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IUF
Uniting Food, Farm and Hotel Workers World-Wide


ラッフルズ論駁、組合つぶしの分析

Posted to the IUF website 13-Jul-2004





ラッフルズ・シンガポールと同社カンボジアのマネジャー、ステファン・グナギは、カンボジアにおける同社の組合つぶしに関して国際的な批判の高まりをかわすために防御用の宣伝活動を行っている。通常は組合権擁護に関して戦闘的行動を唱道しないアメリカ本拠の国際共和協会でさえも、カンボジアのラッフルズホテルの国際的ボイコットを呼びかけた。これは明らかにラッフルズにとって頭の痛い問題である。6月21日、ラッフルズ・プノン・ペン・ル・ロワイヤル・ホテルの外で行われた組合の記者会見に同協会のカンボジア局長ジャクソンコックスが参加した。『私は、ホテル・ル・ロワイヤルのボイコットを継続することを国際社会に奨励するためにここに参加している。この件における善悪はもちろんはっきりしている。正しいのはあなたたちで、悪いのはラッフルズだ』とコックスは労働者に語った。

グナギのコメントを求めて、地元報道関係が電話で彼に伝言を残したが、グナギは電話で返事をして来なかった。彼はIUFのホームページを通じて送られた多くのEメールのメッセージに対する詳細な回答を作成するために時間を割いていた。(あるいはおそらくこのために誰かを雇ったことだろう。)

申し立て:ホテルはサービス・チャージ徴収を復活させ、これを従業員に全額、現金で分配する法律上の義務を持つと組合は示唆してる。

事実: カンボジアの労働法は、サービスチャージを強制するものでないし、分配について特定するものでもない。サービス・チャージの徴収と分配に関する労働法が不明瞭なため、ラッフルズホテル・ル・ロワイヤルとラッフルズ・グランドホテル・ダンコールはカンボジアの国際的なホテルとともに、それ以来サービスチャージ徴収を停止したが、ホテルの全スタッフに固定手当ての支払いを続けている。


実際の法律

カンボジア労働法の134条と135条がチップの徴収、分配、管理に関して規定している。

134条規定:チップは、ホテル、レストラン、カフェ、バー、美容室など特定施設の職員に顧客が支払う報酬であり、サービスチャージの項目で顧客宛請求書に付加される規定歩合として経営者が受領するものである。これらのチップは経営者が徴収し、顧客に接する職員に全額これを分配しなければならない。

135条規定:経営者は、前条項により網羅されるチップ額の職員への支払いと受領を明確に証明しなければならない。

IUFもカンボジア観光サービス労連も法律がサービス・チャージを強制するものだとは主張していない。我々は単にサービス・チャージが徴収される場所では、要求事項は非常に明確であると言っているだけである。カンボジア観光サービス労連は、ラッフルズのふたつのホテルを含め、カンボジアの5つ星ホテルが労働者に未払いにしているサービス・チャージの額は、過去3年間のみで300万ドルに達すると推定している。

カンボジアの仲裁委員会は、繰り返し、サービス・チャージは従業員に毎月全額分配されなければならないと裁定を下した(ラッフルズと他のホテル)。2004年1月27日、仲裁委員会はラッフルズに対し、最低賃金を月50米ドルに引き上げ、毎月サービス・チャージの全額を分配するようにラッフルズに命じた。2月1日にサービス・チャージ徴収が打ち切られた。これには明らかに悪意が感じられる。

どれだけの金額の話しなのか?もしラッフルズが仲裁委員会の決定を拒否し続けるのであれば、我々には、知る可能性がないかもしれない。徴収額の勘定は、我々に知らされていない。これが最初に争議が起こった原因であった。

ラッフルズ・チェーンに属さないプノンペンの5つ星ホテル、ホテルカンボジアナでサービス・チャージの徴収と分配に関して何が起こったかを以下に記す。

カンボジア仲裁委員会は、2003年8月に使用者側が譲歩しないために団体交渉過程は失敗したと判断し、使用者に徴収額を全従業員に明確で透明な方法で全額分配するように指示した。これ以前、各労働者は一月平均30から40米ドルの金額を報奨金として受け取っていた。サービス・チャージの全額分配によって、この金額が2003年11月には160ドル、12月には120ドル、2004年1月には97ドルに跳ね上がった。この時点で、カンボジアナは、サービス・チャージ徴収の打ち切りを決めた。

