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Uniting Food, Farm and Hotel Workers World-Wide


シュガーワーカー 2005年6月 砂糖部門ニュース

Posted to the IUF website 05-Jul-2005





IUF砂糖労働者ネットワークのウェブサイトはhttp://www.iufdocuments.org/sugar/
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シュガーワーカー
砂糖部門の労組の情報と分析
VII巻6号
2005年6月

目次

� ブラジル:サトウキビとアルコール部門で近代的奴隷制
� EU:欧州委員会砂糖改革を提案
� ジャマイカ:砂糖価格引下げのEU提案に組合反対
� 米国:議会におけるCAFTA
� メキシコ:WTO、HFCS(高果糖コーンシロップ)税を非合法と裁定
� モーリシャス:新リストラプラン提案される
� 安全衛生
ガイアナ:砂糖労働者が行方不明に
ジャマイカ:マニームスクの火災で5名死亡
� 企業ニュース
タイ:ワン・カンアイ拡張計画
スワジランド:TSB、スワジランド砂糖会社の株式を購入

ブラジル:サトウキビとアルコール部門で近代的奴隷制

6月15日、労働雇用省の特別監察部が1200名の労働者を解放した。労働者らはマト・グロッソのコンフレサ自治区のガメレイラ農場で半奴隷状態で労働していた。報道ではこの介入は全国でも最大規模だということだ。

労働者は、極端に劣悪な条件で発見された。特別部部長は、「彼らは、良い給料と良い住居、食事を与えるとういう偽りの約束に騙された。収穫後には失業保険を与えるとも約束されたが、職場に着くと現実は全く違っていて、結んだ契約は彼らに何の権利も与えないことに気がついた。9月の収穫後に元の場所に戻る交通手段が提供されただけだったので、農場を立ち去ることもできなかった」と語った。ほとんどの労働者は、ペルナンブコ、アラゴアス、マラニャンの各州から出稼ぎに来ていた。

労働者は今もガメレイラ農場に留まり、労働者の権利および彼らを自宅に戻す交通手段について特別部と会社の交渉が終わるのを待っている。ガメレイラ農場は既に3度、特別部から罰金を科せられている。

この最近の行動を合わせて、2005年に半奴隷状態から救助された労働者数は2000名に上る。ILOの推定では、ブラジルで奴隷状態に近い条件の労働者が約25,000名から40,000名存在するということだ。その大部分は農村地帯にいる。10年間の活動で、労働省特別監査部は15,224名の半奴隷状態の労働者を解放したとマト・グロッソ州のパンタナル新聞が報道している。そのうち9000名以上がルーラ政権下で解放された。

EU:欧州委員会砂糖改革を提案

6月22日、欧州農業委員会が砂糖体制改革の新提案を提出し、これはこの部門の市場指向型の競争力を高め、長期の実行可能性を保証し、WTOの多国間交渉におけるEUの立場を強めるだろうと述べた。本提案はまた、競争力に欠ける生産者がこの部門を立ち去ることを奨励し、工場閉鎖の社会的・環境的影響に対処するための援助をし(例、現場を良い環境条件にするための社会計画、手段の財政負担)、そして最も被害が大きい地域の新事業開発の資金を出すことになる。本提案により砂糖体制はEUの共通農業政策(CAP)部門における改革と同じになる。

委員会は、8年間の援助計画がアフリカ、カリブ海、太平洋諸国(ACPs)の伝統的な砂糖生産者の社会、経済、環境イニシアチブを支援するために、また砂糖価格の引き下げの再調整を援助するために設置されると述べた。既に4000万ユーロが2006年のACP援助計画に割り当てられ、また2007-2013年の期間も別に資金が割り当てられる。計画は昨年1月に発表された行動計画に基づきそれぞれの国(ACP)のニーズに合わせられると委員会は述べた。ACPの砂糖生産者は全部で18である。

砂糖改革提案の主な点は以下の通り。

� 2006/7年から2年に渡りEU砂糖価格を39%引き下げ。EU砂糖価格は1トン632ユーロから386ユーロに引き下げ。テンサイ価格は42%引き下げ
� 価格引下げの60%の賠償金が農家に支払われる。金額は環境基準遵守度にリンクする
� 砂糖割当AとBの合併、新体制は2014/15年までに実施される。再検討条項なし(現体制は2006年6月で失効)貿易関係筋によるとEU砂糖生産は2012年までに現在の1900万トンから1200万トンに減少するだろうとのこと。
� 4年間で工場数減少を奨励する任意のリストラ計画(砂糖、イソグルコース、イヌリン工場)工場閉鎖奨励、割当放棄、リストラ過程の社会、環境への影響に対処するために支払いがなされること。この計画における支払いは1年目は1トン当たり730ユーロ、2年目は625ユーロ、3年目は520ユーロ、最終年は420ユーロである。(貿易関係筋によると約60億ユーロが割当の買い戻しのために用意されているということ)

