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2004年度第5回運営委員会議事録(2004/05/12)

14-May-2004





2004年度第5回運営委員会報告
味の素労働組合会議室で行われた標記委員会の報告を下記の通り致します。
(日 時)2004年5月12日(水) 15:00−18:40
     (第1部:15:00〜16:15、第2部:16:30〜18:40)
(出席者)増渕、藤江、中野(フード連合)、内田(全国農団労)見里、高田(JCC事務局)
合計6名(敬称略)

<第1部>
報告事項
1. 海外労働学校準備状況
最終的な日程が確定した。団長は団で最年長のフード連合キリンビール労組神戸工場支部委員長の赤木氏にお願いした。
5月10日に準備会を開催し、主催者代表として菅井副議長にご挨拶を頂いた後、国際運輸労連(ITF)アジア太平洋地域部長の和田氏にイギリスの労働運動について講義をしていただいた。準備会の欠席者は1名のみであった。

2. IUF三役会・執行委員会報告
 IUF三役会が4月27日、執行委員会が4月28−29日にジュネーブで開催され、増渕JCC議長、菅井JCC副議長の他、フード連合全タバコ労組から谷田部本部中執、サービス連合帝国ホテル労組から西山中央監査が出席した。JCC事務局は村上コンサルタントと見里が出席した。
 今回の執行委員会のテーマは「WTOと貿易」であり、同テーマでパネルディスカッションが行われた。パネラーはウガンダ政府WTO代表部のイルンバ大使と、IUFコンサルタントのジェラルド・グリーンフィールド氏が担当した。主に農業の貿易について論議が進められた。
 IUFへの新規加盟は23カ国35組織の申請が承認された。決議は、JCCが提起したBSEと鳥インフルエンザに関する2つの決議が採択された。

3. 農業部会(AWTG)およびAWTG+女性委員会合同会議報告
表記会議が4月26日開催され、JCCより見里が出席した。会議では、農業のディーセント・ワークに関するシンポジウムの報告、インドお茶農園ミッション報告、移民労働者に関するパネルディスカッションが行われた。特に、移民労働者に関しては、今年6月のILO総会で一般討議が始まるので、IUFとしての立場を明確にするための論議が行われ、女性委員会とAWTGの協同決議を採択した。次回委員会は、お茶農園の状況視察も兼ねてインドで実施する。

4. パキスタン・アウトリーチ・プロジェクト/タイ・アウトリーチ・プロジェクト関連会議報告
 4月第2週にカラチでパキスタン・アウトリーチ・プロジェクト関連会議が、バンコクでタイ・アウトリーチ・プロジェクト関連会議が開催され、マ・ウェイ・ピン地域書記とともに見里が出席した。
 パキスタンではホテル労働組合連合の結成会議が開催され、タイでは食品労働組合連合の結成大会が開催された。どちらもプロジェクトの成果が形になって現れてきたものであり、これらの組織の今後の成長と、IUFへの加盟が期待されている。また、カラチではプロジェクト主催の第3回全国食品関連労組会議が開催され、食品関連産業の労働組合の活動報告や、今後の抱負が語られた。この中でも、産別組織の結成に向けた取組や、IUF加盟の希望などが聞かれ、1999年に開催された第2回会議から、パキスタン・アウトリーチ・プロジェクトは着実に進展していることが感じられた。

5. 争議支援・連帯活動
以下の争議に対する支援要請があり、抗議文・連帯文の送付や情報提供などの支援活動を行った。
● 4月5日にも抗議文を送付したカンボジアのホテルのサービス料をめぐるストライキで、2つのホテルにおいてストライキに参加した労働者を一方的解雇してしまった。解雇された労働者の即時復職と仲裁委員会の下での誠意を持った交渉の再開を経営者に求める要請文を5月6日付で送った。(CTSWF)
● イランにおけるメーデーでの平和的デモに参加した労働者が、政府の治安部隊に不当に逮捕されたことに抗議し、即時釈放を求める要請文をハタミ大統領宛てに5月10日付で送った。

