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多国間投資協定、WTOで首尾よく生存

Posted to the IUF website 26-Jun-2003





社会責任にコミットしていると自慢する企業は実際のところ、国際協定を義務付けることを通じて事業活動の責任ある規制を非合法化するために働いているのである。多国間投資協定は労働者としてまた市民としての我々の権利を狙う政治的な武器である。これは皆が共有する脅威である。これが今回そしてこれを最後に葬りさられるまで皆が統一して反対することが、我々に共通の責任である。

9月のWTOカンクン閣僚会議前に最後に開催された6月のWTO貿易および投資に関する作業委員会では、カンクンで多国間投資協定の交渉を開始する合意に至らなかった。しかし、多国間投資協定の推進力である、現在ではEU、カナダ、日本(米国はより制限的な二国間および地域投資協定を立ち上げる間、舞台の袖に隠れて待っているが)が先鋒役であるか、これを葬り去ることを拒否している。したがって、これから9月までに予定される貿易ミニ閣僚会議の議題に秘密裏にこれが加えられている。そして間違いなく非公開の2国間会議においては開発途上国への圧力が高まるだろう。

1998年にOECDで多国間投資協定の中に成分化することに僅少差で敗北した多国籍投資家の権利の包括憲章を推進する力は、これが我々の時代におけるより持続性のある企業ロビーキャンペーンのひとつであることを証明した。そしてこの証拠は十分にある。多国間投資協定は今ではWTOに近づき、多国籍資本による現在のまた今後制定されそうな規制制限をすべて取り払うようにという意欲を集中された形で表明している。多国間投資協定は公共の利益において投資を規制しようとする各国政府の現在また将来の努力に対して、経済制裁の力に裏付けされつつ、国際法の保護的なよろいかぶとを作り上げることを目標としている。

多国間投資協定が公共の抗議とOECD加盟国間の内部分裂のためにOECDで頓挫したが、これはその後の交渉場所が単にOECDからWTOに移されただけのことであった。実際WTOでこれが最初に始められたのである。ドーハの開発ラウンドはこれをカンクンの閣僚会議に含める新しい項目のひとつとして国際企業議題に復活させた。

とはいえ、投資問題はWTOで何も新しいものではない。現在のWTO規則は、貿易に関連する投資措置に関する協定をはじめとし、政府が例えば性能や国内コンテンツ要件や技術移転や利益の本国送還などを通じて海外投資に条件を課する能力を縮小している。貿易に関連する投資措置に関する協定は、WTOの発足において包括的な投資協定を含めようとしたことに失敗した遺物である。新しいものは拡張された企業議題であり、WTOレベル、地域レベル、二国間レベルでの国際協定を通じて国内立法がうまく引き下げられたことによって活気付いていいる。

投資家対国家の裁判を通じて厄介な政府を直接攻撃する企業の能力は、この企業力の横領のより持続する性格のひとつである。なぜなら争議過程を私的目的に使うことによって投資家の本国の政府政策の可能な転換に対する保証となるからである。同様に粘り強く行われているものは将来のさらには潜在的な企業の収益に対する保証を推進している。−従ってすべての投資家の権利提案に共通な拡張された資産押収の定義ということである。

今WTOで企業ロビー活動家が推進している当初の多国間投資協定と世界投資提案は北米自由貿易協定(NAFTA)を直接モデルにしたものである。北米自由貿易協定の憲章11は多国籍投資家の権利を成文化したものであり、最大利益を引き出す投資家の能力を侵す場合は調印国の法律、規制、慣行に直接企業が挑戦する権利で完結させている。北米自由貿易協定は、投資家に潜在的な将来の収益損失の補償を要求する権利を与えることにより、海外投資家に対する規制的な要件を課すことを事実上法的に無効にしている。こういった場合被害を受けた企業は、押収と同等の措置の犠牲者として裁判を起こすことができる。押収の規制的また潜行的な定義は企業の法律上の兵器庫を増加させ、規制の意味の定義を変えた。海外投資家の活動を禁止し、指導し、あるいは制限する政策、措置、法律は従って企業の現実のまた想像上の資産を取り上げるものとしてみなされた。受入国の役割は、海外資本に免税期間を与え、輸出加工区、マキラドーラを監視することに減少させられた。