欧州委員会の上級役人によれば、この改革により2万9000名の工場労働者と7500名のテンサイ農家が仕事を失い、約6万の関連雇用も危機にさらされるかもしれないということである。

ジャマイカ:砂糖価格引下げのEU提案に組合反対

6月16日、ブスタマンテ産業労組(BITU)と大学関連労組(UAWU)と全国労組(NWU)のジャマイカ砂糖部門の3組織が英国高等弁務団の前でデモを組織し、役200名の労働者と産業界の代表が参加した。

組合は英国高等弁務官に欧州の砂糖体制改革のジャマイカの立場に関する書簡を手渡し、2006年から始まる2年間の39%の価格切り下げ提案は、産業を持続可能な成長と利益性の道にのせるための援助にはならないと述べた。まず報道機関に漏れ、そして6月22日に正式に発表された欧州委員会の文書に対する組合の意見である。

組合は、欧州委員会が1月に公表した改革の手段に伴う行動計画はEUとACP諸国間で正式に討議、協議されたものではない述べている。最上でも、この討議は散発的に起こったものでしかなかった。改革の影響や行動計画の実行可能性について何ら対話はなかった。カリブ海諸国ではこの件の緊急性とはまったく添わないペースで話が行われた。

自分たちの部門に関して、リストラを成功させるであれば、6年間の移行期間、報酬価格が必要であると組合は言う。エタノール、コジェネレーション、精製などサトウキビの代替使用開発のために寛大な条件のローンが約2億5千万ユーロ必要になるかもしれない。

組合は、もしEUが提案どおりに事を運んだら、ジャマイカ農村地帯への影響は深刻で、農村地帯から都市部に移り住む人々が増加する結果、犯罪と不安がつのるだろうと言っている。また、ジャマイカも英国もこれ以上不安定を生む開発を負担できない、とも述べた。組合は、書簡の最後に、英国政府に対し、最も重要なジャマイカ産業を生存させるためにEUの改革過程を確実に公正なものにしてほしいと要請している。(UAW クリフトン・グラント報告)

米国:議会におけるCAFTA

米国砂糖部門では、中央アメリカ自由貿易協定(CAFTA)の討議が引き続き他をしのぐ問題であると、Dyergramの6月22日号が報告している。各種議会委員会で一連の会議が開催され、貿易協定に関する交渉も同様に行われている。6月14日の上院財政委員会は非拘束の仮投票で11対9でCAFTAに賛成したが、これは米国貿易代表部が委員会に対し、農業長官がCAFTAの影響に関して砂糖産業界と会合を持つと保証した後だった。

農業長官との会合は6月15日に行われ、フロリダ、ミネソタ、ワイオミングの全砂糖生産州から代表が参加した。砂糖産業グループはCAFTAへの反対を抑えるための条件として砂糖からエタノールを生産するプログラムの補助金として1億ドルを提案したと報告される。(本プログラムではCAFTAと他の今後結ばれる貿易協定の下で輸入される砂糖を使用する)また、NAFTAの再開を求めた。特に、NAFTAの移行期が終了し、全面的な自由貿易が行われる2008年にメキシコに米国砂糖市場に無制限のアクセスを与える規定の再開である。

ロイター報道によると、上院農業委員会は6月29日ブッシュ政権と協定に達し、これにより砂糖生産州代表がCAFTAを支援することができるようになる。ブッシュ政権は2007年に期限が切れる現在の農地法案を通じて全砂糖輸入を153万2千米トン(約139万トン)に制限し、CAFTAからの輸入で制限を越える部分は米国農業省がこれを購入し、エタノール生産に使用できるようにすることに合意した。米国上院はCAFTAに関して6月30日に投票を行う。