6. 各組織報告
● フード連合:
a) 5月19~21日ドイツで開催されるグローバル砂糖会議に5名が出席する。ドイツの製糖工場見学も別途企画しており、17日に出発し26日に帰国する。
b) 5月10日からイタリアへの視察団を派遣している。17日にはジュネーブのIUF本部を訪問する予定となっている。派遣団は20日に帰国する。
c) 韓国の全国化学が交流協定の下来日している。今回は、北海道を訪問している。
d) 5月31日より、全タバコ労組との交流協定の下、韓国タバコ人参労働組合が来日し、フード連合本部やIUF-JCCとの懇談を予定している。

7. 今後の予定
● A/P地域会計監査:2004年5月13日、JCC事務所にて
● 海外労働学校:2004年5月19−30日、ジュネーブ、イーストボーン、ロンドン
● JCC三役会・第6回運営委員会:2004年7月16日、味の素労働組合会議室


協議事項
1. A/P地域活動基金に関して
A/P地域書記より、パキスタンのパールコンチネンタル・ホテルの労働争議支援に地域活動基金を1000USドル使用したいとの提案があり審議し、提案を了承する事を決定した。
但し、地域活動基金を使用して支援活動を行うときは、具体的な使途、金額の決め方、同一案件で繰り返し拠出する際の頻度、などの基準を明確化すること、また実際に使用したときのレビューを行うよう提言した。特に今回のパールコンチネンタルのケースでは、3回目の拠出であり、拠出金の効果を評価する意味でも、レビューするよう求めることとした。

2. その他
● 2005年度の年間スケジュール(案)の確認を行った。拡大運営委員会は10月4日(月)に開催する。
● 次回地域委員会の会場の変更(インドのムンバイからマレーシアのランカウイ島)提案を了解することを確認した。議題を早めに提示するよう要請することも同時に確認した。


第2部
アジア太平洋地域の最近の情勢とIUFの取組:マ・ウェイ・ピン地域書記
<地域書記からの報告>
Ø 現在進行中の3つの主要争議
@ パールコンチネンタル・ホテル・カラチ:会社による組合つぶし行為が1年以上続いている。41名の組合員(役員全員含む)が解雇され、裁判闘争に入っている。現在、パキスタン国内の組合から強力な支援を受けており、組合のリーダーも尊重されている。パキスタンで最初のホテル産別組織が誕生したばかりだが、これは極めて重要な進展であり、この生まれたばかりの産別組織を育てるためにも地域活動基金からの支援金を拠出したい。
A カンボジア観光サービス労働組合連合:カンボジアのホテルは、サービス料の徴収および従業員への配分を一方的にストップしたことにより、葬儀が始まった。サービス量の徴収を再開し、徴収金額の100%を従業員に配分するべきとした仲裁委員会の裁定にも拘わらず、経営者が従っていない。3〜4のホテルは妥協したが、2つのラッフルズ・ホテル(シュムリアップ、プノンペン)は強硬に反対している。残りのホテルは妥協と強硬の間の立場をとっている。アメリカのナショナルセンターAFL-CIOも、現地のソリダリティー・センター・プノンペン事務所を通じて支援している。マ・ウェイ・ピン地域書記は東京滞在の後、プノンペン訪問する予定となっている。
B ニッコー・ホテル・ジャカルタ:労使協議を数ヶ月間続けているが、常勤600人従業員、パートタイマー100人の内、200人の削減を盛り込んだダウンサイジングが提案されている。2002年に民営化された旧国営ホテルであり、株式の所有は、シンガポールに上場しているインドネシア企業が76%、三井グループが21.6%、JAL ホテルが2.6%となっている。民営化のときの契約書に、3年間はリストラを行わないとの条項あり、契約違反である。人材省や仲裁委員会にも話がまわっている。先週解雇者リストが回覧され、1年間の勤続に対し1か月分の退職金(法律は2ヶ月)が提案されている。組合は契約の遵守を求める事が優先課題ではあるが、条件交渉も視野に入れている。また、指名解雇ではなく希望退職にすることも交渉事項とする。211人の労働者(組合財務担当、5人の委員会メンバー含む)リストが昨日出た。SWATチームがホテル内に展開し、IUFコーディネーターのヘマサリが現地で衝突を避けるよう、労働者を引かせた。

