IUF logo; clicking here returns you to the home page.
IUL



2004年度第1回運営委員会議事録(2003/11/7)

11-Nov-2003







2004年度第1回運営委員会報告
味の素労働組合会議室で行われた標記委員会の報告を下記の通り致します。
(日 時)2003年11月7日(金) 15:10−17:35
(出席者)増渕、長島(フード連合)、中野(UIゼンセン同盟)、内田(全国農団労)、
秋山、伊勢、林田(サービス連合)、見里、高田(JCC事務局)、合計9名(敬称略)

<第1部>
報告事項
1. IUF三役会報告
 表記会議が10月29-30日ジュネーブのILOビル内にて開催され、増渕JCC議長、秋山JCC副議長と見里が出席した。主な論議のポイントは以下の通り。
●メンバーシップ:欧州地域組織EFFATに加盟しIUFに未加盟組織が存在する問題で、来年4月の執行委員会までに解決することをこれらの組織に求めることを決め、EFFATに対応を要請した。
●8カ国14組織の加盟が承認された。アジア太平洋地域では、カンボジアのホテル観光労組が新たに加盟した。キリバツのホテル労組の加盟申請拒否勧告は、見直しするようアジア太平洋地域に要請され、三役会に出席した見里から先日マ・ウェイ・ピン地域書記に依頼した。
●連帯行動:中国問題の人権問題に関連して、中華全国総工会との関係見直しが欧州地域の三役より再提起され、活発な論議を行った。中華全国総工会とは公式なコンタクトを持たないとするIUF政策は維持するが、オープンな議論は継続することを確認した。JCC運営委員会では、三役会での議論を明確化するための質疑が行われた。
●お茶価格の国際的大暴落によって、インドなどのお茶農園では極端な労働条件の低下や、農園閉鎖による労働者の締め出しなどが発生し、深刻な状況となっていることに関する懸念が表明された。本日(11月7日)付のジャパン・タイムスに、インドのお茶農園での組合役員を狙った焼き討ち事件で、22名が焼死した記事が掲載されているのも、こうした事態の一端である。
●多国籍企業:ブリティッシュ・アメリカン・タバコBATのビルマからの投資撤退キャンペーンの一環で、OECD多国籍企業ガイドラインに則り、IUFはイギリス政府にあるナショナル・コンタクト・ポイントに9月2日、同社を提訴した。昨日(11月6日)、BATはイギリス政府からの指導を受け入れて直接投資の撤退を決定した。今回のように個別の労使紛争ではなく、非民主的で人権を抑制する国からの投資撤退などにOECD多国籍企業ガイドラインが使用されたことは、単にキャンペーンの成果だけでなく、次の2つの点で大きな意味がある:@ビルマで事業活動を行う他産業・他企業への適用が今後発生する可能性があること、Bビルマ以外の非民主的な国への適用も考え得ること。
●その他:タバコ栽培における児童労働撲滅財団(ECLT)の活動報告を聞き、今後の資金調達などに関する議論を行った。報告内容は、項目7「その他の報告事項」で紹介する。

2. HRCT委員会報告
 表記委員会が10月27―28日ジュネーブのILOビル内で開催され、秋山JCC副議長と見里が出席した。主な論議のポイントは以下の通り。
●今回の委員会の主要テーマとしてWTOのサービス貿易における一般協定(GATS)に関する論議があったが、2001年マルメの部会総会で確認をしたIUF政策を再確認しただけで、実質的な論議は無かった。
●持続可能な観光業に関しては、世界観光機関が作成した倫理規範が配布され、討議を行った。
●その他の主論議ポイントは雇用、職業訓練、移民労働など、職にかかわる問題、などであった。
●全般的に意見を言いっ放しで、決定事項の確認などが判りづらい会議であった。経験交流という面では良いが、もっと議論が必要であると感じた。