メキシコ:WTOがHFCS(高果糖コーンシロップ)税を非合法と裁定

WTO陪審団は、メキシコのHFCS(高果糖コーンシロップ)の甘味清涼飲料に課す税は違法であると最初の答申を発表した。陪審団の最終答申は8月に出される予定である。

2002年1月、メキシコは米国コーン甘味料の輸入品(と米国のコーンを使用して国内で生産されたHFCS)との競争から国内の砂糖産業を保護するためにHFCS使用清涼飲料に20%の税金を課した。HFCS税はNAFTA当事者たちの間でいまだに未解決の砂糖・甘味料闘争の一部である。メキシコは当時NAFTAの下でこの資格があると理解したので、砂糖輸出に課される制限に関して苦情を申し立てていた。税が課されてから、清涼飲料製造業者のHFCS消費量が急速に落ちみ、米国からのHFCS輸入はゼロになり、メキシコの砂糖産業は失った市場を回復した。

WTO陪審団の最初の答申は、米国議会がCAFTAおよび、国内産業が既に過剰供給であると見なされる部門へ砂糖のアクセス増やす可能性を討議している時に出たものだ。メキシコがHFCS税を廃止すれば、清涼飲料製造業者はこれをまた使い始め、メキシコの砂糖が余るだろう。そして余りは米国市場に流れ込むかもしれない。

関連して、メキシコ全国砂糖製造業者協会によると、2004/5年メキシコの収穫は新記録となり、6月11日までの半精製の砂糖生産高は575万2千トンに達した。これは昨年同期と比べ15%の増加である。増加した生産はサトウキビ農地の拡張によるものである。

モーリシャス:新リストラ計画、提案される

L�express 5月31日付けの報道によると、5月末の閣僚会議でモーリシャス砂糖機関の要求を受け、国際コンサルタントが策定した砂糖産業の新リストラ計画が採択された。

新しい計画はふたつの線に沿って開発されている。一点目は、中央化、労働者の新任意退職制度、小農のグループ化による生産コスト削減。二点目は、エタノールなどの副産物の開発やコジェネレーション発電所の設置に多額の投資を呼びかけるものだ。

最初に雇用数を減らそうとした2001-2002年の任意退職制度を通じて、約8000名の労働者がこの部門から去った。この数は砂糖労働人口の3分の1である。現在の任意退職制度では一時金と住宅建設用の土地を提供している。提案される第二の任意退職制度は最初のものと同じだが、違いは年齢制限を下げたことである。男性労働者は55歳を50歳に、女性労働者は50歳を45歳に下げられた。

生産を中央化して、工場数を2008年までに11から6に減らす。サトウキビ農地は7万2千ヘクタールから6万5千ヘクタールとなり、砂糖生産が年間57万トンから55万トンになる。6つの工場すべてがコジェネレーション発電所を持ち、2015年までに時間当たり約600Gwの電気を発電する。

安全衛生

ディーセントワーク、ディーセント雇用は労働者に職場の安全、安心を提供するものである。これは労働者の権利である。

ガイアナ:砂糖労働者行方不明に

5月21日に警戒地域で2名の砂糖労働者、サンパーサウド・タラナウスとマイクラム・サウが運河の清掃中に行方不明になった。彼らの持ち物で見つかったのは自転車と弁当だけだった。2週間以上に渡り、家族、親戚、友人、同僚、会社従業員、警官、軍人が捜索したが、二人の行方は依然として不明である。人々は二人が首都ジョージタウンの近郊バクストン、友好地域、警戒地域を自由に徘徊する犯罪者の犠牲になったものと見ている。

この話はこの国の砂糖労働者や砂糖産業に重要なつながりがある。まず、サトウキビ栽培地域の労働者の生活不安とリスクそして貧困が増加していることは、職場を安全な場所にするためには直接マイナスの影響になる。この場合、公的機関(すなわち警察)が使用者、ガイアナ・シュガー・コーポレーションと労働者の基本的な安全確保に同等の責任を持つことは明らかである。二点目に、危険が増しているために、まったく正当なことだが、労働者は危険地域での農作業を拒否する。エンモア砂糖農場とラ・ボン・インテンション砂糖農場では、労働者の労働拒否により年の後半に行われる第2次収穫の生産高に影響を及ぼした。職場での安全性が生産高と生産性に影響を与える主要な要素だということの明確な証拠はこれ以上ないが、読者には、労働者が作業中に強盗にあったり、乱暴されたり、殺されたりするかもしれないと思っている時にどれだけ仕事に集中できるかを想像してほしい。