ラッフルズ、カンボジアナ、他の5つ星ホテルが3月に仲裁委員会の決定を再び拒絶し、サービス・チャージの復活を打ち切ることを決めた時、団体交渉の過程が否定された。組合は他に方法がなく、4月5−12日にラッフルズと他の5つ星のホテルでストライキを行った。

この争議に関連するラッフルズ以外のホテルは、漸次、交渉の道に戻ることを決めた。しかし、ラッフルズはそうしなかった。この時点ではサービス・チャージに関する争議であったものが、基本的権利の問題に発展した。

ラッフルズは組合を弱体化しようとするだけではない。カンボジアの法律に基づき、このような案件を取り扱う権限を持つ唯一の透明で独立した全国機関の権威を攻撃し、傷つけている。サービス・チャージに関する委員会の決定を実施しないことで、ラッフルズは団体交渉の基本的な原則に反して、一方的に同社従業員に相当な収入減を強いている。

グナギの二点目の論点について見てみよう。

申し立て:国際組合連合(IUF)(原文のまま)は、『ラッフルズは法律に従わねばならない』の見出しの郵便物の中で、同社がカンボジア人を搾取していると非難している。グナギは、このホテルの高い賃金と手当てについて説明している。

IUFが言っていること

IUFホームページに掲載された文書に搾取という言葉はみつからない。

カンボジアのラッフルズで働くことを描写するために適当な形容詞を探そうとする読者は、従業員に分配されているものと信じている顧客から多額の金が徴収されているにもかかわらず、実際これが分配されない時、5つ星ホテルにおける雇用をどのように一番良く言い表すか考えてみることができるだろう。最低賃金を一月50米ドルに引き上げるようにという仲裁委員会の命令を思い起こすことができる。ラッフルズ・グランドホテル人事部長が作成した2003年12月の支払い明細を見ると、2名の労働者が30日間の契約で、川の清掃をするために1日1ドルの支払いを受けたことが記載されている。この支払い明細には、19名の労働者が、庭仕事、ボーイ、洗濯、客室、調理などの仕事で1日1.67ドル、2名の労働者は1日2ドル支払いがされていることが書かれている。労働者が法律の実施のためにストライキを起こさねばならず、組合に加入し、平和な争議行為に加担したために解雇され、ホテルの人事部長が組合事務所を荒らし、この組合をラッフルズ従業員を代表する労働組合であると証明する政府の証書を引き裂いた、そういった状況を表現する形容詞を読者は捜すことができるだろう。もし、まだ適当な表現が見つからないのであれば、国の年間一人当たりGDPが、豪華なラッフルズのスイート一晩の値段にほぼ相当するそんな国でこういう事態が起こっていることを考えてみることができるだろう。

搾取について話す必要はない。事実が自ら語っている。

グナギはラッフルズ従業員が受ける広範囲の訓練についても説明している。事実は、全てのホテルは、特にカンボジアのラッフルズのような高級ホテルは、良く訓練されたスタッフが必要である。そうでなければ現行の値段を顧客に請求することはできない。他より良く訓練をしているホテルもある。グナギ氏は、何百名もの経験豊富なラッフルズ労働者を解雇したので、今や多くの訓練をおこなわなければならない。

グナギは、法律遵守に関する自己記録を以下のように語っている。

弊社は、常にカンボジアの法律を遵守し、登記会社として、またカンボジアのホテル産業における最も卓越した外国投資家としての権利を実行するために堅実に経営している。仲裁委員会の争議当事者は、拘束または非拘束の仲裁手続きを選ぶことができる。我々は非拘束の手続きを選んだ。そのために裁定に異議を唱え、この案件をプノンペン(ラッフルズホテル・ル・ロワイヤル)とシェムリップ(ラッフルズ・グランドホテル・ダンコール)の都市裁判所に移管する権利を有する。