3. コカ・コーラ関連会議報告
(1) A/P地域会議
●今回の会議は、マ・ウェイ・ピン地域書記が急病のため欠席し、急遽本部から食品飲料部門コーディネーターのポール・ガーバーが出席することとなった。また、A/P地域のコカ・コーラのコーディネーティング組合であるオーストラリアのLHMUからの出席もなかった。第1回地域会議および本年3月のグローバル会議で議長を務めたLHMUティム・フェラーリに代わり、UIゼンセン同盟の大出氏が議長を務めた。しかし、急な主要メンバーの欠席にも拘わらず、その代役のご努力により、かえって充実した会議となった。
●その他の出席者では、フィリピンの組合が参加者全体の約3分の1を占め、香港、韓国が各2名、インド、スリランカが各1名であり、第1回会議よりも参加国が少なくなった。
●会議の主要な目的は、@3月に開催されたグローバル・コカ・コーラ会議の地域でのフォローアップ、A10月21日に予定されている第1回コカ・コーラ/IUF協議会の準備、の2点である。
●会議として、雇用の非典型化の懸念を表明すると共に、コカ・コーラ組合間の連帯強化を謳い上げ、来る第1回コカ・コーラ/IUF協議会に向けた当地域の課題を整理した声明文を採択した。

(2) 第1回CCC/IUF協議会
●本会議はIUFが進める多国籍企業とのプロアクティブな対話戦略の一環であり、コカ・コーラ・カンパニー(CCC)に対しては過去15年間に亘って働きかけてきたものである。しかし従来はCCS全体の労働関連問題に対する責任を拒否し、IUFとは限定的な対話しか持ってこなかった。過去2年半のロン・オズワルド書記長の積極的な働きかけの末の今年4月、同社はようやくCCSを代表する労働者代表との少人数協議会を年2回定期的に開催する事に同意した。今回はその1回目の協議会であった。
●協議会メンバーは、ロン・オズワルド書記長のほか、コカ・コーラの5大市場(北米、ヨーロッパ、メキシコ、ブラジル、日本)を代表して、アメリカ・カナダのUFCW/RWDSU、コカ・コーラ欧州労使協議会(EWC)労働側代表のドイツNGG、ブラジルからはCONTAC、日本からはUIゼンセン同盟の滝田氏(仙台コカ・コーラ労組委員長)が選出された。メキシコに関しては主要なコカ・コーラ労組がIUFに加盟しておらず、代表は選出されなかった。
●CCC側のメンバーは国際人事部門を担当する弁護士資格を持つ2名で、ジョン・モーンとリンダ・スペンサーといい、企業内での地位はそれほど高くは無いが、今回の協議に関しては充分な権限を与えられて出席したようであった。

CCC/IUF協議会に関しては、IUFとしての会議報告の方法を確認した。また、日本の代表として出席した滝田氏からの報告をUIゼンセン同盟に要請した。

4. 争議支援・連帯活動
以下の争議に対する支援要請があり、抗議文・連帯文の送付や情報提供などの支援活動を行った。
●コロンビアの農業労組への襲撃未遂があり、組合リーダーの保護を求めるコロンビア政府に宛てた要請文(SINTRAINAGRO)
●カナダのトロントのシェラトン・ゲートウェイ・ホテルが下請労働者の保護を労働協約に盛り込むことを拒否したことによる抗議文送付(HERE)
●中国の労働運動化が集団強制労働施設に送られたことに対する抗議文
●韓国のゴルフクラブのキャディーを労働者としての法的立場を明確にし、労働協約の団体交渉に付くことを求める抗議文(KWTU)

5. 各組織報告
●フード連合:
Ø BATの日本法人で、10月26日に発起人によってフード連合傘下の組合を結成した。組織固めはまだこれから本格始動するが、体制が出来上がり次第、各関係者に報告する。これに関連し、欧州のBATの組合とのコンタクトを希望するので、IUF-JCCからの情報提供をお願いする。
Ø 2004年5月に予定されているグローバル砂糖会議への出席を検討しているので、会議のテーマや議題、参加予定者などの情報が欲しい。 ⇒ JCCで確認し連絡する。

6. 今後の予定
●A/P女性委員会・セミナー:2003年11月12-13日、ジョグジャカルタ
●連合多国籍企業委員会2国間セミナー:2003年11月30〜12月6日、クアラルンプール
●JCC三役会・第2回運営委員会:2003年12月15日、味の素労働組合会議室