6月2-3日、IUF加盟のガイアナ農業一般労組は、行方不明になった二人の組合員のために2日間の抗議ストライキを呼びかけた。本労組はまた、犯罪者の隠れ家となっているガイアナ砂糖コーポレーションのサトウキビ畑の周りの林を切り払うように要請した。

このニュースは、ガイアナ砂糖コーポレーションが2004年の収穫で32万5千317トン生産し、28億ガイアナドル(1400万米ドル)の利益をあげたという報告と同時期に出た。同社のCEOマイケル・ボーストは、「2004年は単に良い年というのではなく、会社の歴史上2番目に良い年になった」と述べた。しかし会社は労災のために相当な収入を失ったと付け加えた。「労働災害は生産コストより悪く、我々は最も不健康な労働者を抱えているようだ。これについては何かしなければならない」とボーストは現地報道機関に語った。

ジャマイカ:マネームスクの火災で5名死亡

6月5日、5名のインド国籍の者が、マネームスク砂糖農園の自宅で漏電のための火災で死亡した。このうち3名はインド、デリーのダンプール砂糖会社のコンサルタントで、マネームスク農園とフロム農園で働いていた。残りの2名は技術者の妻と子供だった。現地の新聞によると、犯罪防止のために扉と窓に鍵がかけられていたために近所の人たちは被害者を救助できなかったということである。

マネームスクの死亡事故を入れると、ジャマイカでは2005年3月から6月までに砂糖産業で8名が死亡している。最初は、ロングポンド工場の機械工で3月10日にサトウキビ刈り取り用ナイフが爆発して、飛び散る金属片が突き刺さった。4月21日には、アップルトン工場で労働者がサイロ清掃中、30トンの砂糖の下敷きになった。また5月29日にマニームスク工場で警備員が胸と顔に弾丸を受けて死亡しているのが発見された。

ジャマイカ、キングストンで5月16-18日にBITUとUAWUが開催したジャマイカ砂糖・バナナ部門の安全衛生とジェンダー問題のIUF会議で、2つの決議が採択された。ひとつは政府に対し、2名の砂糖労働者(3月31日のロングポンドと4月21日のアップルトン)の死亡事故を調査し、この状況を是正する策を練ること。ふたつ目は政府に職場の安全衛生に関する全国規制を緊急に通過させることと、農業における安全衛生に関するILO条約184号の批准要請であった。会議にはジャマイカの全砂糖農園および2つの主要なバナナ農園の労働者を代表する30名の代議員が出席した。

企業ニュース

タイ:ワン・カンアイ拡張計画


タイ砂糖複合企業、ワン・カンアイは、約178億タイバーツ(4億3340万ドル)のマイナスのポートフォリオのリストラに成功した後、生産拡大のためにパートナーを探すと述べた。ワン・カンアイグループは、付加価値製品に焦点を絞り、自社ブランドを作り、原料にバガスを使用するエタノール工場や紙工場に投資する計画であると語った。

ワン・カンアイには3つの主要事業ラインがある。まず、タイとラゴスにおける砂糖生産事業、ふたつ目は、砂糖貿易、倉庫、肥料、紙などの砂糖に関連する事業、そして最後が運送、建設、椰子油である。

グループの総収入の80%が砂糖販売の売り上げであると報告される。ワン・カンアイはタイの4つの工場で年間40万トン、ラオスの2工場で6万3千トンの生産能力がある。タイの現在の旱魃で、ワン・カンアイは推定生産高を約10%減少させた。従ってタイの生産は先に上げた480万トンから430万トンに落ちる見込みである。

スワジランド:TSBがスワジランド・シュガーコーポレーションの株式を購入

南アフリカ・トランスヴァル・スイカー・べパーク・インターナショナル(TSB)はロイヤル・スワジランド・シュガーコーポレーション(RSSC)の26%の株式を購入しようとしている。RSSCはスワジランドで最大の砂糖製造業者である。2001年にムルム砂糖会社と合併してからは、スワジランドで生産される50万トン超の砂糖の約3分の2が同社製である。RSSCは2万ヘクタールの農園を持ち、2つの工場に約200万トンのサトウキビを搬入し、一年間に約37万トンの砂糖を生産している。同グループは12万トンの精製所と1300万リットルの蒸留酒製造所を持つ。2003年にTSBはアンゴラの砂糖部門の投資に関心があると報告されていたが、昨年ロバーツ&マリーから多国籍企業ブッカー・テートを買収した。