ラッフルズ、法律と仲裁委員会の決定

仲裁委員会は、こういった案件に関するカンボジアの法律実施を補助するため、また労働法の解釈から起こる争いを取り扱うために2003年5月に設立された非常に評判の高い三者構成機関である。社会・労働・職業訓練・青年社会復帰大臣は、『仲裁委員会は、争議が拡大激化し、経済と社会調和にダメージを与える前に、最も深刻な労働争議、団体争議の解決を援助するための、カンボジアにとって重要な機関である』と発言している。このような権限を与えられた唯一の全国機関で、その透明性の度合いは、カンボジア司法制度の悪名高い不透明さとは格段の差がある。6月30日付けのヒュマン・ライツ・ウオッチの組合指導者Chea・Vichea殺害調査に関するプレスリリースによると、カンボジアの司法制度は国連および多くの国連加盟国から、独立性に欠け、能力が低く、汚職があるという事で広く批判されている。

当事者が非拘束の仲裁を選べるというのは事実である。経営者はこの抜け道を利用して、決定を堕落したカンボジア裁判所に投げて返す。これは、仲裁委員会の決定の有効性を否定するものではない。仲裁委員会は実際のところ都市裁判所より高いレベルで構成されている。実施させるための法律が弱いという事実は、合法な当局を拒否する言い訳にはならない。

ラッフルズは、結果に不満足だという以外に仲裁委員会の決定を繰り返し拒否する理由の合法的な議論を提出していない。ラッフルズには仲裁委員会退席の歴史がある。仲裁委員会がサービス・チャージに関して労働者側に有利な判決をすると、ラッフルズはもっと自分たちの言いなりになる裁判所を求めたのだ。

ラッフルズが言うところのカンボジアのホテル産業における最も卓越した外国投資家としての権利というのは、帝国特権の主張に根ざしたものである。ラッフルズは、労働争議裁定のため設置された国内唯一の独立機関を害する権利を国内の投資家同様に持っていない。

ラッフルズはまた、国際法を無視しているということも否定している。仲裁委員会は、6月8日に何百名もの組合員を解雇し、大量解雇後、御用組合を結成したことでラッフルズは違法行為をしたと判決を出した。以下が仲裁委員会がこの判決文に書いていることである。

「こういった戦略を取ることで、カンボジア王国憲法・法律、カンボジアが批准したILO条約、結社の自由と組織権保護条約(87条)と組織権と団体交渉権(98条)により規定される結社の自由の権利と団体交渉の権利のはなはだしい侵害を経営者側が示した。」

ILO条約は国際協定としての効力を有するものであり、これは加盟国に対し拘束力を持つ。無法な会社を抑制する国際的に拘束力のある法律がないという事実は、国際的規範が確立されていないことを意味するのではない。もし、仲裁委員会が非合法な団体と呼ぶラッフルズの御用組合の法律登録が許されるのであれば、カンボジア政府はILO結社の自由委員会へ申し立てされるだろう。大量解雇、組合つぶし、御用組合主義を法律的に認可することは、政府側の国際条約の侵害であり、会社側の国際規範の侵害である。

さらに、この案件が都市裁判所(仲裁委員会との関係を我々は既に見てきたが)に移管されたと示唆するのは一番良く言っても誤解を生じるものである。ラッフルズは、都市裁判所に一方的な職場復帰臨時命令の申請を行った。これは通告なしに、司法の再検討の機会なしに出された。両当事者が尋問されなければならない司法の基本原則に違反している。会社が仲裁委員会の合法な決定を繰り返し無視した後で、裁判所ではなく、判事が職場復帰命令を出した。さらに、この命令は、撤回されるか、あるいは確認される前に両方の当事者が尋問されなければならない。この尋問の日程はまだ決まっていない。


ラッフルズの「事実」はもうこれ以上ない。

当局は2003年12月と2004年4月の一件のストライキを違法と宣言した。この裁定の結果、プノンペンのシェムリップの裁判所は、ストライキを起こした従業員に48時間以内に職場に戻るよう命じた。48時間以内に職場に戻らなかった労働者は、重大な職務上の違法行為を犯したとみなされ、会社はこの雇用を終了させる権利を有する。

