいやがらせを含むあらゆる形態の差別のない職場を提供する』ことを請け負っていると記している。

Mal&Medelの3月号(2005年No.3)でペプシコのケースについて取り上げた。女性たちの申し立てを調査せずに、経営側は女性からの報告は会社をゆすろうとしたものだと主張した。ソリダリノスクは女性と彼女らの行動を監視するために探偵が雇われたのではないかと疑っている。

ソリダリノスクは女性の支援のための嘆願を開始した。今までのところポーランドで約18万名の署名が集まった。5月半ば、ワルシャワでデモがおこなわれた。しかし、会社は聞く耳を持たない。時間がたつにつれ、女性たちの状況は悪化する。女性の行動によっては生産が国外、ウクライナに移転されるといううわさもある。この地域の失業率はとても高く、20%を超える。臨時雇用でなければ新しい職を見つけるのは難しい。

北欧キャンペーン開始

6月初頭、北欧のIUF協議会は、ペプシコの従業員の人権擁護のに完全な失敗の公表にあらゆる可能な手段を使用することを決めた。組合はまた、労組代表および組合ジャーナリストからなる代表団をポーランドに送ることを決めた。代表団に参加した我々は、ワルシャワのソリダリノスク事務所で6月22日に7名の女性に会った。またこの会議には中央・地域・地区のそれぞれのレベルの組合代表が参加した。我々が聞いた話は驚くべきものだった。この女性たちの社会的状況を考慮すると会社の行動は全く無慈悲である。会社は一体どうして女性たちが自分たちの利益のためにやっていると主張できるのか?会社の主張が全て事実であるというのはまったくありそうもないようだ。裁判所でこの問題は解決され、我々は書面で回答を得るだろう。

人権ヘルシンキ財団の女性たちの法定弁護人がそこにいた。彼は、我々がセクハラについて詳細に書けば裁判結果に影響するかもしれないという懸念を表明した。従って、我々はこの種の情報については書かないことにする。

解雇された女性は孤立した生活を送っている。彼女たちがどんな経験をしたかを知る者は多くない。これは翌日ペプシコ工場から約15キロ離れたゼラドウという小さな町を3名の女性を訪ねた時にわかったことである。

皆が皆のことを何でも知っている

セクハラについて話すのは、恥ずかしい、皆が近所の人のことを何でも知っている小さな村では特にそうだ。工場で、前の同僚のほとんどがこの女性たちに背を向けた。さらに、逮捕された監督員の妻が、彼の濡れ衣をはらそうとキャンペーンを始めた。これがゴシップ新聞、雑誌の見出しを飾った。

公営団地の狭い階段を登ると、そこがエルズビエッタの家である。彼女は4人の子持ちだが、彼女も夫も失業している。彼女の話を聞くために私たちは小さな居間にやっと詰めて座った。彼女は疲れ、苦しんでいるようだった。今は彼女にはつらい時だ。

「食料を買うお金もままならない。ここ何ヶ月も家賃も払っていない」と彼女は語る。

12月29日に強制退職させられた時、工場に勤務してから7年たっていた。再び彼女は何が起こったかを語る。

「あっという間に起きたんです。私が考えられたのは子供たちのことと、生きていくためにどこからお金を得られるかだけでした。」

本当のことではないようです、と彼女は話す。後になって、考える時間ができてから全てはセクハラの会話に関連していると考えるようになった。

アレクサンドラは別の公営団地の数階上の小さなアパートに住んでいる。彼女は片親で12歳の息子がいる。彼女は工場で9年間勤務した日々で病気休暇を取得したのは11日間だけで、それも自分の病気ではなく、息子の病気のためだったと誇らしげに話した。

アレクサンドラは経営側に事務所に呼び出されたとき、異議を唱えようとした。

「数週間前に、勤務態度の良さで表彰されたのです。その後すぐ生産性が低いという理由で解雇されるのは全然おかしいと思いました」と彼女は語る。

「監督員やマネージャーに理由を説明しようとしました。工場で何が起こっているか私が知りすぎたためにこんな目に会うのかと彼らに質問しましたが、彼らは笑っただけでした。」

最後に我々が会ったのは、グラズィナだった。彼女は田舎で遺産として譲りうけた家に夫と二人の子供と共に暮らしている。表面上、他の二人の家と比べたら、牧歌的だ。財政的にも彼女の状況はいくらかましである。ところが他の女性はセクハラを見ただけだが、彼女はこれを経験した。セクハラ語ることは用意ではない、しかし彼女は我々が良く理解できるように話す努力をしてくれた。

彼女は、工場で何が起きているかを他の彼女たちが話し始めたために、また彼女が監督員のセックスの要求を断ったために、解雇されたと確信している。

行動規範とは何?

会社の行動規範について彼女は知らなかった。工場にいる9年間、行動規範について話がされるのを聞いたこともない。会社は全従業員は通達を受けているというが、そうではないようだ。

「今の夢は?」

「仕事を得ること」

しかし、彼女は、裁判で会社に勝ったとしても、工場に戻れるかどうかわからないと言っている。彼女に背を向けた同僚と一緒に働くのは容易ではない。裁判ということになると彼女はかなり憂鬱になっている、そして裁判は数年かかることもありえるのだ。

「会社は神経戦を行っているようで、仕事もお金もない時にこれを最後まで闘うのは大変だ」

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