●海外労働学校の日程変更:受け入れ組合T&G(イギリス)の都合により日程を変更。
5月19〜30日(ジュネーブ、イーストボーン、ロンドン)

7. その他
●タバコ栽培における児童労働撲滅財団(ECLT財団)の活動報告
Ø ECLT財団は設立後2年を経過し、着実に成果を上げている。マラウィではプロジェクトの1つでは児童の通学率が22%向上し、コレラの発生率97%減少など地域コミュニティーの衛生面の改善にも寄与してきた。
Ø 現在はマラウィで2つのプロジェクト、タンザニア、フィリピンで各1つのプロジェクトを進めている。今後は更に、キルギスタン、メキシコ、モザンビーク、ウガンダでも活動を展開する予定である。
Ø プロジェクトの活動予算は全て、タバコ産業の多国籍企業から拠出されているが、今後の活動の増大に伴い、資金の調達が課題となっている。政府機関を巻き込むことによる政府資金の利用を検討すべきであろう。
●観光産業に関するILO三者構成地域会議(2003年9月15―17日、バンコク)結語

協議事項
1. 国際連帯基金の使用に関して
児童労働に関する取り組みを行っているNGOのACEより資金援助のプロポーサルがきている。ACEは1999年に最悪の形態の児童労働即時撲滅に向けたILO条約が採択されるに当たり、国際世論を喚起し、ILOへ向けたマーチと、ILO総会での子供たちによるプレゼンテーションを実施した国際NGOネットワークのグローバル・マーチと連携し、前述のグローバル・マーチの日本での実行母体となった組織である。また、現在ACEが中心となって他のNGOや労働組合に呼びかけて、日本国内の児童労働撲滅に向けたネットワーク造りも行っている。
プロポーサルの内容は、来年5月にグローバル・マーチが主催する「第2回児童労働世界子供会議」がイタリアで開催されるが、日本からも児童代表を送り出すなどACEが窓口となって、この企画に参加することになっている。経費に当てる収入として、個人寄付以外に政府の助成金や支援団体からの団体寄付を充てることにしている。
また、同時にグローバル・マーチ本部からも会議開催の資金援助支援要請が来ている。

上記プロポーサルに関し、運営委員会は同日開催されたJCC三役会の以下の勧告を承認した。また、ACEが中心となって進める日本における児童労働ネットワークの構築は、連合がもっと積極的にかかわっていくことが、今後の展開において必要であることを確認した。
Ø グローバル・マーチ本部への支援は、他国ではナショナルセンターが主体であり、グローバル・マーチ本部からの支援要請に関してはJCCとして対応せず、ACEからの要請に絞った支援を行う。
Ø 金額に関しては、他組織の支援状況を見据えて、10~20万円の範囲で実施することとする。金額の判断は事務局に一任し、次回運営委員会に事務局より報告する。

<第2部>
サービス貿易における一般協定(GATS)について
自治労国際局の井ノ口局長をお招きし、WTOが進めるサービス貿易における一般協定(GATS)に関する講演をして頂いた。IUFが関連する産業への影響や、労働組合としての取り組みについて考える機会とした。

●GATSの対象となるサービスとは12分野、160種類にのぼり、国営独占の電力・水道事業のように、政府の権限の行使として提供されるサービスを除く総ての分野に亘る。
●国際公務労連(PSI)の活動としては、サービスの自由化による公共サービスの民営化から、公共サービスの質をどう守っていくかが焦点となっている。例えば、90年度初頭のニュージーランドの過度な民営化による悪影響や、東欧諸国の急速な民営化の後に再度国営化が行われているなど、過度な民営化による公共サービスの質の低下が懸念されている。
●PSIとして、次の2点を提案している:@WTOとILOが係わる共同協議機関を設置すること、A自由化の対象となるサービスを当該国自身が選択すること。
●PSIは世界銀行との対話のチャネルを持っており、このチャネルを活用した活動を予定している。
●PSIのほかにUNIもGATSに関する取り組みを進めているが、IUFとしてもサービス関連産業となるHRCT部門への影響を更に深く検討する必要がある。