欧州連合は公けにはよりやさしい多国間投資協定(開発のための投資)を求めている。これは表面上は政府に多国籍企業に譲り渡す特定のセクターを選ぶことを可能にするものである。しかし、欧州の投資家のためにロービー活動家は、全面的な北米自由貿易協定/多国間投資協定のアジェンダを推進している。そしてサービス貿易に関する交渉(サービス貿易に関する一般協定)における経験が一度はこの過程が稼動されたことを示している。UNICE、欧州経営者連合、国際商業会議所(ICC)、ヨーロッパ・サービス・フォーラム(ESF)をはじめとする有力な企業ロビーグループはすべて主要なNAFTA憲章11の要素をロビー提案の中に入れている。米国は北米自由貿易協定を米州自由貿易圏(FTAA)に拡張し、アメリカの2国間投資協定(BITs)に同様の投資家の権利規定を盛り込んでいるが、EUと日本がWTOでのプロジェクトを推進していることに満足している。というのは、米国が調印している現在の協定は、WTOの協定を通じて起こる企業活動の民主的規制に対する障壁を必然的に生じるからである。企業ヨーロッパもこの点を理解した。EU貿易コミッショナーLamy氏への4月30日付けの書簡で、ヨーロッパ・サービス・フォーラムは、『投資に関するWTO協定は二国間投資協定で規定される紛争処理のための投資の保護と可能性に関する現行の高水準を固定するために努力すべきである。最低でも、現在の二国間協定を認識し、守る規定を含めるべきである。』と断言している。

国際商業会議所は事実上OECDの多国間投資協定を草案したのであるが、『投資に関するWTO協定の主要な目標のひとつは投資家に国営化、資産押収、また資産押収と同等の措置に対しての強力で有効な保護を提供するということであるべきある。』と述べている。現地のコンテンツ要件すら消えゆく種族になってきたネオリベラル世界秩序において、そして視野に入る国家化は失敗した日本の銀行または米国の貯蓄貸付機関のみという状況において、北米自由貿易協定の経験の教訓を引き出すことは重要である。これらの投資管理形態の本当の目的は、資産の押収から身を守ることではなく、政府が公共サービスを維持し、労働者および消費者の健康と安全と環境を守るための法律を実施する能力を徹底的に制限することにある。資産押収として規制を再定義することにより、政府が企業活動に制限を加える能力を弱めるものである。彼らは組合や他の民主的社会運動が組織化をし、その利益と要求のために成功裏に運動を行うために必要とされる自由を制限すること目的としている。

北米自由貿易協定憲章11の下で、米国のエチル社は、同社が生産する有毒なガソリン添加物MMTを禁止するカナダ政府を訴えることに成功した。同会社は、禁止どころか、法律で定められた討論さえも、MMTの公けの批判は会社の評判を傷つけるために同社の資産の押収になると主張した。3年後、形成が逆転し、カナダのメタネックス社が、同社の生産した有害化学薬品をカリフォルニアが禁止することは押収と同等であると主張した。UPSはカナダ政府が公共郵便制度を維持していることで訴えている。米国のクロンプトン社はカナダ政府を米国で禁止されている神経毒である殺虫剤リンデンの漸次廃止のために訴えている。

もし国際商業会議所の言い分が通れば、リンデンを禁止することは北米だけでなく、国際法の下で違法になってしまう。社会責任にコミットしていると自慢する企業は実際のところ、国際協定を義務付けることを通じて事業活動の責任ある規制を非合法化するために働いているのである。北米自由貿易協定の憲章11は、なぜ多国間投資協定が民主主義にとって脅威であるか、またなぜこれが止められなければならないのかという生きた教訓である。

政府が公共の利益を守り、多国籍の投資家の利益に反して、またこれを超えて自らの開発への道を選ぶ権利を尊重し、強化するような国際投資規則を確立するようにという議論がある。

WTOでの多国間投資協定の提案は開発途上国に打撃的なものであるが、北米自由貿易協定の経験が良く示していように、これを北/南問題としてみなすことは歴史的にも間違っているし、政治的にも危険なことである。多国間投資協定は労働者としてまた市民としての我々の権利を狙う政治的な武器である。これは皆が共有する脅威である。これが今回そしてこれを最後に葬りさられるまで皆が統一して反対することが、我々に共通の責任である。