実際に起きたこと

判事が職場復帰を命じたとき(これは法律的に労働者が仕事に戻る権利を与えるもの)ル・ロワイヤル組合の会長は、4月11日に全労働者を集め職場に戻るよう話した。ラッフルズの警備員がこれをさせなかった。4月12日全労働者はホテルに戻ったが、職場に戻ることを阻止された。ラッフルズはこのように、カンボジア仲裁委員会の「2004年4月5−12日のストライキ参加に関して、従業員に対していかなる措置を取ることも禁ずる」という仮命令に露骨に侵害した。争議の起こった他のホテルは、ストライキ労働者を職場に戻し、サービス・チャージおよび関連案件の仲裁に合意した。しかし、ラッフルズはそうしなかった。

ストライキ後の組合員の報復的解雇に関する仲裁委員会の決定は、以下である。

「仲裁委員会は、労働者が実際に2004年4月11、12、13日に職場に戻ろうとしたが、経営者が準備した名簿の署名に合意しなかったことを発見した。仲裁委員会は、労働者が名簿に署名し、今後ストライキには参加しない旨の誓約を求められたことは正当でないと判断する。労働者は、憲法と労働法(1997)に裏付けされ合法にストライキを行う権利を有する。これを基に、仲裁委員会は、労働法337条により、裁判所の決定の48時間以内に職場に戻らない正当な理由が労働者側にあったと判断する。」

「これらの理由から、ホテルラッフルズ・ル・ロワイヤルの97名の労働者は、使用者が非難し、解雇の理由として使用する労働法337条の意味する重大な職務上の違法行為を犯してはいない。」

シェムリップのラッフルズ・グランド・ホテルで48時間以内に職場に戻ろうとした労働者もまた、これを許可するように一般の人々からの要請があったにもかかわらず、これを阻止されている。仲裁委員会は今この案件の判決を準備している。

簡単に言うと、ラッフルズは、労働者が職場に戻ることを拒否し、そして彼らが職場に現れなかったという理由で解雇した。

最後に、ラッフルズは、IUFが(そしてこの状況を見守るラッフルズ以外の者が)非難するように、「自分たちで選んだ労働者代表委員会を設置し、違法な労働協約を署名して」いないと反駁している。ラッフルズによると新組織の選挙は、法律に基づき行われ、新『労働協約』は『交渉され、調印された』としている。

以下は6月8日に中佐委員会がラッフルズ・ル・ロワイヤルの状況について言及していることである。委員会は三者構成で使用者代表も含むものである。

「組合指導者全員をはじめとする97名の組合員の不当解雇後2週間以内に、ホテル・ラッフルズ・ル・ロワイヤルは、違法な労働代議員選挙を組織し、このグループと労働協約を結んだ。一連の行動はホテル・ル・ロワイヤルのオーナーと経営者の側に団体交渉過程で労働者を代表する唯一の権利を有していた組合を置き換えようという明らかな意図があることを露呈している。この戦略を取る上で、使用者側は、結社の自由の権利と団体交渉件のはなはだしい侵害を示した。」そしてまた、

「使用者側は適正な手続きを取らずに、違法に選ばれた労働者代表と協約を結んだ。」

この争議における事実が自ら語っている。グナギの試みは、どう前向きにとっても『画策』であり、ラッフルズ・ホテル&リゾートの支配人マークランド・ブレイクロックの国際ビジネス報道機関への争議は『解決し』、ホテルは御用組合とまやかしの『協約』を結んだという声明から切り取られたものである。

世界中の組合は、解雇された労働者が職場復帰し、正当性のない組織とまやかしの『協約』を破棄し、カンボジア観光サービス労連と真正な交渉の過程を始めるようにラッフルズに圧力をかけ続ける。ラッフルズの広報活動は、だれも納得させられないし、ラッフルズをこの争議の『解決』に近づけるものではない。カンボジア観光サービス労連はその権利のために闘い、世界の組合はこれが続く限り彼らを国際的に支援する。