Ø 組織化活動
@ パキスタン全国ホテル労働組合連合が4月に結成された。
A パキスタン全国砂糖労働組合連合は昨年5月に結成された。結成直後、書記長組合に問題が発生し、書記長が連合のための活動ができなくなってしまったので、新しい書記長の選出を4月に行った。また、今後の活動について決めた
B パキスタン全国食品飲料組合が産別組織結成を決めた。今後詳細を詰めていく。
C タイ食品労働組合連合が4労組で結成され、4月に結成大会を行った。現在登録の手続きを行っている。更に3労組が加盟手続き中である。タイは世界のキッチンと呼ばれており、鶏肉や水産物(海老、ツナなど)の輸出主要国であるが、組合活動は困難な場所である。約50万人が食品関連産業に従事しており、40−60組合が存在している。先ずは小さなスタートである。

Ø 地域活動基金
地域活動基金は、JCCの継続的支援のおかげで40万AU$(3千万円程度)程の基金になった。先ほど報告した、生まれたばかりの組織は支援を期待しているが、基金の使い方には慎重にすべき。財政支援依存症では本当の組織強化とならない。
インドネシアFSPMは財政支援無くやってきた。一方で、プーケット・ホテル連合には1名のスタッフ人件費(事務)3千AU$/年を支援している。活動費とは切り分けできているので、うまく機能している。
どちらにしても、地域委員会で慎重な議論を行って、支援を決めている。

Ø その他
● 韓国からネスレ労組が加盟し、更に食品産別が年内に加盟することが期待されている。言語がこれら加盟組織にとってハンデとなっているが、語学のできる連絡担当者(パートタイム)を採用する予定である。
● 今年の地域委員会は、メンバーに関して多くの変更がある(増渕、藤江、グレッグ・ソードの退任)。
● 農業部門では、インドのお茶農園危機に代表されるように、社会的経済的に多くの争議・問題がある。グローバリゼーションの負の面がこうした問題に影響を及ぼしている。グローバリゼーションの進展は移動の容易性などの有利な点もある反面、困難な度合いを深めている。

<オープン・ディスカッション>
(藤江)地域活動基金の使用に関しては透明性・公正性を持たせるために、理由、金額、頻度などの基準が必要ではないか。また、既に使用されたものに関しても、何に使われたのか報告を求めるべきと考える。
(地域書記):パールコンチネンタル・ホテルの場合は、解雇者の生活補填や、裁判闘争費用として使われている。
(藤江)組織の発展を助けるものならどんどん出すべきだが、依存症を避けるためのチェックが必要である。ルールと会計プロセスを明確化して、透明性を確保するよう求める。

(藤江)今回予定されているような地域委員会メンバーが任期途中で交代する時や、地域議長および地域書記の選任は、規則を明確化するべきである。
(地域書記)規則で固定すると色々な状況に対応できなくなることも考えられる。協議と過去の慣行から対応したほうが良い。
(藤江)相談は関係者全員にしないと透明性が損なわれるので、全地域委員会メンバー(8名)に相談をすべき。規則を文面化しなくとも、少なくとも論議をしてコンセンサスを作り、再確認する必要がある。
(地域書記)議長、地域書記、任期途中の役員交代時は、日本とオーストラリアとの役割分担制が過去うまく機能してきたと理解している。次回の地域委員会で議論することに合意するが、地域委員会で直接議論する方法と、先ず日本とオーストラリアでインフォーマルに会合を行う方法があるので検討する。

(内田)ニッコー・ホテル・ジャカルタの背景は何か。また、何故指名解雇のような強硬手段を用いているのか。
(地域書記)背景は民営化に伴う効率化であり、そのこと自体は民営化時に良く見られるものである。しかし、やり方が手荒で急速である。指名解雇のやり方は、全く論理だっていないが、組合役員6名が解雇者リストにあることから、組合の弱体化も一つの目的のように感じる。
(見里)日本企業が関わっているので、正確な事実関係や、2002年の契約の文面を知らせて欲しい。それを見てから、日本としてできる事を検討する。

(見里)農業分野に関しては、日本の加盟組織は稲作への関心が高い。全国農団労は、シード・バンクやコメの共同備蓄などを提唱しており、稲作文化を共有するアジアの農業組合と論議する機会を作って欲しい。ジェラルド・グリーンフィールド氏の話では、タイでこうした活動をしているとの話もある。
(地域書記)稲作農家の多くは小規模な自営農家であり、組合の組織化が進んでいない状況にある。しかし、インド、タイ、インドネシアなどの小地域コーディネーターに確認を取るとともに、グリーンフィールド氏と相談して検討する。

以上