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2004年度第2回JCC運営委員会議事録(2003/12/15)

16-Dec-2003








2004年度第2回運営委員会報告
味の素労働組合会議室で行われた標記委員会の報告を下記の通り致します。
(日 時)2003年12月15日(月) 14:15−18:10
     (第1部:14:15〜15:20、第2部:15:40〜18:10)
(出席者)増渕、藤江、小倉、長島、中村(フード連合)、大出、成田(UIゼンセン同盟)、
岡田、小川(全国農団労)、秋山、伊勢(サービス連合)、
見里、高田(JCC事務局)、合計13名(敬称略)
(小倉氏は第1部のみ、中村氏は第2部のみ)

<第1部>
報告事項
1. IUF-A/P女性委員会報告
 表記会議が11月12日インドネシアのジョグジャカルタにて開催され、中野JCC特別運営委員(UIゼンセン同盟国際局副部長)が出席した。会議は東南アジア代表および南アジア代表が欠席したため会議の内容は非公式とし、会議からの提案が欠席者の承認を得られてから、公式の決定することとなった。会議の主な議題は、@IUF-A/P女性アンケート・フォローアップ、A今後の活動計画、B多国籍企業に関する活動などであった。1項目目のアンケートに関しては未提出組織に再度提出の催促をすることが確認された。日本の加盟組織は、すべてアンケートを提出している。今後の活動では小地域毎に母性保護に関するワークショップを実施することとなった。北東アジア(日本、韓国、香港、モンゴル)は2004年前半に予定している。JCCからの参加動員をかける必要がある。また、ワークショップ運営に対する支援が必要かA/P書記局に確認する。
 女性委員会にあわせて、11月13日にはインドネシアのホテル労組FSPMが参加したセクシャル・ハラスメントに関するセミナーが開催され、女性委員会メンバーとFSPMから約30名が出席した。

2. 連合多国籍企業委員会2国間セミナー
 表記セミナーが12月1-3日クアラルンプール(マレーシア)で、連合とマレーシア労働組合会議(MTUC)の共催で行われ、日本からは12名、マレーシアからはMTUC約15名、政府(人材省)3名、使用者(松下エアコン)5名が出席した。会議では、両国の労働事情や労働組合の状況、マレーシアの経済と海外投資政策の紹介がなされた後、日系企業を中心とした労働問題の課題について意見交換がなされた。セミナーとして、信頼をベースとした労使関係の構築、国内・国際法の遵守、連合とMTUCの協力強化などを謳った共同宣言を採択した。
 12月4日には、マレーシアで創業する日系企業の松下エアコン社と日立コンシューマー・プロダクツ社の2社を訪問し、日本人経営者との意見交換と工場見学を行った。

3. 争議支援・連帯活動
以下の争議に対する支援要請があり、抗議文・連帯文の送付や情報提供などの支援活動を行った。
●社会保障や年金の大幅カットに抗議するため、大々的なボイコットを組織したイスラエルのナショナルセンターHistadrutの議長とその家族が脅迫され、暗殺の可能性が発生しており、彼らを保護するようイスラエル政府に要請した。(Histadrut)
●ブルッセル、ヒルトンホテルのアシスタントマネージャーが12年間勤務してきたにもかかわらず、明確な理由もなく突然解雇通知が書留で送られてきたことに対し、組合役員に対する差別的行為の不当労働行為であるとして、ホテル経営者に抗議文を送付した。(FGTB)
●ジンバブエにおける経済の悪化や社会システムの崩壊に抗議するデモに対し、組合役員を含めたリーダーが不当に逮捕された事に関して、ジンバブエ政府に逮捕者の即時解放を求める抗議文を送付した。(ZCTU)
●ニューヨーク中央駅内のオイスターバーで団体交渉が暗礁に乗り入れているが、同社が日本に進出計画を持っており、これらの出店計画に関する情報を要請にともない提供した。(HERE)

4. 各組織報告
●フード連合:
◇11月9日に行われた衆議院選挙で、フード連合顧問の城島がおかげさまで選挙区で当選できた。皆様のご協力に感謝する。
●UIゼンセン同盟:
◇同じく衆議院選で、組織内候補者の米沢、川端、伴野の3名を当選させることができた。御礼申し上げる。
◇10月のコカコーラ会議ではお世話になった。御礼申し上げる。
◇日本コカコーラ社のジョージアのCMに、サービス残業を助長させるような文句が入っていることに対し、連合から抗議の文書が出された。アトランタ本社との対談で、ようやく日本コカコーラ社との会談が実現しそうな段階にきて、感情的な対応でこの会談が流れてしまわないか懸念している。

5. 今後の予定
●タバコ部会(TWTG)委員会:2004年1月19-20日、リスボン
●JCC三役会・第3回運営委員会:2004年1月30日、味の素労働組合会議室

●4月の執行委員会関連会議の日程確認がなされたので記す。今回は農業部会(AWTG)委員会も同時開催する。(WC+AWTG:4月26日、AC:4月27日、EC:4月28-29日、ジュネーブ)

協議事項
1. 今後の勉強会のテーマに関して
昨年度運営委員会での確認に従い、運営委員会にあわせた勉強会を実施してきているが、今後のテーマについて論議を行った。JCC事務局から@WTOおよびFTAにおける農業・食品貿易に関して、A企業の社会的責任(CSR)および企業行動規範(COC)に関して、の2点を提案したが、これらのテーマで勉強会を企画することが承認された。特に前者のテーマに関しては、状況を客観的に捉えるための省庁関係者(農水省、外務省、経済通産省)からの話を聞くのと、JCC内でのディスカッションを行うのと2回に分けて実施する方向で検討に入る。単なる貿易分野の一つとして見るのではなく、日本をどのような社会にしていきたいのかという根本論議が重要であるとの認識で一致した。
また、後半年度(7月頃)に予定しているJCCセミナーに関しては、もう少し内部検討してからテーマを論議することを今回の運営委員会で確認した。

2. 海外労働学校の企画に関して
 11月7日の運営委員会で確認されたように日程を変更し、2004年5月19-30日にジュネーブおよびイギリスで実施する。
 ジュネーブでは、ILO、国連欧州本部、IUF本部などの訪問、イギリスではT&G研修施設での労働講義、工場見学、食品市場視察、組合訪問(TUC、T&G)、T&G職場委員との意見交換などを企画する。特に労働講義ではイギリスの労働運動全般の勉強のほか、雇用政策に関した集中的な講義を受ける。
 募集人員は30名前後で、参加費は35万円程度を予定している。次回運営委員会で、正確な金額を提示した募集要項をご承認いただく。例年、2月中の参加者募集をしているが、締め切りに間に合わない労組が多いので、以上の情報を今回はこの時点での各単組の参加および人選に役立てていただきたい。

3. NGOと労働組合のネットワーク構築に向けた取り組みについて
●ミレニアム開発目標に関するNGOと労働組合のネットワーク
今年6月から国際協力センター(JANIC)と連合国際局が事務局となって、国際開発協力に携わるNGOと労働組合のネットワーク構築のための検討会が進められてきている。来年初頭に正式なネットワークを立ち上げることで合意されているが、IUF-JCCに労働組合側の事務局メンバーとなるよう要請を受けている。運営委員会は、当面JCC事務局が主体としてこの活動に関わり、情報を適宜運営委員会に知らせ、組織的な対応が必要な場合はその都度論議することを承認した。
●児童労働に関するネットワーク(JCLN)
今年7月から、児童労働に関わるNGOと労働組合のネットワーク構築の準備会が進められている。来年初頭に正式なネットワークを立ち上げることを目標に検討が進められているが、プロジェクトなどを実施する母体として期待するNGOと、情報交換や統一的なキャンペーン活動を行う枠組みとして捉える労働組合側で、若干の温度差があるようである。運営委員会は、当面JCC事務局主体の取り組みとし、組織として対応する必要がある場合はその都度論議することを承認した。

第2部(勉強会)
中華全国総工会の性格と法的位置付け
11月に社会経済生産性本部から出版された「中国の労働団体と労使関係 −工会の組織と機能−」の著者、千嶋明氏をお招きし、表記題目でご講演いただいた。特に、@中華全国総工会の組織と機能、A改定工会法の主なポイント、B最近の総工会の動向、に焦点を当てたお話をいただいた。中国問題を論議する際の基礎知識として、総工会とはどのような組織か客観的に整理する機会となった。主な内容は以下のとおりである:

Ø中国の組合との関係において考慮すべき点
●中国の労働組合を日本の常識で考えることは意味がない。日本の労働組合も、ヨーロッパの産業別労働組合から見ると御用組合と映るように、各国の社会事情を踏まえた組織となっていることを理解する必要がある。日本人から見て最もよく判らないのは、経営者と工会員との区別がつかないことである。企業の経営者が工会員であり、更に共産党の書記であるケースもあり、一人の人間に権限が集中するなどの問題もある。
●90年代に中国が社会主義市場経済の移行で急速な市場開放を行ったことに伴い、製造業を中心に中国進出が相次ぎ日本国内の産業空洞化が深刻となってきた。以前から日本の組合の多くが中国の総工会と友好交流を行ってきたが、労働問題の意見交換を初めとした連帯のあり方の見直しが現在求められている。

Ø中国の組合の組織と法的位置付け
●中国の労働関連法は、労働法と工会法(労働組合法)の2つの法律に集約している。この内、工会法は2001年に大改正が行われた。また、2003年には中国で初めての労働白書である「中国工会の労働者の権利を守る活動白書」が作成され、労働組合である工会の役割が規定されている。
●総工会は、労働者の自主的な組織であると規定されているが、工会法で工会のナショナルセンターは唯一つの中華全国総工会であると定められており、法に規定された国立労働組合との見方ができる。
●総工会の下に、省、自治区、直轄市レベルの工会が33、その下に自治州、市、県レベルの工会、一番下に企業や事業所レベルの基層工会ある。基層工会を設置する場合、1段上の工会に届けて批准される必要があり、自主労組の存在は実質的にありえない。
●以前の工会法では25人以上の事業で基層工会を設置できるとあったが、改正工会法では25人以下の事業での工会設置も可能となった。また、親方(老板)による工会設置阻止を禁ずる条文も加えられた。これにより、より容易に基層工会が設置できるようになった。
●基層工会の財政として、企業が総人件費の2%を拠出することが義務付けられている。また、専従役員の人件費も企業が負担する。従業員重役を1名取締役に入れることになっており、基層工会の委員長が就任するケースが多いが、従業員重役に対しても、通常の重役並みの賃金を保証しなくてはならない。
●中国における労働争議というものは、個別の労働問題(主に労働契約不履行など)に対する苦情処理的なものであり、サボタージュやストライキは集団的事件として位置付けられ、国家の建設に責務を負うと規定される工会はこれを調停する役割を持つ。即ち、工会はストライキを行う主体ではなく、それを調停する第三者として位置付けられている。
●2003年9月22-26日に行われた5年に1度の中華全国総工会の大会で、2001年に江沢民が発表した「3つの代表」論を総工会規約に盛り込んだ。これにより、総工会はより広範な国家的役割を担うことが規定されたといえる。「3つの代表」とは「共産党は先進的な生産力、先進文化、および広範な人民の利益という3者を代表させなければならない」とするものであり、中国共産党の規約に盛り込まれたものである。今後憲法へ「3つの代表」論が盛り込まれることとなろう。

Ø中国の組合の抱える課題
●過去10年で急速に国有企業の民営化や、外資系をはじめとした私営企業が増加していったが、工会の組織や仕組みがそのままで、実態にそぐわなくなってきていた。現在、新しい企業統治のあり方などが検討・導入されてきている。その中で、平等協商(団体交渉)も法律で位置付けられているが、平等協商を締結した企業は36%程度にとどまっている。
●90年代後半に中国の産業構造も大きく変わり、農村での失業が急速に増加した。こうした労働力を吸収するのが郷鎮企業であるが、ここでも吸収し切れなかった労働力が出稼ぎとして都市に流入している。中国では農村と都市の戸籍は厳格に分けられており、農村の人々は農民であり賃金労働者ではないとされているため、郷鎮企業の労働者も、都市へ流入した出稼ぎ臨時工も工会員になれなかった。
●リストラ(下崗)により工会員数が90年代後半減少してきたため、総工会として大号令をかけて組織化を進めているが、このような農村労働者の組織が課題である(一部はすでに組織化されている模様)。
●総工会は共産党の一機関であるとか、共産党員でないと幹部になれないといった話があるが、実態はかなりそれに近い。以前、「党政不分、党政不工」(共産党と政府は分離できないが、別々に役割を持つ)といわれたように、「党工不分、党工不工」と言われている。要するに、党・政府・工会が三位一体となって工会の運営をしているのが現実である。尚、党と政府の関係に関しては、「党政不工」が天安門事件を防げなかった理由であるとして、その後削除された。


以上